英語教師のひとりごつ

英語教育について考える。時々ラーメンについて語ることもある。

可算名詞はいつでも数えられるのか

2013-12-01 18:25:26 | 日記
 先日、ALTと話していたとき、話題になったことがあります。

たとえば、好きな果物を聞かれたとき、
普通、我々は可算名詞(数えられる名詞)であれば複数形で表現します。

(1) I like apples.
(2)*I like apple.(*は間違いのある文という意味で使います)



しかし、メロンやスイカ、パイナップルの場合、普通、こう答えます。

(3) I like melon/watermelon/pineapple.
(4)?I like melons/watermelons/pineapples.(?はあんまりしっくりこないなぁ、という感じ)

もちろんメロンやスイカ、パイナップルは可算名詞ですから、文法的には正しいはずですが、
ネイティブは(4)のような文はあまり言わないようです。

どのような違いがあるのか、話し合っていましたが、そのALTの感覚からすると、

「リンゴやみかんは、まるごと食べるものだから、数えられる感覚があるけど、
メロンやスイカは食べる時、まるごとは食べず、切り分けてでてくるから、(好き嫌いの話では)数えられる感覚ではない」のだそうです。

むむむ。思わずうなってしまいますね。


そういえば、ピーターセン(2004)によれば、

(5) I like a dog.「名前は言わないが、ある犬が好きだ」
(6) I like the dog.「あの例の犬が好きだ」
(7) I like the dogs.「あの例の犬たちが好きだ」
(8) I like dogs.「犬が好きだ」
(9) I like dog.「犬の肉が好きだ」
                        (ピーターセン(2004,p103)より)


という違いがあります。(9)のような文は、生徒がよく言う文なのですが、
個人的には、この手のミスについては「大目にみる」ことが大事だと思います。

ミスを恐れて話さなくなることの方が怖いことです。
教師は正しい文を提示する必要はありますが、生徒のアウトプットにもそれを求めすぎると、「考えすぎて話せない」状態を作ってしまいかねません。
もちろん、生徒のレベルに応じて、ですが。明示的にこういった細かい文法知識を導入する時には、ある程度のレベルは想定しておかなければならないと思います。


言語は使う場面や文脈が大事だと思います。
リスニングも、スピーキングも、場面や文脈が理解の助けになってくれます。
(9)のような文を生徒が使っても、ほとんどすべての人は場面や文脈から(8)の意味だと思ってくれるでしょう。


ただ、個人的には、ピーターセンの本はおもしろいと思います。(すべて読んでます)
教師なら身につけておきたい知識が満載です。


ちなみに可算・不可算の問題については、認知言語学では「認知的な作用による動機づけ」(辻,2013)であると考えています。むむむ。。。
ようするに、「この場合、これは数えられそうだぞ」「この場合、これは数えられないぞ」という感覚を話すことで経験してきて、だいたい可算っぽいとかあるけど、きっちりと決まったものではなく、文脈によりけりだよねって感じでしょうか。
くわしくは、認知言語学的なこれらの問題をわかりやすくあつかった石田(2002)を参考にされたい。


【参考文献】
石田 秀雄.2002. 『わかりやすい英語冠詞講義』.大修館書店
辻 幸夫編.2013.『新編 認知言語学キーワード事典』.研究社
マーク=ピーターセン.2004. 『英語塾』.集英社インターナショナル





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1 コメント

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Unknown (m.m)
2013-12-01 20:52:52
なるほどねぇ~、高校生時代に先生はそんなこと教えてくれなかった気がする…。けっこう間違って覚えてるんだね…(^_^;)
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