ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

障害者福祉サービスの報酬に「社会福祉士」で加算

2009年03月03日 | 社会福祉士
 2月24日の障害福祉サービス費等報酬改定等に関する都道府県等担当者説明会で、厚生労働省の障害福祉部が「平成21年度障害福祉サービス報酬改定(案)の概要」を示した。この中に、「社会福祉士」という用語が登場した。正直、(社)日本社会福祉士養成校協会としては、今回要望書を出しておらず、怠慢と言われてもしょうがいないが、これで突破口ができたと、嬉しい限りであり、誰かと祝杯を挙げたいぐらいである。

 ただ、これはサービスの質を確保する観点から、加算を付けて頂いた。具体的には、療養介護、生活介護、児童デイサービス、共同生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助といった入所施設や通所施設の日中活動系サービスについては、社会福祉士資格保有者が25%以上雇用されている事業所には、1日10単位の加算がつくことになった。50人施設であれば、1か月で約15000単位のアップとなる。

 同時に、施設や共同生活介護(ケアハウス)、共同生活援助(グループホーム)といった入所施設の夜間サービスにあたる居住系サービスについては、社会福祉士資格保有者者が25%以上いる事業者には、1日7単位の加算がつくことになった。50人施設であれば、1か月で約10500単位のアップである。

 事業者は日中活動系と居住系を合わせてやっているため、社会福祉士配置で、経営が変化することになり、社会福祉士採用が促進することを期待したい。そのため、社会福祉士を報酬単価の加算に加えて頂いたことは感謝に耐えないが、2点課題をもっており、その克服に努力していく必要があると考えている。

 その第1は、このような加算は、障害者自立支援法では、利用者は原則1割の自己負担をして頂く以上、社会福祉士資格取得者比率の低い施設よりもケアの質が高いものとなっていることが実感できなければならない。さもなければ、次の改正で、利用者からの反乱が起こる。そのためには、社会福祉士はそのような能力を発揮することが求められている。社会福祉士会といった職能団体が中心に、社会福祉士を養成する大学等が協力して、継続研修を実施し、付け刃でない実力を高めることに努めたいものである。
 
 第2は、介護保険での介護報酬改正では、介護福祉士という用語は万と出てくるが、社会福祉士という用語は一切出てこないことにある。今回の介護報酬改正が始まるに当たって、(社)日本社会福祉士会の村尾会長と(社)日本社会福祉士養成校協会会長の私で、介護保険施設等の相談職が社会福祉士資格取得者の場合には、加算を付けてくれることの要望書を、厚生労働省まで出向いて、介護給付費分科会委員長宛で出している。現実に、要望書を出している本人である私自身が無理だろうとの認識では、加算等取れるはずがない。

 そこで、3年先に介護報酬改正では、社会福祉士が配置されていることで加算が取れる戦略を考える必要がある。そのためには、一つは、社会福祉士が配置されているために、介護職の離職が低くなったり、退所に地域に移行する者が多くなったり、ケアプランが充実したり、入所者等のQOLが高まったりのエビデンスを作っていくことが不可欠である。第二には、こうしたエビデンスをもとに、加算を付けてくれるよう、多くの団体がスクラムを組んでアクションを起こしていく必要がある。この団体には、(社)日本社会福祉士会といった職能団体、(社)日本社会福祉士養成校協会や(社)日本社会福祉教育学校連盟といった養成団体、(社)日本老人福祉施設協議会や(社)日本老人保健施設協議会といった施設の団体、さらには(社)日本社会福祉施設経営者協議会が核になる。そのため、職能団体や養成団体が施設の団体や経営者の団体に依頼し、働きかけることが必要である。

 障害者福祉サービスの報酬改正を突破口にして、介護保険での次期介護報酬改正での社会福祉士での加算に向けて準備に入ろう。ただ、社会福祉士資格者に加算をつけろと要求しても、それだけではかなわない。実力をつけて、加算を取っていきたい。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大きな一歩、でも喜ぶのはまだ早い? (エセケアマネージャー)
2009-03-04 12:59:54
 加算の対象になったことは、率直に喜んでもいい・・・、ように思いますが、それはこの種の「報酬」に示された文章についてよく知らない人の発言ではないでしょうか?
 要旨を見ますと、「社会福祉士等」となっています。「等」ということは、「社会福祉士」採用に加算が付いたのではなく、「社会福祉士+いくつかの職種」が加算の対象ということを意味します。つまり、社会福祉士でなくとも、「等に含まれるいくつかの職種」であればOKということです。ですから、「いくつかの職種」に何が含まれるか?が実は大変重要なわけです。
 それと、「障害福祉サービス」は、身体障害・知的障害と精神障害の三障害が含まれます。それなのに、精神保健福祉士が明記されていないのも疑問です。
 ここからが、各職能団体や障害福祉関係者と行政との駆け引きのスタートです。その結果、「オイオイ、それはないだろう」という結末にもなりかねないので、ここは社会福祉士会がしっかり厚生労働省へアプローチをして、実のあるものにしなければいけません。
 果たして、社会福祉関係者はそこまでできるのでしょうか?その点を注意深く見守っていきたいと思います。
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嬉しい (かとちゃん)
2009-08-12 21:04:15
何にしても嬉しいです!
介護保険で加算がとれる日はいつになるのか?
気長に待ちます。
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