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ここはアーリーのイラスト・マンガ中心の個人趣味二次創作同人ブログサイトです。

ジャックさん

2017年10月14日 | 頂き物

・ずっと一緒に:アーリー様へ

「ミルク、一緒にお菓子作りしよ!」

「チャオ!」

ベッキーとミルクが楽しそうに遊んでいるのを見ると、心が和むと同時に少し切なくもなる。
何故なら、俺が子供の頃に可愛がっていた方のミルクはもういないからだ。
俺は思い出す。
最初にミルクと出会った時の事を・・・・・・

かなり前の事で、俺がまだ6~7歳の頃だった
周りからはいつも虐められ、家族とも滅多に会えずに寂しい毎日を送っていた。
子供心ながらに死にたくもなった。
しかしいざ死に直面すると恐ろしく、自殺なんて出来なかった。
家族を悲しい思いにさせたくなかったが、これ以上虐められるのも嫌だった。
どうすればいいのか・・・そんな絶望の淵に立たされていた時だった。

「ジャック、俺達はまた仕事でこの家を空けなければならないんだ」

「でもジェシカもいないから・・・心細いだろうけど、お留守番しててね。なるべく早く帰ってくるから」

また両親と離れ離れだ。
姉貴も旅行で家にいない・・・もう1人になるのは嫌だ・・・・・・俺は死の道を選ぼうとしたが、そうはいかなかった。

「それまでにコイツが話し相手だ」

「チャオ!」

「なっ!?」

そう言って親父は俺に幼体の白色のチャオを渡してきた。
元気が良くて、俺に飛びついてきた。
触り心地の良い肌と可愛らしい表情、そして愛らしい仕草にいつしか心が和んでいた。
そして久々に笑った気がした。

「そいつがいれば寂しくないだろ?」

「可愛がってあげなさいよ、ジャック」

そう言って両親は家を出ていったが、今の自分は1人じゃない。
チャオがいるのだから。
俺の事を気に入ってくれたのか、スリスリしてくれる。
家族以外の者はみんな自分を嫌ってきた。
しかし仲良くしてくれるチャオがいて、凄く嬉しかった。
それにしても名前が必要だ・・・白色だから・・・・・・ミルクでいっか!
呼びやすいし。

「名前はミルクでいいかな?」

「チャオ!」

俺の言葉に反応したかのように、嬉しそうに返事してくれた。
それから先、嫌な事が沢山あったがミルクを見ると一時ではあったが辛い出来事を忘れさせてくれた。
ミルクがいたから、こうして生きていけている。
その事にも凄く感謝していた。
俺はミルクと一緒に遊んだりして楽しんだ。
このまま一生・・・転生させてでもずっと一緒でいたかった・・・・・・。
しかし運命は残酷なもので、その願いは叶わなかった。
ミルクは地元の不良グループの奴らに虐められ、傷つきながら殺されてしまったのだから。
もともとアイツらは俺を虐めてたのに・・・何の罪無いミルクを・・・・・・。
当然、ミルクは灰色のマユに包まれて消滅してしまった。
俺はミルクを守ってやれなくて、自分の無力さを感じた。
それから自暴自棄になりかけたが、姉貴のお陰でなんとかなった。
だけどその後はチャオを育てる気など無かった。
もうあんな悲しい思いはしたくなかったし、もしまた何かあったら守れないかも知れないからだ。
自分が成長していくに連れて、チャオには興味がすっかり無くなってしまった。
だが俺は一時期ベッキーが元気を無くしていたのを見て、両親が元気が無かった頃の自分にしてくれた事を実行してみた。
そうすれば元気になるだろうと思ったからだ。
その考えは見事に成功し、ベッキーは元気を取り戻せた。

そして現在・・・・・・俺は“今の”ミルクを見る。
ベッキーとミルクは疲れてソファで仲良く眠っている。
微笑ましい光景だ。
かつては俺もあんな感じだったが、今では俺が育てていたミルクはもういない。
しかし前にベッキーが言ってくれたように、今のミルクは昔のミルクの生まれ変わりなのかも知れない。
そう考えると、やはりミルクは俺とずっと一緒なのだろうな・・・・・・。
だけどお前達は俺みたいな悲しい思いはしないでくれよな・・・・・・。
そう願いながら、俺は2人に布団をかぶせてやった。
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