ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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すき家のゼンショー、労働裁判で敗訴判決、会見に潜入!

2012年09月19日 | Weblog

 8月5日付の当コーナーで報じた“ブラック企業大賞受賞式”で「貴社は度重なる違法行為によりアルバイト従業員から提訴されましたが、『組合員との契約は業務委託であり、雇用する労働者ではない』という摩訶不思議な論理を主張しました」などとして「ありえないで賞」を受賞した牛丼チェーン店「すき家」を運営するゼンショーの裁判判決が7月31日、東京高裁であり、ゼンショーが敗訴した。

 この事件の発端は06年7月、東京都渋谷区内の「すき家」の2店舗で働くアルバイト20人超が、事前通告もなく突然、解雇されたことにはじまる。そのうち6人(全員が20代の男性、2~5年勤務)は、若いフリーターなどが個人加盟する労組「首都圏青年ユニオン」(以下、ユニオン)に相談、加入した。

 その後、ユニオンは「組合員6人の解雇撤回と職場復帰」、「未払い分の残業割増賃金の支給」などを求め、ゼンショーと団体交渉を始め、同年9月25日、労組側の訴えが認められる形の協定が締結された。

 その後、同年11月に入り、宮城県仙台市内の「すき家」の従業員など計10人がユニオンに新たに加盟し、「未払い残業割増賃金」などを求めた。するとゼンショー側は突然、全アルバイト従業員約1万人に対し、同月(06年11月)以降の「未払い残業割増賃金」を支払うことを決定した。要するに、これからは払う、という意思表示である。

 これに対し、ユニオン側は、それ以前(06年10月以前)の未払い分を求める団体交渉を申し入れた。するとゼンショー側は、急に交渉を拒絶した。

 そこでユニオン側は07年4月25日、ゼンショーが団交申し入れに応じないことは労働組合法第7条2項の「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」に当たるとして、東京都労働委員会(以下、都労委)に対し、救済を申し立てた。

 そして09年10月6日、都労委はゼンショーに対し、以下の命令を下した。「ゼンショーは団体交渉に誠実に応じること」、「ゼンショーの団体交渉拒否が不当労働行為と認定されたこと、及び、このようなことを繰り返さない旨を記載した文書を組合に交付すること」、「履行報告を命じる」。ゼンショーの完敗である。

 この命令を不服としてゼンショーは同年11月13日、棄却を求める再審査を中央労働委員会(国。以下、中労委)に申し立てた。ゼンショーの主張は「組合が主張する『会社の雇用する労働者』とする組合員は、会社と労働契約関係にない。つまり、業務委託契約だった」などというもの。要するに、アルバイトは業務委託であり雇用者ではない、という摩訶不思議な理屈である。

 これに対し、中労委は10年7月21日、「業務委託ではなく労働契約関係にあったことは明かである」などと判断し、「ゼンショーが本件団交申し入れに応じないことに『正当な理由』はない」として、再審申し立てを棄却した。これでゼンショー2敗目である。

 その後、ゼンショーは国を相手取り、東京地裁に提訴。訴えの内容は「中労委の命令を取り消す」というもの。法廷で原告のゼンショーは、これまで同様の主張を展開した。そして12年2月16日、判決で東京地裁は、「原告の上記主張は採用できない」「主張自体失当というべきである」「原告が団交の機会を持たなかったことには正当な理由があるとはいえない」と何度も指摘して、原告の請求を棄却した。これで3敗目だ。裁判所がこれほど原告の主張にダメ出しをするのは珍しい。ゼンショーのブラックぶりを窺わせる判決文だった。

 だが、ゼンショーは懲りずに控訴。こうして今年7月末、東京高裁は「原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却する」との判決を下した。これでゼンショーの4戦全敗が確定した。

 ゼンショーの社名の由来は全勝だが、滑稽なことに、「全敗」の道を突き進んでいるのが実態である。

 なお、高裁判決後、青年ユニオンは厚労省内で記者会見を開いた。そこで笹山尚人弁護士は高裁の判決文について、こう語った。「この判決は、非常に人間らしい判決だなあ、と思いました。どういうことかというと、判決文の後半に『控訴人の主張は、概ね原審での主張の繰り返しか、独自の見解による原判決の批判にとどまるものであり(略)、原判決の内容に何ら変更の必要を認めない』とあります。重要なのは、その下の『付言するに』云々という箇所です」

 そして、同氏はこう述べる。「付言とあるように、本当は、こんなことまで言う必要はないけども、わざわざ言っている。どんなことを言っているかというと、ゼンショー側が、自らは具体的な事実を示すことなく、過度な要求等をしていることを通し、『団体交渉の回避・拒否など別の目的があったのではないかとの疑問を生じさせる』としたり、ゼンショーの主張には独自の見解が多数みられると指摘し、『こうした主張で、控訴人の団体交渉拒否を正当化することは到底できない』と言っています。裁判官たちの怒りが、ここに表れています。東証一部上場の大企業で、外食産業1位のゼンショーが、高等裁判所からこのようなお叱りを受ける、というのは極めて異常なこと」

 また、佐々木亮弁護士は「労働組合が、なぜ労働組合として力を持てるかと言うと、団体交渉権を持っていて、使用者がそれに応諾しなければいけない義務があるからなんです。団体交渉を通して労使関係を良くしていく、そこにこそ労働組合の、労働組合たる所以がある。その交渉に応じないということは、基本中の基本を、このゼンショーという会社はないがしろにして、こんな高裁まできて、ここまで手間をかけさせる。その異常性を、是非理解していただきたい」

 ゼンショーが利益を上げている裏には、こうした違法行為がある。すき家の看板を見るたび、それを思い出してほしい。(なお、上記事件についてはニュースサイト「マイニュースジャパン」の8月18日付記事「『すき家』のゼンショーが全敗 東京高裁でも敗訴、団交拒否めぐり」で詳しく報じているので是非読んでみてほしい)。(佐々木奎一)

 

  
 2012年8月26日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
「すき家のゼンショー、労働裁判で敗訴判決、会見に潜入!」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

写真は、首都圏青年ユニオンの笹山尚人弁護士。

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