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ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

※ブログ下記移転しました(2015年7月以降)
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サザン右翼団体に屈してお詫び騒動の波紋

2015年01月26日 | Weblog

 平成二十七年一月二十六日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「サザン右翼団体に屈してお詫び騒動の波紋」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの毎日新聞に「時流底流 サザンお詫び騒動」という記事がある。これは1月16日付の当コーナーで、サザンオールスターズ(以下サザン)の桑田佳祐がHP上で年越しライブでの言動を「お詫び」したことを紹介したが、その後、17日夜のラジオ番組でも桑田が謝罪をしたことなどを報じている。

 お詫びの背景には、右翼系団体がサザンの所属事務所アミューズ本社の前で抗議のシュプレヒコールを繰り返したことがあげられる。記事によれば、その右翼団体代表の渡邊昇という人物は18日、都内で会見し、「サザンは公人。表現の自由があるとしても、桑田さんはそれを履き違えている」と言い放ったという。

 一連の騒動について、識者の間では「日本のアーティストの政治感覚は抗議が来ただけでひっくり返すものという前例も作ってしまった」(評論家・東浩紀氏)、「有名なグループが謝罪したことで『圧力には逆らえない』という誤ったメッセージを送ってしまった。嫌な風潮が広がりかねない」(ジャーナリスト安田浩一氏)といった声が出ているという。

 ちなみに、英国の思想家ジョン・スチュアート・ミルは著書「自由論」(訳: 斉藤悦則/光文社刊)の中で、「言論の自由」についてこう記している。「私は民衆が、民衆自身によってであれ政府を介してであれ、言論を統制する強制力を行使する権利をもっているとは絶対に思わない。(略)そのような力を行使する資格などない」

 さらにミルは「一人の人間を除いて全人類が同じ意見で、一人だけ意見がみんなと異なるとき、その一人を黙らせることは、一人の権力者が力ずくで全体を黙らせるのと同じくらい不当である」、「自分たちが封じようとしている意見が間違っ(略)ているとの確信をもっていたとしても、その意見の発表を封ずるのはやはり有害である」と言い切っている。

 その理由は、全体と違う意見が「正しい場合、ひとびとは間違いを改めるチャンスを奪われたことになる」ためという。そして、全体と異なる「意見が間違っている場合にも、人々は(略)大きな利益を失う。なぜなら、間違いとぶつかりあうことによって、真理はますますクリアに認識され、ますます生き生きと心に刻まれる」ためという。

 また、「その意見は正しくないと確信しているからといって、意見の公表を禁ずるのは、自分たちにとって確実なことは絶対的に確実なことなのだというに等しい。議論を封ずることは自分たちは絶対に間違わないというに等しい」「人類の良識にとって不幸なことに、人類は間違いを犯すものであるという事実が、理論上ではかならず重視されても、じっさいの場面においてはほとんど軽視されている」「時代というものもまた個人と同じくらい間違いを犯す。それは山ほど証拠があるし、ほとんど自明のことである。どの時代にも、後の時代から見れば間違った意見、馬鹿げた意見がたくさんあった。過去において一般に正しいとされた意見の多くが現在では間違いとされているように、現在一般に正しいとされる意見の多くが、将来においては間違いとされるにちがいない」と述べている。

 なお、タブーや不敬、言論の自由にも限度がある、といった考えも、言論の自由の否定だ、という意味のことをミルは言っている。

 要するに、人間というのは、言論の自由が保障されていないと、個人であれ集団であれ、誤った方向に突き進んでしまう生き物なのである。

 ミルの言葉をサザン謝罪に照らし合わせてみると、表現の自由の封殺を目論む右翼団体に屈した形の今回の事件は、この国の言論・表現の自由を脅かす危機的事件といえよう。(佐々木奎一)


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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そうかな? (タケちゃん)
2015-01-27 01:03:31
なぜ謝罪したのでしょうか?本人に聞いて見て下さい。右翼団体は貴方たちのお友達だとの一般常識なのですが。ワタナベサンは保守との常識なのですが。
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証拠は? ()
2015-01-29 16:37:55
>右翼系団体がサザンの所属事務所アミューズ本社の前で抗議のシュプレヒコールを繰り返した

抗議が実際にあったとして、謝罪に至った理由との因果関係を証明できるの?
あまりに独自解釈の激しい憶測でものを書いてるとしまいには名誉毀損で訴えられますよ?記事にするなら確固とした裏付けも付けるべきだね。
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