ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 72ページ目 3本のコルトン・シャルルマーニュのトリック  

2013-03-31 23:15:02 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【72ページ】


「いえ、私の答えは1997年です。」

 
 白庭社長は、またもや意表を突かれた。

和音の話していたイメージは、ヴィンテージとは全く関係なかったのだろうか?


「それでは最後のテイスティングをお願いします。」


 和音は、左端のワイングラスを手に取り、香りを嗅ぎ、口に含んだ。

アロマもブーケも1997年のコルトン・シャルルマーニュのように思えた。

そして味覚は完璧に1997年であった。


「このワインには別のイメージが湧いてきました。」


 和音は、飾られているコルトン・シャルルマーニュの香りを放つバラによって嗅覚が

狂わされているのに気付いていた。

ヴィンテージの迷いを悟られないようにイメージの話を続けた。


「シャルルマーニュ皇帝に褒められる上質の白ワインを造っている人々の姿のようです。

英雄が愛飲するにふさわしい超一流の白ワインを造り出すのは苦難だったでしょうか?

それとも苦労だったでしょうか?」

「そ、それは・・・」


 白庭社長は、返事に詰まった。

答えるべきか答えないかどちらにしても和音にヒントを与えるように思った。

いや返答に迷ったことで、心の中を読み取られたか?


 「私も苦難か苦労かで迷っているのですよ!」


 和音はそう言って、ワイングラスのコルトン・シャルルマーニュをもう一口飲んだ。

スミレの育て方3月 スミレの花を楽しむ ゆうぎりが四番目に開花 

2013-03-25 20:34:36 | スミレの月別育て方
 五鉢あるゆうぎりのひとつが育てている日本スミレの中で四番目に咲きました。

ゆうぎりは鉢以外で、プランターにも植えています。



 ゆうぎりのアップの画像です。






 ゆうぎりのこぼれ種子からの苗も育っています。

もうしばらくしたら小さな苗の植え替えをします。



 

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 71ページ目 3本のコルトン・シャルルマーニュのトリック  

2013-03-24 22:54:18 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【71ページ】


「悔しがっている人物とは、シャルルマーニュ皇帝ですね?

赤ワインを飲んでいると、ひげが赤く染まり、周囲の人々がはやし立てた。

それで怒った皇帝は彼のブドウ畑から赤ワインを造ることを一切許さず、

すべて白ワインにした。」


 白庭社長は、和音のメンタリズムに乗ったつもりでいた。


「和さんのヴィンテージの答えは悔しがるの『くや』にヒントがあるのでは?

1998年が和さんの答えでは?」


「残念ながらイメージの人物は男性ではなく女性なのです。」

「ええ? 女性?」


白庭社長は、和音の言葉に意表をつかれた。


「そうです。このコルトン・シャルルマーニュドメーヌ・ルロワのオーナー

マダム・ルロワではないでしょうか?」


「彼女が悔しがっている?」

「はい、コルトン・シャルルマーニュドメーヌ・ルロワはコルトン・シャルルマーニュの

中で最高の評価を得ていますが、それゆえ同業者からの妬みも多い。

彼女のワインは生産量が少なく希少価値をつけているが、実はセラーに大量のワインを

隠しているのではといったうわさを聞き悔しがっているのです。」

「マダム・ルロワのことでしたか?

イメージの人物は間違えましたが、和さんの答えのヴィンテージは1998年でしょう?」