スカーレット手帖

機嫌のいい観客

ロミオアンドジュリエット -ロミオアンド死、featジュリエット-

2013-10-15 | 観劇ライブ記
行ってきました、梅田ヴェローナ。

世界一有名と言っても過言ではない恋愛物語の王道「ロミオとジュリエット」。
日本版の再演です。

今回、キャストの組み合わせが大事だと心底思いましたので、
本日の出演者を明記しておきましょう。(キャスト表の写真撮るの忘れました…)

***

10/15(火) 13:30 @梅田芸術劇場

ロミオ:城田優
ジュリエット:清水くるみ
ベンヴォーリオ:平方元基
ティボルト:加藤和樹
マーキューシオ:東山光明
パリス:加藤潤一
死:中島周

【以下シングルキャスト】
ロレンス神父:安崎求
ジュリエットの乳母:未来優希
キャピュレット卿:石川禅
キャピュレット夫人:涼風真世
モンタギュー卿:ひのあらた
モンタギュー夫人:鈴木結加里
ヴェローナ大公:中山昇

***

さあ、そんなロミオとジュリエット。
最初に言っておきます。きょうの感想は、長いよ!!



まだ見ぬ恋に焦がれる深窓の少女と、本当の恋をまだ知らない天衣無縫の青年が
運命的な出逢いに導かれて恋に落ち、まさに一日千秋の想いを昂らせ、
一思いに本懐を遂げようとするものの、宿敵同士である一族の壁に阻まれ、運命のいたずらに翻弄されてしまう。
若い2人が性急すぎる思いで駆け抜け、天国から死へと墜落してしまう悲劇。

そんな運命の恋人であるロミオとジュリエットって、やっぱり
はたから見て、「カップルになって然るべし」と思わせる感じがある必要があると思うんです。

同じくらいの若さ又はさわやかさ、もろさ、はたまた情熱の度合い、無鉄砲さ、
まあ原作では14才にもうすぐなるというジュリエット(この設定そのまま使ったら単なる淫行物語なんであまりないけど)は
多少のつたなさがあってもよいかなと思うけれど、そうであればそこを補う気品というものが欲しい。


ちなみにわたしが初めて見たロミジュリは、当時小六ぐらいだったかなと思うんだけど、
幼心にすごくかっこいいと思った映画。
天使の羽根(ランドセルちゃうでー)を背負ったクレア・デーンズ演じるジュリエットの美しかったことと、
そして輪をかけて眩しいまでに輝くレオナルド・ディカプリオが印象的なあの映画でした。
アメリカンハイティーン風味にアレンジされたヒット作ですね。クレア・デーンズの潔癖性そうなジュリエットよかったわぁ。
映像と舞台が違うのはわかっているんだけど……

もうね、言うしかない。
今回、ジュリエットが、足りなさすぎる!!!!

城田優が圧倒的に「巧」「濃」で、すっごく「洋」なのに対して、
清水くるみが「拙」「薄」で、限りなく「和」なんですよ…
恋に落ちるような気がしない。この2人、見ててカップルになりそうな気配がまったくないのよ。
今回は18才のロミオと、16才のジュリエット という設定でしたが、
親戚のお兄ちゃんと久しぶりに会ったら中学校の制服を褒められて、なんかドキドキしてる子にしか見えない。(清水)
または、上京したての若い子をからかっておもしろがっているホストにしか見えない。(城田)
なんだろうなぁ、歌はまあうまいと思うんだけど、城田優と並ぶと、彼女は「うまい子役」に見える。
ぜったい城田ロミオはくるみジュリエットには惚れないと思うんだよね。涼風真世には惚れるかもしれないけど。
名曲「エメ」も、楽しみにしていたんだけど、なんかロミオが自分に向かって歌っているだけのような気がした。

ジュリエットの衣装もいまひとつ似合ってない。なんかもったいないなぁ。
純真さを出すため(?)に白い服で微妙な丈のマーメイドっぽいスカートに地味なハーフアップの髪型、
高身長のフランク莉奈ならあれでよかったのかもしれないんだけど、逆にもっさりしてしまっている。
ヒロインなのに、ヒロインなのに出て来たときの華やかさが足りない……!
パンフレットを読んだら、彼女は普段はボーイッシュな子らしい。そうだったならば、
若さを打ち出すために超ミニスカにするとか、逆に足元まで覆うスカートで少女の神秘性を出してみるとか、
髪の毛をもうちょっとボリューム出すとかむしろショートカットでいくとか、
存在感とキャラを付けてくれたらよかったのになぁ。純真お嬢様でも、もう少し造形で幅付けても良いと思うのよ。
ロミオさんやら周辺のメンズばっかり獣柄付けていじっていないで、
ヒロインにちゃんと花を持たせるような演出付けてやってほしいです。
ただでさえ城田優が特濃なんだから。。。 もう、城田の「俺ショー」みたいになってたよ。うまいけど。
そんなこんなで私、途中から「あー、もう高畑充希あたりがやればよかったんじゃね」という妄想をしていました。
(6月に見た「スウィーニー・トッド」で高畑充希ちゃんと今回東京でロミオやってた柿澤くんが演じた
 少女と水夫のほうが、よっぽどお似合いのロミオとジュリエットだったので)
ていうか初演は昆夏美もいたんだね!それはすごかったかもしれない… 
そうよ、ビジュアルで城田優の特濃に対抗できないんなら、もう、技しかない。
いやー、新人のピュアな魅力って、実は舞台ではなかなか遠くまで届かないんですね。(今回1階後方席だった)
みずみずしさを魅せるのも、すごく技の要ることなんだなぁと思った。がんばれ、くるみジュリエット。

ただ、思うんだけど、上でも(無駄にアツく)語ったようにロミジュリって2人のバランスだと思うので、
清水くるみは古川ロミオとのカップルであればけっこうハマるんじゃないだろうか。
古川くんのロミオ、見てないんだけど、
エリザやら見てるいつもの感じだと、基本根暗の繊細中二病青年だろうと思われるので、
昆布だし×しょうゆ みたいな感じで、うまみを引き出し合える存在になるのでは。という妄想。

(…と思ってたら、アフタートークでまさかの古川×城田による窓辺のシーン再現が(笑)
 ここを見た分には、古川ロミオ、恋のときめきに柄にもなく胸をふくらます、しとやかなロミオだった。くぁーわいい。
 城田ロミオとうってかわって若々しいし。←オイオイ
 いいじゃん! たぶんこのロミオだったらくるみジュリエットはハマると思う。こっち見たかった。
 ただその際は、「似合ってるけどこのカップルにこんだけのオオバコ(会場)まかせられないんだけど」
 というスケール感のものたりなさを感じる可能性はあるけど…)

城田優は、今回初演につづいてロミオ役と、もうひとつ、敵役のティボルトもやってるそうですが、
彼はたぶんティボルト役のほうが良いと思います。(見てないけど断言)
だってなんか、あんまりロミオの若さ故の暴走が見えないんだもん……!色々うますぎて。
「この街の王様は俺たちだ」とか歌ってるところはなんかよかったんですけど、
恋に翻弄されたりもうしないと思います。彼は。政治とかやりそうです。雰囲気的に。
松平健がいつまでも青年役やってる違和感みたいなもんですね。きっと。だって次、ファントムだもんね…
フランク莉奈ちゃんとの洋風長身ペアだとどうだったのだろう。それはちょっと見てみたかった。
てか運命の恋人役が複数キャストて、いいけどなんか、乱交みたいで(すみません)ちょっとアレですね。笑


そんでね、これが言いたい。
ロミオが怯える「死」がダンサーとして表れているというのがこのミュージカルの特徴なんです。
(エリザベートみたい。。)
これが、イイ!!
遠目で見ると、「醒めながら見る夢」の時の天使と悪魔(古川くんと村井くん)みたいなメイクしてましたが、
中島周さん、とにかくいい身体してるんだよなぁ。シースルーの衣装から透ける筋肉がすばらしい。
城田優と並ぶと小柄なんだけど、存在感がなんか違う。
背中には十字架を背負い、死を迎えるキャストに忍び寄り、ロミオにはつきまとう。
神父からのメールを受信したロミオの携帯を壊して、最終的にロミオが死ぬために飲み干す毒薬を渡すのもこの「死」。

ロミオが死の影に怯えながら歌うナンバーの時に
彼にまとわりつく妖しい踊りをするんですが、これが……もう、エロス!!
もう、「腐」メガネをかけずに見てても、ジュリエットとのシーンよりも桁違いにエロスの磁場が発生していました。
やっぱ表現者の人は違うな。
何気ないときにふわぁ~~っと舞台上に居れてしまう感じ。
最後に全員がロミオとジュリエットを囲んで、レクイエムとしてのエメを歌うんですが、
その時に宙づりになって、キリストが磔になったようなポーズで幕を閉じるんだけど、妖しさ満開。
やばかったです。
カーテンコールのときのふるまいまで、いっさいの言葉を発さず過剰にサービスせず、
ひとり異質な存在感を放ちまくっていました。
すばらしいです。
この人を見に行っただけでも、なんかよかったなと思いました。
まあ、要するに今回は「ロミオアンドジュリエット」じゃなく「ロミオアンド死」だったというわけでした。


・ベンヴォーリオ
平方くんはなんかもう、「安定!」って感じ。
去年エリザで見たときも思ったけど、まっすぐ! て感じ。
「いい人」が似合うんだわ。育ちが良くて、ちょっと空気読めない系の…
繊細な感じはあまりしないんだけど、逆にちょっとやそっとではびくともしない感じがして良いと思います。
若手男性でそういう役があれば、もう何も考えず彼に振ってしまっていいんじゃないですか。
背も高いし姿勢がいいし。城田優より大きいくらいだった。意外。
「信長亡き後ライバルは勝家」とか歌ってたのに。エエ声で…笑

・ティボルト
加藤和樹ティボルトはなんか、肉食っぽかったなぁ。ライオンというより狼みたいな。
衣装のヒョウ柄が似合うこと。おばさまとも関係を持つ、なんか東海テレビの昼ドラ風味ティボルト。
歌の中で
「はじめて女を知ったのは15の頃で~ それからいろんな女を抱いてきたぜ~ 
 でもほんとはジュリエットが好きなんだけど~なんたらかんたら」
みたいな歌詞があったんですけど、(うろ覚えもいいところだな)
なんかリアルっぽいなと思って笑ってしまいました。ほんとにこんな風に生きてそうだな~笑
2年前はこれ平方くんやってたのよね。ぜんぜんイメージできない。
こんな悪そうなティボルト見せつけられたあとで平方ティボルトはぜんぜん想像できんぞ。
あと、肉食なんだけど、一方で加藤和樹はやっぱ和風というか、時代劇とかやったらどうかな と思って見てました。
俺はティボルトの歌が「ティボルツ」って聞こえるのがおもしろかった。

・マーキューシオ
なんかもう一押し欲しかったなぁ。主要キャストなのに、「モンタギューのその他大勢」との見分けがつきづらかったです。
イメージ的に、ベンヴォーリオとかより上の位置づけだと思ってたんだけど、なんかどうも…
あと、刺されても血が出ない。私はこういうときは、出来たら血を出してほしい。(演出の問題)

・涼風真世ショー
涼風真世が出てきて歌い出した瞬間、「本日は、涼風真世ショーにお越し下さいまして誠にありがとうございます」的な雰囲気に… 
言うまでもなく歌うまです。この人まだまだ力余ってんな… 
比較的短い出演時間に、女の情念を打ち出してきやがります。さすが。
涼風さん、ブリブリ衣装がかわいらしくてこれがまあ似合っているのだけど、
ドレスのスカートがキャピュレット家の柄ということでヒョウ柄×アクセントに赤色が入っているので、
なんか遠くから見たら、チョコフレークの上にイチゴソースがかかったパフェみたいに見えました。
おいしそうでした。
あ、ジュリエットに話しかける歌が「ジュリエッツ」って聞こえました。(ティボルトと同様)
日本語ってなんかこういうとき、ツライね。

・石川禅ショー
涼風に石川てエリザベートか! て感じですけど、
禅さんも後半で歌い出した瞬間「石川禅ショー」の開幕です。
赤いジャケットで遠目から見ると世良公則みたいでした。

あーもうすっごく長くなって来ちゃったけどあとこれだけは言わなくてはならない、
ヴェローナ大公の歌がめっちゃうまかった!!
乳母もすっごいうまかった!!!
あと、衣装がいちばんかわいいのはロミオのお母さんです!!!めちゃおされ!アヒルみたいでかわいい。

いやー、なんかこう脇を固める人たちの上手さを見ていると、
メインキャストがやるべきことって、「うまい」ことじゃなくて
「若い」「アツい」「刹那的な」ことなんじゃないかなと思います。
この夏、私はテニミュを見まくっていたので、若さと体力には免疫がついています。
その目で見ると、いやー、もっと「若い」行けるはずだよ、という期待を持ってしまったな。
けっこう「うまさ」のほうに行ってたな。だからちょっとあまり、心ゆさぶられなかったのかもです。

【ここから加筆】

 ちょっと思い出したことあったので、書いておこう。
 
 演出が現代版になっていたんだけど、やっぱり携帯とかフェイスブックとかの話は要らないんじゃないかな。
 衣装が奇抜だよ というところあたりでとどめておいたほうが。
 乳母がモンタギューのたまり場に来た時に掛けてあったウォーホルの絵みたいなバナナとブラックベリーの絵も
 なんかどうなんだよ、っていう興ざめポイントでした。
 なにぶん、6月に見た「オセロー」が、同じ古典でも、古めかしい言葉を使いながらも現代的な演出で作りこんで
 すごく印象的な仕上がりになっていたので、比べるとちょっと、「ダセッ」てなりました。(ひどい)

 あと、ロミオが放逐されたあとに、コロコロのついたキャリーバッグをひいて場末の町に来るシーン…
 OLの旅行か!!! てなりました。
 あそこは、革の鞄を手持ちで来るべきでしょう。笑かす気か…

 て、なんか思い出すのダメ出し項目しかないですね。性格悪いですね私。すみません。

【加筆分おわり】


本日は公演後にWロミオトークショーがありまして、
その中でなぜか古川×城田でバルコニーのシーンの再現、および
「エメ」歌唱までありました。エメはこっちのほうがよかったな。
トークショーでは終始城田リードでした。

お互いのロミオの魅力については、

城田→古川:みずみずしい
古川→城田:声とか18才って感じ(…とか他にもいろいろ褒めてたけど忘れちゃった。。)

城田くん曰く、目指すところは似ているがアプローチが違うそうです。

さらに加藤ティボルトと城田ティボルトの違いも古川くんが語ってたな。
マーキューシオを刺すシーンの目つきが
加藤:「今刺せなくてもあとでぜってー殺すぜってー逃がさねえぞ」
城田:「今ぜったい殺す」
的な違いですって(笑) うろ覚えですが。充実のトークショーでした。

さらに終演後、古川くんのサイン会までありました!
ヒイ~~ うれしいいい~~~
なんか得したわぁ~
古川くんにサインもらって、(しゃべりはできないけど)目礼してもらって
ふわふわした気分のまま、帰ってきました。



いやあー 今回6000字に迫る勢いで書いてしまいました。
これ評論にしてどっかに売ろうかしら(笑) つかこれくらいの熱量で仕事もしたいもんだ。

思うところはいろいろあれど、生の舞台はやっぱいい。
そして、自分の観劇経験の蓄積がさらにブースターとなって、味わいを増していくんだから。
ますますやめられない趣味になりそうです。

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