11月定例会一般質問の全文(1回目質問)を掲載します。
質問と答弁の要旨は改めて掲載します。
25.11月県議会定例会 一般質問
25.12.4
井原 寿加子
県議会が始まり7日目になりますが、いつもの席に知事のお姿が見えないのは、淋しく残念に思います。
もちろん、知事の1日も早いご回復をお祈りする気持ちに変わりはありませんし、その間は、副知事が職務代理者としての責任を十分に果たされると思いますが、一方で、リーダー不在の状態が長く続くことになれば、県政の運営に大きな支障が生じることも否めません。事実、ここ数日間の議会での論戦も心なしか盛り上がりに欠けるように思われます。
今、県民のみなさんが一様に不安に感じておられるのは、このような状態がいつまで続くのだろうかと言うことです。政治的立場の違いを超えて敢えて申し上げれば、少なくとも、担当の医師などを通じて、病状と入院の期間などを明らかにされるべきだと思います。
そして、短期間で復帰されるのであればともかく、このまま療養が長引くようであれば、おのずから方向性も見えてくるのではないかと思います。
1. ではまず、情報公開についてお伺いいたします。
① (特定秘密保護法案)
折から、特定秘密保護法案が国会に提出され、先日は衆議院で強行採決が行われました。現在参議院でも連日激しい議論が交わされています。
いくつかの政党の間では、恣意的な運用を防止するための第三者機関の設置などの修正案がすでに合意されていますが、いずれも枝葉末節の議論でしかありません。本質的な問題は、大臣が勝手に秘密に指定し、それが永久に闇から闇に葬り去られてしまう危険性があるということだと思います。実際に、私たちは、沖縄返還をめぐる密約や、核持ち込みに関する密約などの存在を後で知らされることになりました。
憲法により保障された「知る権利」は、民主主義の根幹をなすものであり、それが失われてしまったら、国のやることに誰も口出しができなくなります。
外交や防衛に関する情報の中には一定期間公開できないものもあるのは理解できることです。しかし、そうしたものも含めて、すべての情報は原則として国民のものであり、秘密の範囲は必要最小限に留めるとともに、期間が経過すれば必ず公開して、主権者である国民のチェックを受ける必要があります。そういう意味で、30年、あるいは60年もの長きにわたって秘密にするということは、私たちの「知る権利」を奪うに等しく、到底許されることではありません。
アメリカに言われているのかもしれませんが、日本としてどうしてこんなに成立を急ぐ必要があるのか、私にはまったく理解できません。衆参のねじれが解消されて、今度は数の力にものを言わせ性急にことを進める安倍首相のやり方の異常さ、危険性に多くの国民が不安を感じ始めています。各界からの反対の声も日増しに高まっており、こうした国民の声に真摯に耳を傾け、慎重な上にも慎重に議論すべきだと思います。
このままでは、岩国基地や上関原発に関する情報も特定秘密の厚い壁にはばまれて、十分な情報提供がなされないという事態になることも予想され、県民の安全を守るべき県政としても無関心ではいられないはずです。県として、知事会などを通じて慎重審議を求めるなど積極的に発言していくべきではないでしょうか。県のお考えをお聞きいたします。
② (情報公開について)
最近の政府や国会の動きを見ていて、この国は一体どうなっていくのだろうかと強い不安を感じましたので、つい前置きが長くなってしまいましたが、「知る権利」に関連して、県政の情報公開について、質問いたします。
まず、県の情報公開条例に基づいて行われた情報公開請求について、最近1年間の件数、その内非開示とされた件数、さらに非開示の理由ごとの件数を教えて下さい。
次に、情報公開の前提として、公文書の管理が適正に行われていなければなりません。
公文書の管理規程に基づき、文書の種類ごとに保存期間が定められているはずですが、その内容を教えて下さい。文書の保管は、それぞれの担当部局で行われているのでしょうか、それとも、どこかで一元的に管理されているのでしょうか。
さらに、保存期間が経過した文書は、廃棄されるのでしょうか。それとも、一定期間はどこかで保存されるのでしょうか。
また、「秘密」に指定される文書はあるのでしょうか。あるとすれば、それは何年すれば公開されるのでしょうか。
もう一つ、確認しておきたいことがあります。
私たち議員の調査・質問権と情報公開制度との関係です。
私は、県政の調査や一般質問の準備のために、特定の資料の提出をお願いすることがあります。ほとんどの場合、職員の方は、すぐに資料を用意し丁寧に説明して下さいます。その親切な対応にはいつも感謝しています。ところが、時々、「情報公開請求をしてください」と言われ驚くとともに大きな違和感を持つことがあります。その一例を後ほどの質問の中で紹介いたします。
議員としての活動をしっかり行うためには、県政に関する情報が迅速に提供されることが欠かせないと思うのですが、すべての公文書について開示請求をしなければ出していただけないのでしょうか。私に対してということだけではなく議員活動に関する一般的な問題として、きちんと整理してお答えください。
2.次に米軍基地問題について質問いたします。
① まず、KC-130空中給油機の移駐に関する国への照会についてお伺いいたします。
10月の2+2、日米の外務・防衛大臣会合において、KC-130空中給油機15機を、来年夏ごろ普天間基地から岩国基地へ移転させることと、自衛隊の岩国基地への残留が決定されました。
国からの説明を受けて、知事は、今月18日に疑問点などの照会を国に対して行われました。住民の不安を少しでもやわらげるための努力の一環としてそれ自体は評価できると思います。
ところが、27日に返ってきたその回答を読んでがっかりいたしました。
「KC-130の岩国基地での年間延べ滞在日数はどの程度となるのか」
「今後の空中給油訓練の場所はどこか」
「航空機燃料の輸送の方法にどのような変化が生じるのか」
「オスプレイの岩国基地への飛来はどの程度増加するのか」
いずれも重要な質問項目ですが、これらに対する回答はすべて、「米軍の運用に係る事項であり承知していない」という紋切り型のものでした。今でもこうですから、特定秘密保護法ができたらどうなるか推して知るべしです。
県民生活への影響がどの程度になるか何もわからないというのでは、判断のしようがないではありませんか。県としては、この回答をどのように評価し、今後どう対応するお考えかお聞かせください。
KC-130については、今回の回答でも指摘されているように、平成8年の沖縄に関する特別行動委員会、いわゆるSACO合意からすでに17年が経過し、機数も12機から15機に増加するなど状況は大きく変わっています。すでに決まっていることだからと淡々と進めるのではなく、改めてこの部隊全体の訓練や運用の実態、それに伴う騒音や危険性などについてきちんと説明するよう求めるとともに、県として県民の安全を守るための対策を講じる必要があるのではないでしょうか。お考えをお伺いいたします。
② 次にKC-130移駐に対する県の基本原則についてお尋ねいたします。
「普天間基地移設の見通しが立たない限り、先行移駐は認められない」
KC-130や空母艦載機の移駐に関して、これまで議会答弁や記者会見を通じて一貫して示されてきた県の基本的考え方だと思いますが、それに間違いありませんか。
これは、移駐自体を認めることを前提とした議論であり全面的に賛成することはできませんが、基地拡大に歯止めをかけるという意味で一定の評価はできますし、すでに議会や県民の間でも共通認識になっていると思います。普天間がなかなか動かない中で、この原則がある限り移駐は行われないのではないかと期待する人もかなりいます。
しかし、その中身や実効性は、必ずしも明らかではありません。
そこで、改めて何点か確認しておきたいと思います。
・そもそも、この原則は、いつ頃、どのような理由で決まったのでしょうか。
・「普天間移設の見通しが立つ」とは、どのような状態になることを意味しているのでしょうか。具体的に教えて下さい。
・アメリカや国がこの原則を尊重するという何らかの約束は取れているのでしょうか。日米間や政府と県の間で、普天間の見通しが立つまで・・という文言が記載された文書があるのでしょうか。それとも、県の一方的願望に過ぎないのでしょうか。事実関係を明確にお答えください。
3.最後に、漁業問題についてお尋ねいたします。
ぼら囲さし網漁業をめぐる紛争についてです。
山口県は三方を海に囲まれ、水産資源も豊富です。私も子供のころから瀬戸内で獲れる新鮮なお魚を食べて育ちました。今でも輸入されるものを出来るだけ避けて、近海のメバルや鰺、イカ、タコ、そしてひじきなどを買い求め料理するように心がけています。
岩国市の沖合にある柱島、端島、黒島という3島は、大変豊かな漁場で戦時中、島民が零戦を国に寄贈したという話があるほどです。
ところが、最近都会から島に帰り漁業に従事し始めた若者から、目の前の周防大島の漁船が昼となく夜となく柱島3島のすぐ近くまで来てぼら囲さし網漁業をし、根こそぎ魚を獲っていってしまい大変です、との相談を受けました。
① (嘆願書について)
外国の船ならいざ知らず、この狭い瀬戸内の海でそんなことがあるのだろうかと驚きましたが、実際に今年の4月、柱島漁協から知事あてに嘆願書が提出されています。その嘆願書の内容を確かめたくて、管轄の柳井水産事務所に写しをいただきたいとお願いをしましたら、「それは知事あての親展だから見せられない」と言われました。
プライベートな文書ならわかりますが、知事という公的な立場にある方への嘆願書を親展だから見せられないという、理解に苦しむ説明でした。それではと本庁にお願いしたら、今度は、「情報公開請求をしないと見せられません」と言われ、唖然としました。事実関係を確かめるためにお願いしているだけなのにどうしてこんなに出し渋りをされるのだろうかと思いながら、仕方なく、別ルートでようやく入手した組合長をはじめ60人の組合員の署名のある嘆願書の写しがここにあります。
聞いていらっしゃるみなさんにも実態を知っていただくために、内容を少しご紹介いたします。
表題には、「ボラ囲い刺網漁業許可についてのお願い」とあり、次のような趣旨を訴えています。
「東和町、橘町の漁船が昼夜にわたり柱島3島の海域に入り、禁漁区、漁礁、港湾内等至る所にボラ網を仕掛けるので紛争の元になっています。・・・どうか知事の天の声で解決して欲しい」などの内容です。
さらに、6月7日付で、柳井水産事務所宛に、柱島漁協 組合長名で意見書が提出されています。この内容については、どのように把握しておられますか、お伺いいたします。
このように隣接した漁民同士で深刻な争いが起こっているようですが、県としては、その実態をどのように把握しておられるのか、また、どのように解決しようとしておられるのか、教えて下さい。
② (許可の条件について)
今回、ぼら囲さし網漁業という一つの漁法が問題になっているようですが、一般にはなじみのない言葉なので、どのような漁法なのか、簡単に説明してください。浅瀬の稚魚や小魚などを根こそぎ採り、魚がいなくなってしまう恐れがあるというのは本当でしょうか。
また、その許可証は、どのような基準と手続きで発行・更新されるのでしょうか、各地の漁協はどのように関与するのでしょうか、わかりやすく説明してください。
現在、周防大島町、その中で問題になっている旧東和町と旧橘町の許可証交付の状況、数などの現状を教えて下さい。また、柱島のそれはどうなっていますか。
操業区域が重なっていることが、今回の紛争の根本的原因のようですが、大島の漁民の許可証の操業区域には、何と記載されているのですか。また、柱島の許可証の操業区域はどうなっているのでしょうか。教えて下さい。
また、県が出した許可証が百数十万円で、漁業者間で売買されているという話も聞きました。このようなことが現実に行われていることを、漁業者は何度も水産事務所に訴えてきたとのことでした、許可権者として、どのように把握しておられ、またどのような見解と対策をお持ちなのかお伺いいたします。