1991年(平成3年)にマルホンから登場した現金機デジパチ「スーパーダイヤ」
(スペック)
★賞球…7&15
★大当り確率…1/219
★16ラウンド継続、出玉約2300個
★デジタル停止順…左→右→中
★図柄…0~9の数字(中デジタルのみ、各数字の間にハズレ絵柄の「J」あり)
★大当たり図柄…0~9の三つ揃い(全10通り)
★確率変動機能搭載…「3」か「7」で当ると、次回大当りまでミニデジタル確率がアップ、電チューが頻繁に開く。次回も「3」「7」だった場合、確変は継続。
★小デジ確率…通常時=1/23、変動時=1/2.3(小デジに2、3、7、8のゾロ目が出ると、電チューが1.7秒開放)
★意図的な連チャン性…なし
「ドットのマルホン」が定着する以前の、初期新要件デジパチの一つ。やたら巨大な7セグデジタルと、リーチ時にキンキン鳴り響く高音サウンドが特徴だった。
当時のマルホンの「代名詞」的なキンキン音は、ホールの外まで漏れ聞こえる程の喧しさで、ある種の「宣伝効果」はあったかもしれない。店に入ると、「おっ、この店にはマルホンのデジパチがあるな」と、すぐ判ったのだから。
(本機登場までの流れ)
旧要件時代のマルホンは、80年代後半に「スリープP3」「クロスファイブP3」「パールセブン」という見事な流れを作り上げ、「マルホンデジパチ、此処にあり」と言わんばかりの勢いがあった。「レインボー」「ブルーセブン」「十字星」「パールセブン2」などの名機も、忘れてはなるまい。パールセブンと同じく「いぶし銀打法」が通じた、「ジョーカー」というマイナー機もあった。
1990年に入ると、「レーサー2」「パーラー3」といったドットデジパチを送り出したマルホンは、再び7セグに回帰して「オリンパス2」や「キャスター」などの爆裂連チャン機を登場させた。特に、キャスターの「1027連チャン」(必勝ガイド誌の実験による)は、ファンの間でも大きな話題となった。また、上下2段ドラムを採用した「スーパーターボ2」も、地域差はあったが、この時期の連チャンデジパチとして人気を誇った。
さらに、旧要件時代の終焉期には、やはり強力な連チャン性を持つ「ロータリーセブン」(90年末に登場)が大人気となる。同時期には、ロータリーセブンの兄弟機「ハッピーセブン」(連チャン機)も注目された。
一方、マルホンの新要件デジパチ第一弾「ウルトラセブン」(’91)は、旧要件のスーパーターボや「クールセブン」の流れを汲むドラム機であった。ドラムの本家・三共への対抗心のようなものが、ひしひしと感じられる。また、ロータリーセブンの新要件Ver「ラッキーセブン」('91)も、この時期に登場した一台である。
そして、今回紹介する「スーパーダイヤ」は、ウルトラセブンに続いて登場した、電チュー付きの確変デジパチである。「ワープゾーン搭載」というのも、ウルトラセブンと同じだ。
ただ、ウルトラセブンの場合、ワープ入口と小デジタルの始動チャッカーが分かれていたが、スーパーダイヤでは、ワープがそのまま小デジのチャッカーになっていた。つまり、小デジがよく回る台=ワープ経由でメインデジタルも良く回る台、という図式がそのまま成り立ったのだ。その分、ワープやヘソの周辺をガッツリ絞る店も少なくなかった。
本機は、他機種を圧倒する「デカデジタル」が大きなウリだった。デジタルのサイズが大きな機種は過去にもあったが、スーパーダイヤの真っ赤な巨大7セグは、ずば抜けて突出していた感がある。お馴染みの「キンキン音」も健在だった。
ただ、見た目の奇抜さとは裏腹に、ホールでの人気はそこそこ…という印象も強い。さきほども書いたが、新台時期はともかく、通常営業に戻ると一気にデジタルが回らなくなるパターンも多かったのだ。
確変機で露骨にマイナス調整されると、「3」「7」で当たっても確変中に出玉が減り、ひどい時には出玉が飲まれて追加投資・・・なんて仕打ちも食らったのだ。これで、本機の魅力を味わうことなど、到底不可能であろう。
また、デジタルがいくら大きくても、派手な連チャン性を持たぬ「確変機」では、ファンの心を掴むにも限界があったかもしれない。ただ、個人的には、このテの「変わり種」も好んで打っていたが…。
本機は、マルホン「デカデジシリーズ」のハシリで、その後に出た「ウィンク」(’91)「スーパーウィンク」(’91)「スーパーワイド」(’92)といったデカデジ採用機の元祖といえる。
ちなみに、ウィンクやスーパーウィンクは、当初「ノーマル機」との触れ込みだったが、実は連チャン機だったことが判明している。小デジタルが当ると、電チューが一定間隔で4回開くのだが、電チューの開放間隔(4.51秒)と、大当りの周期(0.451秒)が同調していた。その為、最初の電チュー開放時に入賞した玉が当った場合、2回目、3回目の開放時に拾われた玉も大当りしたのだ(正確には、一旦電チュー内に貯留された玉が、電チュー開放後ジャスト4.51秒で保留センサーに感知される仕組みだった)。
その後のマルホンは、91年から92年にかけて、デジタルの大きさや奇抜なアクションが特徴のデジパチを、次々と送り出した。「リバースセブン」「リバース2」「スーパーゴールド」は、リーチになるとデジタル部がクルクル反転して、打ち手を驚かせた。また、「スーパーズーム」「ハッピーズーム」「アクションズーム」「ピンクレディー」などは、リーチ時に左右デジタルがクルクル半回転して、中デジタルが前後にピョコピョコ動くという、風変わりなデジタルがウリだった。
さらに、「麻雀物語」ブームにあやかって登場した液晶デジパチ「スーパービジョン」(’92)は、デジタル表示こそ単調な感じもあったが、巨大デジタルを踏襲しつつ、高い連チャン性(保連率30%)で大ヒットした。しかし、あえなく「発売自粛」となってしまい、後継機の「ゴールドビジョン」「ワイドビジョン」「カラービジョン」は、いずれも初代より爆発力がトーンダウンした。
なお、92年には、「スーパーターボ2」や「ウルトラセブン」の跡を継ぐドラム機「スーパージャック」も登場している。
そんな訳で、「びっくりマン」「ダブルゲーム」「ソルジャー」などの連チャン権利モノがヒットして、チープな「3色カラードット」が定番となる以前のマルホンには、90年代初頭の新要件初期に、紆余曲折の「歴史」があった事がお分かり頂けただろうか。
この時期、決して「主流」とはいえない機種も多かったマルホンだが、一部に根強いファンがいたのも事実である。「キンキン音」「派手なデジタル」「保留玉連チャン」という三重奏の虜になったマルホンマニアも、少なからず存在したのだ。
新要件初期のマルホンを、方向感を失い「迷走していた」と揶揄する向きもあるが、常に新しいものに挑戦していた積極的な姿勢は、今更だが評価しても差支えないのではないか。