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不妊手術って必要なの?シリーズ2

2009年05月25日 | 日記
不妊手術の必要性を考える場合のシリーズ2です。

今日は乳腺腫瘍について書きましょう。

乳腺腫瘍には良性と悪性があります。
大昔、犬の腫瘍は「8割良性」と言われ、お腹に大きなコブをぶら下げたワンちゃんが沢山いました。
つまり、「悪いものではないので」と手術の必要性を強く勧めなかったわけです。
しかし今の腫瘍の悪性度は5割になり、手術も早期切除を勧められます。

乳腺腫瘍は、さまざまな形になって現れます。
小さな硬い米粒大のシコリ~梅干の種サイズの物まで大きさはバラバラですし
たった1つだけ~ポチポチ無数に発生するまで数もバラバラです。
サイズや数だけでは良性か?悪性か?など判断できませんし、してもいけません。
腫瘍とは、「腫瘍疑い」として組織を切除し、病理検査に出して初めて「何か」と診断します。

シコリは大きくなりすぎると手術が難しくなります。
理由は、「腫瘍」を疑っての病巣切除ですから、患部より一回り大きく切除するからです。
では、何で大きく切除するか?というと、腫瘍は目で見えない場所、細胞単位で増殖します。
浸潤しているかもしれないために大きく切り取るのです。
たとえ悪性だったとしても、切除した切り口に腫瘍病変が無ければ「切り取れた」つまり、手術は成功したと言え、再発や転移の心配もすぐには出ないのです。

乳腺腫瘍が悪性の場合、「乳癌」となります。
乳癌の場合、一番心配なのは肺への転移です。
転移癌は、進行も早く、悪性度も増しますので、肺へ転移した場合、助ける事は難しいです。
病気の進行と共に呼吸困難になりますので、最終的には安楽死になる子が多い病気です。
痛みなら薬で抑える事ができますが、息が出来ないのはどうにもなりません。
窒息して死ぬような事を、普通の飼い主さんは耐えられませんし
私たち医療従事者も望みませんので、止むを得ない選択だと思います。

乳腺腫瘍はホルモンによって成長します。
最初の乳腺腫瘍切除術の時に、子宮卵巣を取り除く不妊手術も行うのが理想的です。
ホルモンが止まったことで再発や転移を遅らせる事が出来ます。

シリーズ1でお話した子宮蓄膿症とは病気の進行や治療の速度が違いますが
どちらも不妊手術をしてない子に発生する病ですので、
手術をしていない飼い主さんは日々の健康チェックを念入りにしてあげましょう。

乳腺腫瘍を防ぐには3回目のヒート(発情)までに子宮卵巣を摘出する不妊手術をする事が理想です。


不妊手術って必要なの?シリーズ1

2009年05月18日 | 日記
ここ10年、新しくワンちゃんを飼い始めた方は、
子犬の検診時に、不妊手術の相談をされる方が増えました。
とても良い傾向だと思います

去勢手術の話も書きましたが、女の子の場合、手術の必要性は強く主張したいと思います。
皆さんご存知の通り、不妊手術をしない場合、子宮蓄膿症と乳腺腫瘍の発症率があります。
どちらも命に関わる病気です。
特に子宮蓄膿症は緊急を要する病気で、夜中でも手術をしないといけないくらい危険です。

不妊手術をしない場合の「注意1」として、まずは子宮蓄膿症について書きましょう。

子宮蓄膿症
読んで字のごとく、子宮内に膿が溜まる病気です。
発情出血が終わってから1~2ヶ月内に症状が出る事が多く
タラタラと出血が止まらなかったり、一度止まったのに再び分泌液が出る場合などは要注意です。
また、まったく分泌液が出ずに溜まる一方の場合もあります。
その他の症状としては、元気消失、食欲減退、多飲多尿、腹部膨張などがあります。
でも、発情後1~2ヶ月内に元気が無く食欲が落ちたら念のため受診される事をお勧めします。

子宮蓄膿症の手術&治療
上記のような症状が出て、子宮摘出手術をしていない子は、まず子宮蓄膿症を疑います。
そこでまず血液検査をし、白血球の数値を確認します。
子宮蓄膿症は体内に膿が溜まっている病気、つまり炎症が起きています。
白血球の数値が高い場合は、どこかに炎症が出ている証拠です。
同時に肝臓や腎臓、凝固機能の数値も確認し、手術の場合に備えます。

次に超音波(エコー)検査で腹部を確認します。
最新の高性能エコーなら何も無い子宮も確認できますが、
犬の子宮は小さいので、機械によっては胎児や異物(膿など)がなければ見えない場合もあります。
これらの検査で子宮蓄膿症「疑い」となれば、即、静脈点滴をつなぎ、
飼い主さんと手術の相談をします。

手術は子宮卵巣全摘出術で、普段行う不妊手術と同じです。
しかし元気な時に行う摘出手術とは違いますし、飼い主さんが気付くのが遅ければ
子宮は膿で膨張し、子宮周辺に炎症が起きている場合もあります。
過去一番酷かったのは、バケツ一杯に膿が溜まっていた中型MIX犬もいました。
膿の量は体格差で違いますが、子宮は、その犬の胎児分しか膨らみませんし
羊膜に守られた胎児と違い、液体そのものですから、卵管を逆流し腹腔内に流出している場合もあります。
そのような場合は、手術をしても腹膜炎や敗血症になって術後「死亡」する場合も少なくありません。

手術で膿の溜まった子宮卵巣を摘出したら、術前に繋いでいた点滴を24時間流しながら、抗生剤と消炎剤を投与します。
症状にも寄りますが3~10日間点滴入院をし、腹膜炎治療をします。

食欲も戻り、血液検査でも状態が安定していたら退院しますが
抜糸出来るまでの間は、飲み薬に代えて抗生剤・消炎剤を投与し続けます。

ここで豆知識
子宮蓄膿症は、犬種によって予後安泰の犬と、予後不安の犬がいます。
データーではゴールデンレトリーバーなどの大型種が術後合併症により死亡ケースが多いとされています。
元々炎症に弱い部分もあるようですが、腹腔内が広いので子宮が膨張しても
飼い主さんがなかなか気が付かず、ゴールデンなどはダルそうにしていても
食事を出せば食べてくれるし、散歩に行こう!と誘えばシッポを振って喜ぶので
病気全般に発見が遅れてしまうのでは?と思います。

不妊手術をする?しない?は飼い主さんの考えがあるでしょうが、
していないのなら病気の可能性があるのですから、
毎日の健康チェックは、不妊済みの子より念入りにしてあげましょう。

今日は子宮蓄膿症について書きました。
次回は乳腺腫瘍について書きたいと思います

去勢手術って必要?

2009年05月16日 | 日記
春や秋は恋の季節ですが、反面、トラブルの季節でもあります。
KOKOの病院では、最近、犬同士でケンカをしてしまった患者さんが続いています。

お散歩で飼い主さん同士が立ち話をしていた時や
いつものように「ご挨拶」をしている時など、これといって変わった原因はありません。

でも、必ずといって良いのは、去勢していない若い子が関わっています。
被害犬になる時もあるし、加害犬になる時もあります。
普段は問題が無くても、オスは生まれ持って戦う動物です。
女の子を獲得する為に戦う事もあれば、友達や家族を守ろうと戦う事もあります。
たまたま飼い主さんが立ち話している場所が大切なテリトリーだったのかもしれません。

トラブルを避けるには去勢手術をしておくのが一番ですが、その前に
「オス犬を飼育している」という意識を持つ事が大切です。
KOKOはペットとして考えた時、メスよりもオスのほうが可愛いと思います。
理由は、とても甘えん坊だからです。
一般の家庭で犬を飼育する場合、90%以上が「ペット」として迎えていると思います。
この「ペット」とは「家族の一員」とか「子供」「孫」「相棒」などという意味です。
「可愛がる対象」とした時、メスよりもベタベタ甘えん坊なオスのほうが断然可愛いのです。

でも、オスには『戦う本能』も持ち合わせていますので、
そこを面倒臭がって「メス」ばかり選ぶ方が多いですが、コレは去勢手術をしてしまえば解決できる問題です。

KOKOがお付き合いをしている長年のブリーダーさんたちも、
「ペットとして飼うのに、なぜ手術をしない?」と、言います。
つまりメスもオスも、
「繁殖しないペットなのに手術をしないでいるメリットがあるのでしょうか?」
という意味です。

不妊手術や去勢手術には賛否両論ですし、基本的な手技でも手術ですから危険はつき物です。
だからこそ、どこの動物病院でも「やりなさい」とは言われないはずです。
でも、飼い主さんが「やった方が良いですよねぇ?」と聞くのなら
「やった方が良いですよ」とKOKOなら答えます。

「自然に反する事」だと言う方もいらっしゃいますが、ペットは野生動物ではありません。
人間に飼われている時点で自然ではないのです。
だったら、人間界で病気やケンカのトラブルを避けて、心地よく生活する為に
不妊・去勢手術は「アリ」なのではないでしょうか?

今回、傷を負ってしまった子達は、幸い助かりました。
胸膜に犬歯が刺さって穴が開いてしまい、呼吸困難なった子もいましたが、元気になってくれました。
でも、お散歩で「襲われた」というトラウマは残ります。
肉体的な傷は軽くても、精神的な傷はなかなか完治しません。
これは怪我をさせてしまった子も同じなのです。

去勢手術をして育てるオス犬は本当に可愛いですよ
KOKOの家にもワンパク坊主が5匹いますが、メスにはない可愛さがあります。

メスは子宮蓄膿症や乳腺腫瘍(乳癌)の発症率が高いので
不妊手術を勧められる事は多いと思いますが、オスは躾の為に去勢される事が多く
大人しい子だと獣医さんも話しませんし、飼い主さんも検討しません。
でも、普段のお散歩で「的」にされてしまう場合もあるので犬同士の接触には充分注意してあげましょう。


春ですね~

2009年05月12日 | 日記
春ですね。。。

今年も来ましたチビチビにゃんこ

でも、これがまた可愛いーっんです

4匹兄弟なんですけど、保護されてから半日も授乳されてなかったので、朝一番で来院された時には、空腹で泣く事もできませんでした

夕方拾ったのはよいけれど、子猫用のミルクもないので牛乳を水で薄めて少し暖めたものを、お皿にいれて与えてくれたようです

よく、アニメなどで「子猫に牛乳」シーンがありますが、絶対にダメですよぉ

牛乳がダメと知ってても、他にあげるものが無いので、せめて水で薄めれば。。。なんて思ってしまいますが、これも栄養価が下がるだけで、子猫には意味がありません。

今回の拾い主さんも、夜でショップも閉店しちゃって、、、と悩んだ挙句、この方法をとりました。

では、こんな時、どうしたらよいのでしょう?

一番良いのは動物病院に相談に行き、病気やノミ感染の有無を診察してもらい月齢と、それに合った適切な飼育法を指導してもらい、
子猫用ミルクと哺乳瓶を購入します。

病院が終わってしまっていたら?

普通、動物病院は夜8時~9時まで診療しています。

その時間帯以降に保護したのなら、とりあえず怪我をしていないか?確認します。

次にノミに感染していないか?を確認します。ノミがいたらシャンプーして洗面器のミニ湯船に首まで付けて、お湯は掛け流しにし、ノミを流しましょう。

猫ちゃんは毛が柔らかいので溜めたお湯の中でないと濡れた毛が広がらず、シャンプーをしても毛の間にノミが残ってしまうので、必ず溜め湯に入れましょう。

お風呂に入れると清潔にもなりますし、お湯で体も温まるので低体温を防げます

お風呂からあがったら、ドライヤーで毛の根元まで完全に乾かしましょう。

次に、40℃くらいの砂糖湯を作って、ミルクの代わりに与えます。

お皿から飲めないようなら、コットンなどに含ませて吸わせてあげるか、スポイトで口の横から少しずつ、ゆっくりと入れてあげましょう。

お砂糖の濃度は、人間が舐めて、ほのかに甘い?程度が良いです。元気が無いからといって甘すぎると危険です。

砂糖湯の場合、1~2時間おきに与えて下さい。そして寝不足のまま翌朝、動物病院へ直行しましょう


今回の猫ちゃん達は、拾った方が頑張って里親さんを2人見つけました

偉いですね、拾っても「私の家では無理なので。。。」と、病院に持ってくる方がいますが、これは無責任な行為です

拾うだけなら子供でもできます。

大人が拾った場合は、今回の方のように、ご自分が飼えなくても、引き継いで下さる方を一生懸命探す努力をするまでが責任です。

確かに蚊細い声で「ミーミー」泣いていたら放置できませんよね。でも、拾って「はい、よろしく」では棄てた飼い主と変わりません

まぁ、一番悪いのは棄てた本人ですけどね。最低ですね

ママ~!と泣いている小さな子を棄てるなんて人間とは思えません

動物を虐待したり棄てる行為は犯罪です

棄てた飼い主が判明したり、虐待を目撃したら警察へ通報して下さい。逮捕してもらいましょう

さて、幸運にも常識ある優しい方に保護された4匹猫ちゃんは、保護主さん見つけたので2匹決まり、病院の患者さんで子猫待ちして下っていた方に1匹決まりました

残った1匹も10日ほどKOKOが育てて、保護団体さん経由で里子に出ます

綺麗なチャトラでしょ~男の子なんだけどプリティです

みんな運が良かったね。幸せになってね

新ブログ@スタート

2009年05月09日 | 日記
ブログをスタートさせるのは、これで5回目です。

1つ1つスタートの目的があり、ソレが終了すると心機一転させています

前回はyahoo!ブログで、収容センターからレスキューした

臨月ダックスの出産育児記録を公開するためにブログを始めました。

たくさんの方に読んで頂き、日記もバラエティーに飛んだ内容でした

一区切りが付いたので、今回は、動物看護師の目線からブログを書きたいと思います

前のブログからの方々も、どうぞヨロシクお願い致します

とりあえず、春は元気な子も動物病院に足を運ぶ時期ですから

いろいろな予防のお話を随時書いていこうと思います。

「いまさら。。。

なんて思う人も、本当に必要なのか?どうして必要なのか?

KOKO流の思う事を書いていきます