■本日の言葉「do or die」(やるっきゃない)■
ニュースについて読みつつ、英語のちょっとしたフレーズやウンチクも知りたい。そんな一石二鳥を目指して、この短い水曜コラムを開始します。日本や日本人のことを、英語メディアはどういう表現で伝えているのか知り、ニュースを入り口に英語フレーズを知るのが目的です。その初っぱなの言葉として実に穏やかではありませんが、穏やかならざる時代のJAPANを端的に表す言葉を選んでみました。麻生首相が今月9日に発表した「新たな成長に向けて」スピーチを、一部の英語メディアがこう呼んでいたのです。「Do or Die(やるっきゃない)」な「Stimulus Package(刺激策)」と。(gooニュース 加藤祐子)
○ 世界は日本をこう見ている……「stimulus package」は「総合的な刺激策」、「rescue package」という呼び方もあり、これは「総合的な救済策」です。そして英米メディアは麻生政権の政策を、「do or die」なぎりぎり切羽詰まったものだと呼んだ、と。
「do or die」というのはご覧の通り、「do(やる)」+「or (さもなくば)」+「die (死ぬ)」という、とてもシンプルな言葉をシンプルに組み合わせたフレーズです。そして直訳すれば「やらねば死んでしまう」ですが、そこまで深刻ではなくても、「背水の陣」とか「やるっきゃない」とか、そういうニュアンスで結構よく使います。
けれども、環境、医療、観光などに重点投資し、2020年に国内総生産(GDP)を120兆円押し上げて400万人の雇用機会を創出するという麻生首相のこの計画を、「Do or Die」計画などと、そういうギリギリ切羽詰まった感覚を込めて伝えた日本語報道は、あまり見あたりませんでした。
しかし日本の外から見れば(この表現を使ったのは一部メディアにせよ)、世界第二の経済大
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ナイキ レブロン13に向けられている世界の目はそれくらい厳しいもので、翻せばそれだけ期待も大きいということなのでしょう。日本ががんばってくれないと、日本もダメになるし世界も困るよ、と。
ちなみに「do or die」のように、こういうシンプルな言葉をシンプルに組み合わせた言い回しこそ、色々な意味が込められて使い勝手がよく、色々な場面で使い回しができるものなので、このコラムでもできるだけそういう表現を取り上げていきたいと思っています。
そしてたとえば、英語の上司(なぜ英語なのかはさておき)に「このプロジェクトは君が成功させなきゃアカンよ。今こそやるっきゃないよ(it-s do-or-die time)」と言われたら、別に「die(死ね)」と言われてるわけではないと、まず安心してください。
○さらにちなみに……さらにちなみにこの「do or die」、もう一つのポイントは「do」と「die」が共に同じ「d」で始まっていること。つまり、頭韻(alliteration)。これを活用したフレーズも英語にはたくさんあります(「now or never」とか「watch and wait」とか。「bed and breakfast」もそういえば)。なぜかというと、語呂がいいからです。口に出しやすい。日本語の七五調のようなものです。
ほかに英語表現を語呂よくするのは「rhyme(脚韻)」です。たとえば「wine and dine」や、経済危機についてよく使われる「doom and gloom」、先頃G20サミットでブラウン英首相がタックスヘイブンについて使った「name and shame」(いわく、情報開示に応じないタックスヘイブン国は「名指しして辱める」)という表現など。
短いコラム……と銘打っておきながら、のっけから脱線しました。けれども今後もなるべく手短に、てっとり早く読めるようなコラムを心がけたいと思います。Do or die…。
◇コラム開始にあたって英語メディアは日本のことを、どういう言葉で語っているのか。英語メディアを通じて広 く世界中に「日本人とは~」と伝えられる表現が、日本人からすると「なるほど、合ってる」と思うのか、「う~ん、ズレてるな」と思うのか。まずは、どうい う言葉が使われているかを知るところから始めたい。自分でも使える表現だと思ったら、使ってみたい。そんな思いのコラムです。英語メ ディアが伝える「日本」ならぬ「JAPAN」を拾っていけば、そこには私たちの知らない日本の姿が見えてくるかも。
またこの「JAPANなニュース」コラムに加えて、これから金曜日には「ひまだね英語」コラムで、ちょっと気楽なニュースから英語フレーズを拾い出し、月曜日には「ニュースな英語」コラムとして、国際ニュースに使われた英語フレーズを扱います。専門用語というよりも、簡単な言葉の組み合わせが深い意味をもつ、そんな日常的に役に立つ言い回しを、ご紹介していけたらと思っています。よろしくおつきあいくださいませ。
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◇このほかの「ニュースな英語」コラム
エビちゃんは日本の「soft power」——JAPANなニュース(2009年4月15日)
◇筆者について…加藤祐子 東京生まれ。シブがき隊と同い年。8歳からニューヨーク英語を話すも、「ビートルズ」と「モンティ?パイソン」 の洗礼を受け、イギリス英語も体得。怪しい関西弁も少しできる。オックスフォード大学、全国紙社会部と経済部、国際機関本部を経て、CNN日本語版サイトで米大統領選の日本語報道を担当。2006年2月よりgooニュース編集者。米大統領選コラム、「オバマのアメリカ」コラム、フィナンシャル?タイムズ翻訳も担当。英語屋のニュース屋。