労働紛争解決ノート

労働・社会保険の法律&ニュース&情報発信

労働審判:異議申し立て後の訴訟【NEWS】

2010年05月30日 | 労働関連NEWS
おはようございます。神奈川の特定社労士 福田です。

今日は、NEWS記事のご紹介です。労働審判の担当裁判官が、審判後の裁判において判決を下すことが適法かどうかが争われていたものですが、最高裁は「労働審判は裁判の下級審には該当せず、違法ではない」という初めての判断を示しました。

以下、NEWS記事の引用になります。

「労働審判と異議申し立て後の訴訟を同じ裁判官が担当するのは適法かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は、適法との初判断を示した。那須弘平裁判長は「労働審判は下級審の裁判ではない」と述べた。現在の運用では同じ裁判官が審判と訴訟の両方を担当するケースも多く、現状にお墨付きを与える判決となった。労働審判は裁判官1人と民間審判員2人で審理する。審判の結果に労使のいずれかが異議を申し立てた場合、紛争は裁判官だけの民事訴訟に移行する。」

【引用元】
毎日新聞 2010年5月25日 労働審判:異議申し立て後の訴訟、裁判官同じでも適法

『労使紛争解決サポート』業務のHP開設のご案内

2010年05月27日 | ご案内他
こんばんは。

神奈川の特定社会保険労務士 福田敦子です。まだまだ、情報量も少なく、仮のHPになりますが、事務所HPの他に『労使紛争解決サポート』業務についての新しいHPを開設致しました。

労使紛争解決サポート

これまで、このブログは、自分のノートとして活用してきましたが、今後は、基礎的な労働諸法令についての豆知識などを含め、実際に紛争がおこったときを想定し、例えば、「こういう場合は、どこの窓口に相談すればいいのか?」など、役立つ情報をみなさんにご提供していければと思っています。

社会保険労務士として開業して以来、法人のお客様のみならず、一般の方からのご相談も様々伺ってきましたが、中には、労働保険(雇用保険、労災保険の総称)に未加入の会社から、即日解雇をされてしまった・・・等、本当に、切羽つまったものも多くあり、このような場合、労働基準監督署で対応してくれる事柄は?ハローワーク管轄となるものは?紛争解決の手段は?窓口がありすぎて、実際、非常にわかりずらいのが現状なのではないのかと思います。

当然のことながら、誰しも、突然、このような状況下に置かれれば、パニックに陥って当然です。又、WEB上には、多くの情報がありすぎて、逆に、自身がどうすべきか、判断ができなくなってしまうということもあるのではないでしょうか。

新しいHPは、そんなときのひとつの道しるべになりたいと思い、開設しました。

会社とのトラブルは、ボタンの掛け違いによるものも多くあります。ちょっとしたことをきっかけにして、大きな紛争となり、会社・労働者双方が疲弊してしまうケースもしばしば見受けられます。

「困ったな、どうすればいい?」

大きな紛争になってしまう前に、ちょっとした疑問・質問も遠慮なく、お寄せください。

初回メール相談は、原則、無料で行っております。「相談申込み」より、必要事項を記載の上、ご連絡ください。なお、相談内容につきましては、たとえ、無料相談であっても社会保険労務士には、守秘義務がありますので、第三者の方に漏らすことはありません。

どうぞよろしくお願い致します。

労働審判制度とは?

2010年05月06日 | 解決方法【各種制度】
労働審判制度が開始される以前は、労働紛争についても、他の紛争と同様に民事訴訟で争われていました。しかし、民事訴訟では、時間と費用がかかるというデメリットがあり、このデメリットを解消すべく開始したのがこの制度です。

労働審判制度とは、労働契約の存否その他労働関係に関する事項について個々の労働者と経営者との間に生じた個別労働関係紛争に関し、裁判所において、裁判官及び労働関係に関する専門的な知識経験を有するもので組織する労働審判委員会が、当事者の申立てにより、事件を審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、解決に至らない場合には、労働審判を行う手続を設け、紛争の解決を図ることを目的とする、労働調停を包括した制度です。

【労働審判の申立の仕方】

★申立書
労働審判委員会のメンバーが、紛争の実態を詳しく把握できるように要点をもらさず記載することが必要(基本的には、3回の期日のうち、1回目で、相手方の答弁書を出させるが、書面は、基本的に、申立人は、申立書、相手方は、答弁書の各1通のみとするようになっている)。

★提出する裁判所
地方裁判所の本庁。支部では原則、労働審判制は行いません。

★申立手数料
申立手数料は、民事調停の場合と同一です。

★審判の流れ
労働審判は、次のような流れで進行します。

①申立書の提出
申立書を提出する裁判所は、地方裁判所の本庁になります。原則、、支部では取扱わないことになっています。

②期日の指定
審理は、労働裁判官1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会により行われることになっており、最大3回まで行われます。

③調停
当事者双方の意見を調整しつつ、条件のすり合わせを行うのが原則ですが、当事者の条件に開きがある場合は、労働審判委員会が調停案を提示する場合もあります。

④審 判
審判に不服がある場合は、審判の告知を受けた日から2週間以内に異議を出すことができますが、異議が出されると労働審判は失効し、民事調停があったものとみなされます。

【労働審判活用の是否について】

労働局のあっせんを利用するのか、労働審判を利用するのか、あるいは、他の方法を利用するのかは、個々の事例を見なければ適切な判断をすることはできません。労働審判を活用するか否かについては、弁護士の先生と十分、協議することをお勧めします。

「裁判」を行うことにはかわりはなく、弁護士への報酬というハードルも越えなければなりませんが、3回の審理で決着することや、申立てのあった日から1回目の期日を設定することなどが求められており、実際、申し立てられた事件の7割近くが3回以内で終結しているようです。

(ただし、一般的には、事実関係の整理できていない事案については、この労働審判には、馴染まないと考えられています。)