Mのミステリー研究所

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まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

『摩天楼の怪人』島田荘司のミステリ

2014-06-01 09:39:31 | ミステリ小説
                                            

占星術殺人事件で鮮烈なデビューを飾った島田荘司ですが、奇想なトリックと大掛かりな仕掛けで読者を魅了してきました。
御手洗 潔という名探偵を創造し数々の難事件を解決した彼ですが、この摩天楼の怪人も時間を遡って彼がコロンビア大の助教授という時代の事件となっています。
マンハッタンに建つセントラルパーク・タワー。そこに住む大女優のサリナス。彼女が死期の近い自分の命を悟り懺悔と告白をします。
48年前の1921年十月三日の夜。ハリケーンが上陸しマンハッタンは大停電の中にあって、ニューヨーク中が午後八時半から十時五十分まで真っ暗闇の時を過ごしていた。
そんな中34階に住むサリナスが1階に住む人物を拳銃で殺害したと話すのです。同じ階に住む隣人に姿を見られたのは9時。そして15分後にも隣人と会っている。
6基あるエレベーターはすべて止まっている。どのようにして15分の間に34階から1階に住む人物を殺害できたのか、この謎を解くようにいって彼女は息を引き取ります。

このあとセントラルパーク・タワーには数々の怪事件があったことが浮かび上がってきます。当事の刑事の行動を追って怪異と不思議な殺人事件が続く様子が語られます。
伏線もあちこちに散りばめられていますが、その前に著者独自の都市の成り立ちと文明による変換の様子がウンチクをもって綴られています。この辺はけっこう読み応えが
ある部分です。街の歴史なども語られセントラルパークなどがどの様に作られたのか興味深い話が抽入されています。
タイトルに摩天楼の怪人となっていますが、これは有る程度ネタバレのところがあります。そう、云ってしまえばオペラ座の怪人です。
ただ、島田荘司らしいスケールの大きな物語でいろいろな謎も御手洗の解決でもって収束するわけですが、少しモヤモヤ感があるのは否めません。

                              


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