カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

ミッション・イン・カリフォルニア

2009-05-16 18:01:18 | お出かけ
キリスト教徒が人口の大半を占めるというのに、アメリカ、特に西海岸には
美的鑑賞に値する、あるいは歴史的意義のある教会というのが意外に少ない。
そもそも国の歴史自体が浅いのだから歴史的建造物に乏しいのは止むを得ないとはいえ、
遺跡オタクには物足りないことは否めません。

ミッションMissionは、そんなカリフォルニアの数少ない史跡の一つといえます。

初めて「ミッションに行ったこと、ある?」と尋ねられた時、
「?なにか特殊任務に就いたことがあるかってこと??」と思ってしまったのは、
完全に映画『ミッション・インポッシブル(スパイ大作戦)』の影響ですね~

“mission”ていうのはもともと使節とか、伝道・布教活動という意味があります。
“カリフォルニアのミッション”というのは、かつてスペインの入植時代に、
カソリック教会がネイティブ・アメリカンへの布教活動のために送り込んだ
スペイン人宣教師達が建設したキリスト教の伝道所のこと。

宣教師ジュニペロ・セラは王命に従い、1769年から1823年の間に、
南はサンディエゴから北はサンフランシスコのソノマまで、21の伝道所を建てました。
アメリカ以前とはいえ、カリフォルニアの歴史を知る上で欠かせない要素の一つであり、
カリフォルニアの小学生達は、必ず夏休みの宿題でミッションの自由研究をするんだとか。

余談ですが、アメリカ人は自分達のルーツを学ぶことに非常に熱心です。
ワシントンDCやフィラデルフィアに行った時、親子連れが多いのにビックリしましたっけ。
あるお友達は、家族でDCを訪れるため、子供に学校を休ませたいと申し出たところ、
先生が「それは素晴らしい!是非行ってらっしゃい!」と仰ったそうですよ。

おっとっと、話が逸れました

オレンジ・カウンティには、1776年11月に建てられた7番目のミッション、
Mission San Juan Capistranoがあります。
アーバインからは車で30分もかからない所だから、半日ドライブコース。
気軽に訪れることができます。

フリーウェイI-5をOrtega HWYで下りてまっすぐに進むと、
右手に古い遺跡のような建物が見えてきます。
これがMission San Juan Capistranoです。
塀に沿ってサボテンが植えられていて、異国情緒を醸し出しています。

21のミッションを結ぶ道は
“王の道 El Camino Real”
と呼ばれ、今もカリフォルニアの各地(ミッション周辺)に残っています。
実はウチ(アーバイン)の近くにもあるんですよ~

入り口は意外に
こじんまりしてます。

中に入ってオーディオガイドを借り、左側の建物から奥に向かって見学していきます。
建物内は博物館になっていて、ネイティブ・アメリカンのもともとの暮らしぶりや、ミッション建設後の遺物や資料などが展示されています。
要所要所にオーディオガイドの説明を聞くスポットがあります。

ミサに使用した衣装や道具類も展示されています。
カソリックの装束だけに荘厳でゴージャス。


ここはカリフォルニア・ワインを醸造したところ。
カリフォルニア初のワイナリーは家内制手工業の様相?

ミッションはキリスト教の布教活動の拠点という側面だけでなく、
狩猟採集生活をしていたネイティブ・アメリカンに、土地の開墾を指導するなどして
“文明化”という役割も果たしました。
このミッションは19世紀初めには家畜3万頭を所有するほどの繁栄を享受したそうです。

建物の裏手にはハーブ園もありました。
手前のサークルは、ハーブなどを乾燥させる場所

ミッションについての基礎知識を学ぶ部屋もあります。
21箇所のミッションの場所が図示された地図
それぞれのミッションには固有のマークが決められています。
これがサン・ジュアン・カピストラーノのマーク

訪れた子供が拓本を採れるように、
クレヨンが置かれていました。

古い日干しれんがの建物は、どこかスペイン風で趣があります。

緑が深い奥庭は4ヘクタールもあるとか。
表の喧騒もここまでは届かず、鳥の声に癒されます。

奥庭の右側の建物は、1782年築のSerra Chapel
カリフォルニア・ミッションで現在も使用されている礼拝堂としては最古のものだそうです。
正面の壁いっぱいに、カソリック教会らしく絢爛豪華な祭壇があります。
この祭壇はわざわざスペインのバルセロナから運ばれたものなんですって。

礼拝堂の裏手には墓地、そして鐘楼を臨む小さな庭。
鐘楼には教会のシンボルともいえる鐘がかけられています。
この鐘は礼拝の刻を告げるだけでなく、食事や作業の合図にも用いられました。

礼拝堂の脇の建物は宣教師達の居住棟。
寝室や貯蔵庫、厨房など生活感があります。

居住棟を抜けて前庭に戻りました。
Great Stone Churchは1797年に建てられたもので、1812年の地震で崩れてしまいました。

鐘楼の外観

もともとこの鐘楼はGreat Stone Churchの一部でした。

小さい鐘は建造当時のものですが、大きな鐘は架け替えられたもの。
オリジナルは庭の隅に展示されています。

手入れの行き届いた広い庭には、南国らしい原色系の花が今を盛りと咲き競っています。
奥庭の緑とは対照的に、こちらの前庭はたくさんの花々で実に色彩豊か

絵心を刺激された画家達が絵筆を握る姿も見られました。

ここは“ミッションの宝石Jewel of the Missions”と言われているんです。
その美しさと豊かさに惹かれてでしょうか、
教会の石壁にいつの頃からかツバメが巣を作るようになり、
毎年3月19日“聖ヨセフの日”になると南から大挙押しかけるようになったそうです。
ここは世界的に有名な“ツバメの聖地”でもあるのです。
みやげ物屋には、ツバメをモチーフにしたものもたくさん見受けられます。

スペイン風とメキシコ風が絶妙に融合した、不思議な空間。
ここだけ歴史の狭間に取り残された観があって、
外とは時間の流れ方が違っているような気がしました。
Mission San Juan Capistrano
26801 Ortega HWY
San Juan Capistrano

※ホームページ→こちら

大人:9ドル
(オーディオガイドつき)
 ↑日本語はありません


ミッションの見学を終えたら、ちょうどランチによい頃合。
アムトラックの駅舎を利用したレストランがあるというので行ってみました。
踏み切りの脇に、教会のようにも見えるレンガ造りの建物があります。
ここが件のお店、Sarducci's

駅舎の景色が良いからとレストランに改造してしまったため、
実際の駅舎は、ホームの端に停められた列車を改造して利用しているという始末。
こういう感覚は
実にアメリカ的!

もと駅舎だけに、部屋の入り口に“待合室”や“荷物預り室”などの表示がありました。

お天気が良いのでテラス席はほぼ満席状態でした。
オーソドックスに、バーガーとサンドイッチでランチ。
お味はなかなかのもの
サンドイッチはボリューミィ

食事中、列車が到着しました。
乗客が乗り降りする様子がよく見えます。

暑いくらいの日差しに、噴水ではスズメが水浴びしてました。

天気の好い日のランチにはもってこいのお店です♪
Sarducci's

26701 Verdugo St.,
San Juan Capistrano

TEL:(949)493-9593

※ホームページ→こちら
(注:音が出ます!)


踏み切りの向こう側はHistric Districtになっています。
線路沿いのLos Riosという通りに、古い家が建ち並ぶ。
それらは一部ショップやレストランになっていて、こちらも趣があります。
女性好みのカフェThe Tea House on Los Rios→HP)ってのもありましたよ
次回トライしてみたいですな~

ミッションの周りには築200年という古い建物が残っていたり、
インディアン・ジュエリーを扱うお店などが並んでいて、
ちょっとエキゾチックな雰囲気です。
ふと日常を離れて異国情緒を味わいたい時に、お勧めのスポットです。


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