JUSSI SALMIAKKINEN (ユッシ☆サルミアッキネン)

フィンランド各地の日の出、日の入り時間の変化をウィークリーでご紹介します。

FILE-026 時々、猿も木から落ちるのだ!

2006-02-14 13:32:59 | フィンランドぶらぶら紀行
 
今日は火曜日。東京MX-TVで18:30から「平成天才バカボン」の再放送があるので、タイトルをそれっぽくしてみたのだ!

写真は、2001年にフィンランドのラハティ(Lahti)で開催されたノルディックスキー世界選手権大会での光景。

青い線を前にして、四つん這いなっているスキー競技者。
これは、大会最終日(2001年2月25日)に行われた男子50Kmフリースタイル競技での一コマだ。
青い線はゴールライン。これを越えれば、めでたくゴールとなる。
だが、彼は直前に不覚にも転倒!
一流選手でもこんなことがあるのか!と思って撮ったのがこの一枚である。

彼の名前は、ピエトロ・ピッレル・コットレル(Pietro Piller Cottrer)。
イタリアの選手である。
疲労のあまり、足元がふらついたのでもあろうか。パタッ!っと大きな音がした後、彼がこんな姿勢になっていた。

この日の気温はかなり冷え込み、この競技の前に行われる予定だった女子の30kmフリースタイルは、低温のため中止となるほどだった。
FIS(国際スキー連盟)の競技規則では、気温がマイナス20度以下になるとその競技はキャンセルもしくは、時間の変更がなされる。折悪しくも、この日は大会最終日。女子選手は残念な思いをした。

中止する理由は、マイナス20度以下になるとスキーの滑りが悪くなるからである。
スキー滑走の原理は、雪面とスキーの滑走面に塗ってあるワックスとの間に生じる熱で雪面が溶けて水になり、摩擦抵抗が小さくなることを利用している。
それがマイナス20度以下になると水になることができず、摩擦抵抗が増え、滑りが悪くなってしまうのだ。
それと、凍傷の問題。下り坂等では、あんな細い板(幅44mm)なのに時速80Kmにも達するので、顔や耳などの露出している肌が凍傷になる恐れがあるのだ。
転んでいる彼も、よく見ると顔の露出をできるだけ押さえるように工夫している。
他の選手でも、目だし帽や顔の頬などにテープを貼るなど工夫をしていた。

この競技は正午スタートの予定だったが、気温はそれほど上がらない予想からか、1時間遅らせることになった。
私は困ってしまった。
実はこの時、私はラハティのホテルが満員で、直線で100キロ離れたヘルシンキから、電車やバスで大会の度に通っていたのだ。その日は、運悪く寝坊。同行の家人は、疲れたから行きたくないとのたまう。予定していた電車は既に出発しており、長距離バスに一人飛び乗り、予定時刻に10分の遅れで会場に到着することができた。
でも、なんか様子がおかしい? 最終日のはずなのに人が少ない。変だ変だと思いながら、場内をうろつく内に、会場の放送で競技がキャンセルなったのを知った。
ただ、午後はあるらしい。これから3時間半でどうしようということになった。
答えは簡単だった。『飲めばいいんじゃん!』
氷点下20度でのビールは、後でトイレが大変そうなので、まずは会場の屋台でホットワインを飲んだ。
飲んでいる内は、体が暖まっていいなと思うが、30分もしないうち醒めてくる。
これは効果なしと判断し屋内に逃げ込み、競技が始まるのを待ったことを思い出す。

話を元に戻すのだ。

写真のピエトロ・ピッレル・コットレルのこの時の順位は、なんと8位だった。
最近はスタートの方法が変わりつつあるが、この時は隔時スタート(自動車のラリーのように一定間隔で一台(一人)ずつスタートする方法)だったので、電光掲示板に記録が出るまで順位がわからない。タイム的には転んでも8位、転ばなくても8位だったようだ。世界選手権は五輪と異なり、6位までが入賞である。惜しかった。

この時、日本選手の最高記録は、今井博幸選手の12位だった。これはなかなかの成績で、五輪と世界選手権における日本のクロスカントリースキーの個人種目で歴代獲得順位10傑に入るものだった。ちなみに今井選手は翌年の2002年のソルトレーク・シティ冬季五輪50Kmクラシカル走法で、6位入賞という日本クロカン陣70年の悲願の快挙を成し遂げている。(クロカン歴代獲得順位第1位)

今日のブログをこの話題にしたのは、昨日のブログでも書いた2月12日(日)の
クロスカントリー男子 2x15km Mass-start Pursuitでピエトロ・ピッレル・コットレルが、見事銅メダルを開催国イタリアにもたらしたからである。
彼にまつわる話ができて幸いである。

今日は男女でスプリント競技が行われる。NHKの地上波でも録画ながら、放映されるようだ。楽しみである。

そして文頭にも書いた天才バカボンの再放送もあるし。

『見ない人は、死刑なぁのだ!』

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