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諸々の嗜好に対する思考と試行

相対性理論の大嘘

2005年09月14日 | 読書
相対性理論の大嘘

(特殊)相対性理論を否定するいわゆる「トンデモ本」で、先日の熊本出張のおりに古本屋で買ったのだが、これはある意味素晴らしい本だと思う。
おそらく各ページに最低2ヶ所づつくらい突っ込みどころがありそうなのだが、それは専門家に任せよう。
僕としては、これを批判する事は差し控え、ある意味「保護」に回りたいと思う。
なぜなら、80歳に近い高齢の作者である森野正春氏が、扉書きで「第10章から読んでほしい」と書いているように、この本のエッセンスはすべてこの章に包含されるのだが、第10章を読めば、この作者も含めて「常識から相対性理論を考える会」のメンバーが如何に純真で詩的(霊的と言ってもいい)な方達かが判るからだ。
作者は、他の相対性理論否定派の作者達と同様に根本的な間違いも多く犯しているし、(特殊)相対性理論を打ち崩すほどの新しい何かを提示しているわけでもない。
そして時折、ビックリするような表現というか概念というか(これが本当に詩的なんだなあ)が顔を出す。
それでも尚、或いはだからこそ、この本を守ってあげたくなるのだ。
日常とあまりにも乖離してしまった物理理論の世界に対して、年老いた作者は、危機感を覚え、未来を担う子供たちを憂い、不明な理論に惑わされずに、目に見えるまま、自分の心に従うまま、素直にこの世界を受け入れよ、と説いている。
そういう思想本なのである。

ただ、この本が許せないのは、所々にアインシュタインのイラストが描かれたページがあり(さらに表紙にも帯にも)、あたかもアインシュタインが喋ったかのようにして、吹き出しに「物理学者は誰一人として生徒に相対性理論を教える事ができなかった」などと下らないメッセージが書かれていることだ。
おかげで、この本は作者の貴重な思想とメッセージという地位から転落し、一山幾らの雑多本に貶められている。
作者がそういうデザインにしてくれといったのか、徳間書店が勝手にやった事なのかしらないが、この本の価値は台無し。
残念無念。

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4 コメント

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相対性理論の大嘘 (森野正春)
2007-11-21 12:09:43
この本について、このような批評をして下さる方がいることを初めて知りました。私はブログのことはよく知らなかったので、つい最近、パソコンで検索して知りました。
子供たちが夜空の星を見上げるときの気持ちを、思いやって頂き、本当に有難うございます。私としては、子供たちが過去の存在しない、本当でない星を見せられていることを、許すことが出来なかったのです。子供たちは、宇宙空間に実際に存在する、本当の星を見るべきだと思います。そのことの出来ない天文学、物理学とは何でしょうか。現代天文学、物理学は根本のところで、間違っているように思います。
貴方がこの本を批判することは差し控え、ある意味「保護」に回りたいと思われていることに、私は涙が出るほど有難く思います。私はこの本を出してから今まで、3年間ほど、考え続けておりますが、次のように思うようになりました。子供たちの目は天文学、物理学的にも、何百、何千、何万、何億、光年彼方の星でも、今実際に宇宙空間に存在する星を、見る力を持っていると思うようになりました。子供たちの目は、現代天文学、物理学の力を借りなくても、人間の理性を遙かに超えた力を与えられていると、思います。
この本を守ってあげたくなるというお言葉を、重ねて有難く思います。(2007年11月21日)

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Unknown (鯖雄)
2008-12-05 15:13:56
一年以上前にコメントを頂いていながら、ほっぽらかしにしていてすみません。

この本の問題は、無理にセンセーショナルにしている題名と、アインシュタインなどの資料写真を面白半分に使っていることでしたが、たぶんこれは出版社の問題でしょう。
それがなければ、「目の前に見えるものをどう考えるか」ということを考えさせてくれる本(良本とは言いませんが)だと思います。
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Unknown (さば味噌)
2010-04-02 17:29:26
なんかコメント読むと、いろんな意味で、考える力が衰えてるんだと感じさせられ、老いとは悲しいものだとしんみりしてしまった。
自分がたくさん勘違いしていることがわからない、自分が間違えているという可能性を考慮することができないと、それらを教えてくれる人や手助けしてくれる人のいない、そういった問題を抱える不幸を感じる。
最悪なのは、このような老人の本をあのような形で出版した会社。自費出版程度にさせてあげとけばよかったものを、いかにも学術書っぽく出版するから、罵詈雑言で批判を喰らう。実際読んだらあまりの馬鹿さ加減に不快になるのは当然だし、なんでこの本があんな立派な形で売られているのか本当に不思議。

ところで、「子供たちが不幸」などという場合、その「子供たち」とはたいてい発言者の想像上の人物、フィクションである。困ったことというべきだろうか、世の中フィクションが大好きな子供好きが多く至る所で子供たちが不幸になっているので、現実とフィクションの区別について気をつけるべきだろうと感じる次第である。
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Unknown ()
2015-02-10 11:03:00
光速(観測者にとっての)は変動する。ふたつだけ理由をあげさせてください。

1) 左右から星の光の平面波(垂直な)が到来しています。到来する光の波長は観測者の運動では変動しません。周波数と光速が変動します。
2) 観測者の運動では入射光の波長は変わりません。理由のひとつはそれが過去の事柄だから。周波数と光速が変動します。
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