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人民解放軍空挺部隊は9個旅団体制へ

2017-05-11 22:44:23 | 中国軍事
長らく3個師団体制であった中国人民解放軍空降兵(空挺部隊)が改編される。

中华网「空军“空降兵军”番号首次亮相 改为旅营制」によると、中国中央人民広播電台の報道内で「北部戦区空軍空挺軍某旅団」という新しい部隊が登場した。これは今回の軍事改革で、従来の「軍団-師団-連隊-大隊」から「軍団-旅団-大隊」体制へと改編されたことを表していると思われる。また名称が、第15軍から空降兵軍団に変更された。
改編後の体制について中华网社区「空降兵军横空出世:空军空降兵部队已划归北部战区」によると、現在の主力3個師団隷下の6個大隊を6個旅団に整理、改編し、通信、工兵、化学等専門兵科を集めて支援旅団に、航空輸送大隊とヘリ大隊を統合して航空旅団に、教導隊や空降兵学院を統合して訓練基地へと部隊を整理、また特殊作戦大隊は特殊作戦旅団に拡充、格上げされる。



ヘリボーン作戦の中核を担うZ8-K。


空降兵軍団所属のWZ-9。Z-10Kが配備されるまでは空降兵軍団の保有する唯一の攻撃ヘリだった


空降兵の直接支援を担う航空旅団のW-10K。空降兵軍団への配備は2016年頃と比較的新しい装備だ


またヘリコプター以外にもY12のような小型機も空降兵軍団航空隊は保有している

また旅団隷下の大隊も、編成が大きく変わるようだ

新浪军事「中国空降兵改旅后快速形成战斗力 曾重装空投高原」によると、従来の空挺兵のみで構成された空挺大隊(大隊ごとに機械化率はまちまち)から諸兵科連合の混合大隊である空降合成大隊へと改編される。
この空降合成大隊は、「山猫」全地形車を装備する自動車化中隊、03式空挺歩兵戦闘車を装備する空挺機械化中隊、ロケット砲及び速射迫撃砲分隊、対空分隊、対戦車分隊で編成され、従来の空挺大隊より人数こそ減っているものの、連合作戦能力や柔軟性が大幅に向上しているとの事。
また教導隊と空降学院を統合して訓練基地とした結果、3個師団の内1個師団を教導に回し、緊急展開可能な部隊が2個空挺師団隷下の6個空挺連隊、18個空挺大隊(機械化率はまちまち)しかなかった体制から、6個空挺旅団24個半機械化、半自動車化合成空挺大隊にまで空挺部隊は拡充される。
さらに軍団直属の特殊作戦旅団、航空旅団、支援旅団が加わり空挺軍の緊急展開能力と連合作戦能力は充実し戦闘能力は大幅に向上する見通しだ。

重装備を空中投下するIL76輸送機。人民解放軍は着実に空挺、空中投下能力を向上させている。空降合成营演练立体攻击:3型战车火炮同机连投より


空挺自動車化中隊の保有する山猫全地形車。高い不整地突破能力とZ8やMi17でも空輸可能な事から空挺部隊や陸軍の特殊部隊、国境警備隊等に広く配備されている

ヘリコプターに機内搭載され輸送される山猫全地形車※陸軍特殊部隊の車両



空挺機械化中隊の保有する03式空挺歩兵戦闘車。30mm機関砲とHJ73対戦車ミサイルを装備する空挺戦闘車両だ


IL76より空中投下される03式空挺歩兵戦闘車


03式空挺歩兵戦闘車は乗員の他に5名の空挺兵を乗せることが出来る。

03式空挺歩兵戦闘車車内の銃眼


ロケット砲及び速射迫撃砲分隊の装備する63式107mm12連装ロケット砲

現在は新型自走ロケット砲の配備が進んでいる



ロケット砲及び速射迫撃砲分隊の装備する82mm車載速射迫撃炮「戦獒」。99式82mm速射迫撃砲の車載モデルである

以上が今回の軍事改革に伴う空挺部隊の改編とその装備概要である。
军事报道で言及されている通り、近年空挺は西方高原地域での空挺降下能力の獲得に力を入れているようである。
2016年8月に初めて高原地域での空挺降下を実施して以降、空降兵部隊は「全域能降 降之能打(全地域に降下可能 降下した後戦うことが出来る)」空挺部隊を目指している。
この空挺部隊の西部高原地域での効果能力獲得が不安定な状態である新疆やチベットを睨んでいるものなのか、又はその先の国境問題を抱えるインドを睨んだものなのか、果ては一帯一路の重要地域である中央アジアを睨んでいるものなのか。
国産大型輸送機であるY20が配備され、大規模な空挺作戦が実施出来るようになるであろう空降兵軍団の今後に一ミリオタとしては期待している。


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