ノルウェーの旋律によるバラードのための変奏曲【１０】

そして…本番。


県民文化センターホールは、
なんと！満員で、立ち見の方もいらっしゃる状況じゃった。

クラシックの…しかも、まだアマチュアの演奏家達のコンサートで、大ホール規模の会場に、ここまでお客様が入っている状況に驚いた(m゜◇゜m)!!


『新人演奏会』に出演する事は、Mon'にとって一つの夢じゃった。

親に行かせてもらった大学で、どれだけのものを得させてもらったかという事を、故郷の演奏会で親に見て聴いてもらいたかった。



そして…いよいよMon'の番。


ステージに出る。
お辞儀をして、客席を見る。

「わあ…人いっぱい…」

ピアノの前へ座る。

目を閉じて、お寺で演奏した時の空間を思った。

それから、グリーグへ…
対話させてもらった喜び、
今まで彼に取り組ませてもらった事、
ここまでにしてもらったの感謝、

沢山、沢山のありがとう…
を、Mon'の心からグリーグの心へ送り…

そして、
会場が一つの空間に包まれますように…
と願い…

鍵盤に手を置いた。


『ノルウェーの旋律によるバラードのための変奏曲』

奏でる…


とても、とても、心地がいい…

体が軽い…

とても、とても、暖かい…

いつも、演奏の時に沸いて来る“雑念”も、一つも起きなかった。

気持ちが、スウーーーッと融けて染み込んでいくようだった…

いつまでも、この時間が続いて欲しい…
そう思った。



その時でした！！



続く



Mon“Design-NeT”