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新治毅教授による講演:日本の安全保障について考える」

2007年06月10日 15時28分37秒 | Weblog
日本人は平和ボケ?--日本の防衛を考える
     平成19年6月25日
星槎大学教授 新治毅
1 前提
(1)防衛とは本来、市民の生命、財産そして領土を外敵から守るものであり、自分で自分を守ることは世界では当然のことです。昔の軍隊の悪い点だけを過大に評価して、すべて防衛は悪いことだと考えることは「あつものに懲りてなますを吹く」を地で行く典型的な例です。このため全世界の国々から自分のことも満足にできないような日本や日本人の信頼はなく、拉致問題などで理解できるように北朝鮮など外国から馬鹿にされ、なめられています。日本という国は、脅かせばすぐ屈する国であるとなめているのです。
日本が立ち上がる原動力は、ほかでもない日本人自身の英知と努力において他にありません。その中心に自分自身の平和ボケが深くかかわりをもっています。
大学などにおいて安全保障論や危機管理論といった科目を設置して「平和ボケ」から脱却することが必要です。星槎大学は、これらの科目を履修することができる日本唯一の大学で、他大学では絶対聞けない安全保障の勉強をすることができる大学です。
 (2)資源に乏しく、自給自足ができない我が国は、輸入資源に付加価値をつけて競争力のある工業製品を作り、多くの国々へ輸出して成り立っています。即ち、輸出入の長大なシーレーンに沿って紛争がないことを一番求める国であります。そこには、資源を輸出してくれる国と、製品を買ってくるところすべての国が平和でなければなりません。我が国ほど世界中が平和であることを必要とする国はありません。我が国だけが平和であっても、それだけでは十分ではありません。
  平和は永久に追求されなくてはなりません。平和を追求し戦争を防ぐには、戦争を知る 即ち 戦争の徹底的な研究しかありません。軍事問題の徹底的な研究であり、イギリスの大学に戦争研究学部があるように、大学に安全保障講座を創設する必要があります。そうすれば、軍事や戦争を理解できる学生が増え研究者が育ちます。このことが、一部の日本人などのような観念的な戦争論議の跋扈を防ぎ、正しい戦争防止の方法を考えることができます。軍事に無知であるほど危険なことは無く、軍事アレルギーほど軍事を一人歩きさせるものはありません。特に、政治家とか社会のリーダーには軍事知識が必須です。一億総軍事オンチは、国家の将来の方向を誤ることになります。日本にはこの安全保障の考え方がすっぽり抜け落ちています。
まず、大学に安全保障学部を創設して、軍事知識の普及と研究に着手することです。
日本においては安全保障研究が防衛大学校だけにあるということの方がおかしいと思
わなければなりません。一般の大学にあってなぜいけないのか。日本の優秀な頭脳を
結集して、軍事や戦争を、哲学、文学、人類学、社会学、歴史学、生物学、工学、理
学などあらゆる側面から研究する必要があります。多数の医者が集って人類共通の敵
であるガンを研究し、ガンを克服する方法を研究するように、人類共通の敵である戦
争を、あらゆる面から研究する必要があります。それが、戦争を防ぐ(平和を追求す
る)最良の方法であるからです。政治家はもちろん外交に関わる官僚、歴史学者、科学
者はもちろん経済学者や経済人が戦争のことを学ばなければならない。当然、私たち
一般の国民も同様です。星槎大学は、この日本の他大学では絶対聞けない、安全保障
の勉強をすることができる大学です。

2 自己紹介
3 始めに―― 一億総軍事音痴は危険である
(1) 平和を欲すれば戦争を知れ――戦争の徹底的研究を
戦争の防止、即ち平和の追求のためには、戦争の本質が第一に救命されなければならない。すなわち「戦争を知る」こと。多数の医者が集ってガンを研究するように。――星槎大学「日本の防衛」「危機管理」「地域紛争」など
(2) 我が国の安全保障上考えるべきこと
ア 21世紀になっても変わらないこと
(ア)領土は、約38万平方キロの四つの島以上にならない
(イ)その狭い領土の上に、約1億2000万人の人口が済む
(ウ)資源の大部分を海外に依存する(エネルギーは約90%、食料は約60%)
イ 我が国が存立する上で四つの必須条件
(ア)資源保有国が、我が国に喜んで資源を供給してくれること
(イ)資源保有国から我が国へ至る長大なシーレーンに沿って紛争がないこと
(ウ)我が国は、その資源に付加価値をつけて競争力のある工業製品を作り得ること
(エ)米国をはじめ多くの国々が、我が国の製品を買ってくれること
4 日本の防衛を考える――台湾の「元日本人」の遺言と21世紀の日本の教育(めざめよ日本人)
5 日本の今は?
6 結論
伝統と威厳、気概に満ちた日本へ(明治に帰れ)。
我が国ほど世界中が平和であることを必要とする国はない。
我が国だけが平和であっても、それだけでは十分ではない。

星槎大学教授 新治 毅(しんじ つよし)
昭和44年 防衛大学校卒、昭和50年 米空軍工科大学大学院航空工学修士課程卒、以後、航空自衛隊レーダーサイト、防衛庁技術研究本部、防衛研究所、航空幕僚監部などを勤務。平成6年 防衛大学校助教授、平成11年防衛大学校教授、平成14年防衛大学校教授退官、現在、星槎大学教授、ディフェンスリサーチセンター研究委員、防衛技術協会客員研究委員、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、虎ノ門戦略研究所フェロー、日本65研究所研究委員。著書に『安全保障学入門』(亜紀書房、平成10年)、『軍事学入門』(かや書房、平成11年)、『中国空軍』(芦書房、平成12年),』『中国の核・ミサイル・宇宙開発』(蒼蒼社、平成14年)、『中東戦争全史』(学習研究社、平成14年)『危ない中国』(光人社、平成18年)『東シナ海が危ない』(共著)など、論文多数。






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