しましましっぽ

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「死のドレスを花婿に」  ピエール・ルメートル 

2017年01月12日 | 読書
「死のドレスを花婿に」  ピエール・ルメートル  文春文庫   
ROBE de MARIE            吉田恒雄・訳

2002年パリ。
28歳のソフィー・デュゲはジェルヴェ家の通いの子守で、6歳のレオの世話をしていた。
前日、遅くなりジェルヴェ家に泊まったソフィーは、次の朝絞殺されたレオを発見する。
レオの首に巻かれていたのは、ソフィーのシューズの紐だった。
ソフィーは自分のアパートに戻り、逃亡の準備をして逃げ出す。
ソフィーはその前から記憶と意識の混乱が起きていて、レオを殺した意識もなかった。
それは、ヴァンサンと結婚してから始まる。
力になってくれたヴァンサンも交通事故で亡くなっていた。
リヨン駅に向かったソフィーはそこで、同じ年頃の女性ヴェロニックと知り合い、意表を突く行動をしようと彼女のアパートへ行く。
そこで気を失ったソフィーが目覚めた時、目の前には血だまりの中のヴェロニックが横たわり、手には包丁が握られていた。
そんなソフィーを観察する、男の姿があった。










「その女アレックス」の原点という物語。
最初にソフィーの殺人の意識がないという意味。
それは殺人は犯していないだろういう事と。
それでも混乱のソフィーは逃亡生活に入る。
知恵を絞っての逃亡生活をするソフィーはたくましい。
たくましいけれど、か弱くて可憐というイメージはあった。
そして、以外と早く分かる、ソフィーを陥れた人物フランツとそのトリック。
現代の物語は、混乱させるのにパソコンやメールも利用される。
ある意味、混乱させやすいアイテムになっている。
そして、ソフィーとフランツの接点。
ソフィーに勝ち目はないと思っていたが、たくましさは本物だった。
最後まで読むと、ソフィーのイメージががらりと変わる。
これは父親から受け継いだものか。
主人公に感情移入して読むのではなく、お互いのトリックの仕掛け合いを楽しむ。
ただ、そんなに何度も部屋に入られて、気が付かないものだろうか。
ソフィーは薬を飲まされていたとしても、ヴァンサンだっていたのに。
最後まで読んでアレックスの原点と言うのが分かった。

面白かったのだが、フランツの章が少々中弛み気味。
もう少しテンポが早いと良かった。
もう分かったからと、言いたくなってしまった。
「その女アレックス」の人気があったから、その前の作品も出版されるのだが。
出来たら執筆順に読みたかった。
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