翔の小説 ~青春友情恋物語 LISAの恋人探しの旅~

はじけた青春物語です!
楽しんでいってください!

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第三話 ~今夜はカニだ!~

2007-02-22 18:17:51 | Weblog
アイスを食べ終えた俺達は、避暑地としてタカの家へ図々しくも上がりこんだ。タカの家は、2階建のどこにでもあるような家で、学校から2駅ほど離れたところにある。ちょっと市内からは離れていて、郊外にあたるんだけど、今日は俺の家に行くわけじゃないし、まあ、タカの家で落ち着こう、ということで。

タカの部屋は2階にある。
ちょうど部屋の窓から見える位置に木の枝が伸びていて、緑の葉が少し弱くなった日の光に当たって、キラキラと輝いていた。

「しかし、見かけずによらず、片付いてるな~、この部屋」

アキラが感嘆の声を挙げた。確かに、タカからは想像できないけど、部屋は清潔に保たれている。うかがわしい種の本やそういった類のモノは一切見当たらなかった。

「タカだって、やるときはやるじゃん」

葵が意味のわからないほめ方をする。

それから、タカとアキラはテレビゲームを始めてしまった。
あまりゲームを好きじゃない俺と葵は、見る側に徹したのだが、見るだけ、というのもなかなか面白い。
そんなかんじで時間はあっという間に過ぎていってしまうのだが、人生もこんな感じなんじゃないだろうか。見ているだけで過ぎていってしまう人生。さみしいな。もっと行動的になろうじゃないか。見る側じゃなく、どうせなら見られる側になりたいな。

「おい、俺にもやらせろ」

「おう、かわるよ。ほれ。」


なんかの、戦闘機のゲームみたいだった。
開始10秒。俺の戦闘機は煙をあげて撃沈した。

どうやら、まだしばらくは、見る側にいないとダメらしい。
また葵と二人で後でゲームを眺める時間が始まった。

「ねえ、さっきの男の子、誰なんだろうね」

「あ~。うちの学校の制服だったけどな。見たことないな」

「ちょっと、気になるね。ふふ」

「なんだ?一目ぼれか??」

「そんなんじゃないけど~、ほら、正体が気になるじゃん。なんか、謎に包まれてる感じがするし♪」

それは、葵がただあいつのことを知らないだけなんじゃ・・・・



そんな感じであっという間に夕方になって、まだ一応春なわけだから暗くなるのは早いし、暗くなったら肌寒いわけで。
俺達はタカにさよならを言って、家をあとにした。

さっきまで輝いていた葉っぱは、浴びる光をうしない、しんなりしていた。
まるで、スポットライトを浴び終えた後に、舞台裏でぐったりしている役者みたいに。

誰でも、いつでも見られる側ってわけにはいかないんだな。




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第二話 ~今日は筋肉痛!~

2007-02-16 16:22:08 | Weblog
「本当に四月かよ!」

アイスクリーム屋についた俺達は、あまりの暑さのため口数が減り、出てくる言葉は「暑い」だの、温暖化に対する文句ばっかりだった。

それでもいざアイスを注文し、ベンチに腰掛け(タカだけ体でかいから違うベンチに座った)、それぞれのアイスを口にすると、

「ん~!おいしい!」
「最高だな!!」

と、みんなみるみる間に元気になった。

「ケン、おまえそれ何味?」

アキラが聞いてきた。

「ティラミス」

「ティ、ティ、ティラミス!?なに気取ってんだよ!」

タカが汗を体中から吹き飛ばしながら叫んできた。うるさい。ハゲが。

「いいじゃねーかよ!!これめちゃくちゃうまいんだよ!!」

「あ、ケンちゃん、一口ちょうだい♪」

と、これは葵。

「え、え、おまえ、それ、それは・・・おまえ・・・・まずいだろ」

「何がよ?」

「か、か、間接キ、キスなんじゃねーのか・・・?」

「はぁ~~?なに小学生みたいなこと言ってんのよ!さっさと食わせろ♪」




やば・・・今の言い方、なんかちょっとかわいい・・・




「おまえら、青春だな~」

アキラがほのぼのとつぶやいた。




それから俺達は、学校のことについて他愛のない話で盛り上がった。
盛り上がってるときの話ってのは、どんどん話が脱線していくもので、学校の話題から始まっていた話は、いつしかクラスのだれがだれのことを好きか、という話へと移っていた。まあ、おきまりの脱線コースだ。

「え、まさみちゃんって、タカのこと好きなの!?」

「態度見りゃあわかるだろ?」

「え、だって、タカだぜ!?いっつも授業中鼻ほじってる、タカだぜ!?」

「え~でもタカ、意外と女子に人気あるんだよ♪おおらかだしね。」


みたいな。タカはものすごい嬉しがってるけど、


実は俺達3人が仕組んだドッキリなんだけどね。まさみちゃんは高橋っていうやつのことが本当は好きなんだ。でも、タカのリアクションが面白いから、ついからかってしまう。

「ま、まさみちゃんかぁ・・・いや、でも、俺はもうちょっと耳が大きい子が好みだな・・」


なんで!?

「なんで、耳?」

葵が薄ら笑いを浮かべながらタカに聞く。

「俺、人生あんまりついてないから、彼女にするなら福耳の子が良いんだ」

「あははは!!なんだよその変なこだわり!!」

みんな噴き出した。
あ~~~~もうタカって本当におもしろい!!
こうやってみんなと笑うの、幸せだな~。

ちょっと笑いすぎてしまったのだろうか。俺は片手に持ったアイスを振り回しながらゲラゲラ笑っていたようだ。
ドン、という音がして、ハッとした。

ベンチの後ろを歩いてた通行人に、アイスクリームをぶつけてしまった。

「あ!!」

やばい、どうしよう・・・クリーニング代払わなきゃいけないのかな・・・

「あの、すいません。服汚れてしまってますから、お詫びになにか・・・」

と、葵がよこから言ってきた。こういうとき、葵は本当にしっかりしてる。
俺は、性根がゆがんでるから、素直に謝れないんだ。

「いえ、全然おかまいなく。」

よく見ると、俺達と同い年くらの男の子だった。
彼はニコっと笑い、本当に気にしてないから、と何度も言い、心配する葵をその場に残し、急ぎ足で去って行った。

「は~~。好青年って、ああいうやつのこと言うんだな~」

タカが関心しながら言った。

「あれ?そういえばあの制服、うちの学校じゃない?」

葵が気づいたように言った。

「あ、そういえば・・・」

「あんなやつ、学校にいたっけ・・・」







良くある出会いの始まりだった。



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第一話 ~長いのは、最初だけだよ?~

2007-02-12 16:53:19 | Weblog
4月。春真っ盛り。
太陽の光が窓からさんさんと入ってきて、
まるまっている僕の背中を優しく包み込む。

っていうか暑い。
優しすぎて、おせっかいというか。地球温暖化のせいか、春の日差しはまるで夏のように熱く、桜はもうすでに散ってしまっていた。

去年の今頃は、教室の窓から見える桜がとてもキレイで、授業そっちのけで桜をずっと見ていたのに。一年経つだけで、世界ってこんなにも変わるんだ。
今、教室の窓から見える緑の元・桜の木は、高2のスタートを飾るにはあまりふさわしくない”景色”だった。








授業がだるい。英語の先生、何言ってるかワカンネー。
あ、そうそう、俺の席は一番前なわけね。だから、目立ったことできないわけ。だから本当に暇。

「なあ、ケン。今日の放課後、アイスクリーム食べにいかね?駅前に31ができたんだ。」

後ろの席のアキラが、俺の肩を叩きながら言った。

女子か。アイスクリームって・・・しかも31?

「行ってもいいけどよー、どうせタカとおまえと、俺だろ?男3人で行ってもな~」

「あ、私もその話のった!」

これは、葵。前河葵。
葵は、中学校からの知り合いだ。しょっちゅう俺達とつるんでて、結構仲が良い。
家も俺のとこと近いし。極端にいえば、幼なじみみたいな関係。まあ、俗に言う男と女の友情ってやつかな。

急に葵が話に入ってくるもんだから、あわてて葵の方向を見ようとしたんだけれども、アキラの横、つまり俺からみれば斜め後ろに座ってるもんだから、一瞬首がありえない方向に回ってしまった。人間の体って、怖い。

「マジで?葵も来るの?」

「いいでしょ?」

「そりゃもちろん良いけど・・・」

「いいけど・・?」

「いや、その・・・」

正直、俺達もう高校2年生だ。そろそろ恋人ができてもいい年ごろだし、異性を意識しはじめる年齢はもうとっくに過ぎている。言ってしまえば、葵ははたから見たらすごいかわいい女の子で性格も良いわけだし、俺達とつるまなければ一瞬で彼氏なんてできてしまうだろう。
だから、なんていうか、その、あんまり俺達とつるむのは良くないんじゃないかな・・・もう中学の時とはわけが違うんだし。
でも、俺は葵が俺達のもとから離れていってしまうのはすごいさみしいし・・・
最近、そういうジレンマが俺の中にはあるわけです。

葵に、この考えを言うべきか、言わないべきか。一瞬ものすごく迷った。不二家に行った時、ショートケーキを買うか、シュークリームを買うかどっちにしよう、ってくらい迷った。今じゃどっちも絶対買わないけど。
そんなとき、視界に、タカが鼻ほじってる姿が目に入ってきて、なんか、一気に話す気分じゃなくなった。盛り下がったというか。萎えた。


「なによ」
葵がまじまじとこっちを見て言ってくる。

やべ、なんて言おう・・・もうどうにでもなれ!

「だってお前、今日生理なんじゃねーの!?」

「はぁ!?ちょ、あんた本当にデリカシーないわね!信じらんない!!」

そう言いながらも、葵の顔は笑ってた。
俺も笑った。お互い笑ってた。


俺達はこんな関係だった。











「あ~それにしても英語担任のライアン、マジなにいってるかわかんね~」

放課後、俺達4人はいつもの通学路を下って、アキラが提唱したアイスクリーム屋さんへと向かっていた。
木漏れ日が顔に降りかかってきて、少し気持ち良い。
早くもセミの鳴き声がどこからか聞こえてきていた。

「俺なんて鼻ほじってるときに当てられたんだぜ。あいつマジ空気読めよ」

タカが不満げに漏らした。
タカは、坊主で、体大きくて、色黒だけど、おおらかで、でもテンション高くて、どうしようもなくアホだけど、一緒にいるととても和む。ハゲだけど。
なにか困ったことがあったら、タカとしゃべるようにしてる。癒されるから。
ハゲだけど。

「はは。そんなの自業自得だろ。ライアン先生も、話してみると良いやつだよ」

アキラがタカを、笑いながらなだめる。
アキラは、クールだけど、友達思いの優しいやつだ。
黒髪にストパーあてた感じの、いかにもクールってイメージだけど、本当に友達思いだ。頭いいし。

俺達は中学生からの付き合いだ。
親が全員同じ会社に勤めてて、3人とも同じタイミングで東京から京都へ転勤することになり、3人とも同い年の子供がいたから、同じ京都の中学校へ通わせたのだ。だから、俺達はすぐに仲良くなったわけ。
そんでついでに、周りが関西弁なのに俺達だけ標準語だから、よけい仲間意識が強くなった、っていう、ね。別にこいつら以外に友達がいないってわけじゃないけど!!ただ、こいつらが、自分の居場所みたいに思えてくるんだ。

「ケンちゃんもさっきライアン先生に叱られてたよね。セクシャル・ハラスメントだぞ!!って(笑)」

さっきの会話はもろにライアンに聞こえてたらしい。そりゃあ、席一番前だし・・

「ケンちゃんって呼ぶなって。はずかしい」

「だって中学生のころからケンちゃんって呼んでるんだもん。今さら変えられないしーー」

葵は、同じ中学に、2年生のころ転校してきた。
彼女も関東圏出身だったということもあり、すぐに俺達と仲良くなって、以来、
ずっとつるんでいる。
黒髪のセミロングっていうのかな。目はクリクリで。スラーっとしてて。
芸能人にいそうな感じ。



俺?


俺は、名前はケン。
茶髪で、テンション高くて、バカです。自分をこれ以外であらわせって言われても、無理!あ、背は168センチです。ちょっと小柄です!


「しっかし、暑いな~」

タカがハンカチで顔を拭きながらぼやく。もちろん、ハンカチは青色。
タカが暑いっていうと、いっそう暑く感じる。

「京都は盆地だからな。夏は暑くて、冬は寒い。悪い家のお手本みたいだよな」

アキラがまるで解説してるように言う。頭良いアピールか。

「ねえねえ、アイス買ったらさー、タカの家行こうよ!涼もう!」
 
葵がうれしそうに、はしゃぎなら提案した。タカの驚いた様子といったら、目が飛び出るっていうのはこのことか。カンボジア人に一瞬見えた。

「なんで俺ん家なんだよ?ケンの家でいいじゃねーかよ、一人暮らしなんだし」

「え、だって・・・ねぇ?」

俺の家は、うん、今一人暮らしです。はい。
何年か前にオヤジが単身赴任でインドに行って、しばらくオフクロと二人で生活してたんだけど、ある日、オフクロはどっかに行ってしまった。

あの日、俺は風呂に入る準備をしてて、オフクロはパソコンをいじっていた。
「ケンー?あんたの好きなおまんじゅうあるけど、食べる??」
俺はそのときトイレにいたんだけど、トイレの外からオフクロの声がしたのを、確かに聞いた。そして、うん、食べる、と返事もした。
「テーブルの上においとくからねー」
と、オフクロは言っていた。
俺は、テーブルの上においてあるおまんじゅうを食べずに、そのまま風呂にはいった。風呂上がりの牛乳と一緒におまんじゅうを食べようとたくらんでいたからだ。

風呂からあがると、オフクロはいなかった。
置き手紙がはってあって、濡れた手でそれを持ち、読んだ。3回読み直した。
ごめん、嘘。5回読み直した。
男ができたらしい。その男のところへ行ってきます、と。まるで、お買いものを頼むような感じで書かれた置き手紙だった。
あまりにも軽くて、内容も、紙も、どっちもあまりにも軽くて、そのままフワフワとどこかへ消えてしまいそうな勢いだった。俺と過ごした14年間って、あなたにとってはそんなに軽いものだったんですか?


テーブルの上におまんじゅうはなかった。





こんな状況を葵は全部知ってるから、気を使って、俺の家じゃなくてタカの家に行こうって言ってくれたんだろう。


やばい、テンション下がってきた・・・暗くなっちゃう。俺は、一度暗くなっちゃうと引きずってしまうタイプだから、だめだ、明るくいなくちゃ・・・


「いいじゃねーかよ、別に!ケンだって、一人でさみしいんだったらなおさら俺達がおしかけたほうが喜ぶって!なあ?ケン!」

タカ・・・こいつは、本当に・・・
空気を読めないのか、わざと言ってるのか、俺でもわからない。
アホはなにを考えているのか、まったくわからない。ハゲだし。

「そうそう、エロ本もってたって注意する人いねーしさ?」

アキラもニヤニヤしながら言う。
本当にこいつらって、プラス思考。

「おまえら来てもいいけどな、金とるからな!エアコンだってタダじゃねーんだよ!!」


「よっしゃ!そうこなくっちゃ!!アイスおごってやるからそのぶん金はチャラな!!」



こんな最高なやつらと過ごして、4年以上経った。
5年目の今年は、いったいどうなるんだろう?

春真っ盛り。それでも京都の町には、夏の足音が聞こえてきていた。

















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