約束果たさせくだしゃんせ

時代をめぐり
時めぐり
世代をめぐり
出会い合う
世々の奇跡であることは
生老病死の必然よ

汝の名前は分からねど
影まで紅い
吾(あ)を愛せ
君こそ唯一無二の人
吾の愛で抱(いだ)く
約束は
肌合いにのせて
果たされる

約束果たさせくだしゃんせ


-(c)-satsuki96may

風 一陣

風　一陣
ああいい天気だと
空を見上げて
今日は何を食-しょく-そうか
などと
思ったりした日々の平和
小さな喧嘩
見えない犯罪
暗躍する投資家
お天道様に恥ずかしいのは
こんな人達だと思う傲慢に
嫌でも気づかされる

風一陣
千の針が孕まれた
風一陣
どうかどうか
赤子を守り
毒を消し去る知恵の地へ吹け
周り戻って
吹いてくれ

-(C)-satsuki96may

俯くくらいで―――

俯くくらいで―――
ねぇ
俯くくらいにしておきよ
昔の全てを振り返らなくていいよ

ねぇ
泣ける涙は泣いておしまいよ
無理矢理に笑ってもしようがないよ

ねぇ
歩けないならしばらく
立ち尽くせばいいよ
意地を張って駆け抜けようとしても
幸せには辿りつけないよ

ねぇ
悲しいという気持ちを
寂しいという気持ちを
それでも愛しいという気持ちを
抱きしめておこうよ
生きる糧がある場所なのだから

-(C)satsuki96may-

同じ港を目指す船

広い広い広い海
深い深い深い海
青い青い青い海

照らしているのは
陽か月か
行先定める
空仰ぎ
一人の時計を生きてきた

迷わされては
胸痛み
悲しい荷物が増えていく
賢く気丈に
あらんとし
離せぬ荷物が増えていく

何処かで誰かに諭された
軋んだ船を労れと
ようやく気づいた
吾の瑕に

荷解きをして軽くなれ
そうして時間にくれてやれ

吾の身ひとつは軽いもの
吾の身くらいは軽やかに
行方を時間に任せれば
軋んだ船が海を往く
港を目指して海を往く
解いた荷物が連れて行く
小さな灯りの点る場所
ずうっと探していた港

辿り着いたる船二艘
吾の目を凝らしてよく見れば
同じ港を目指す船
その漕ぎ手こそが君だった

陸へあがろう
傍に行こう
声を投げよう
抱きしめよう

同じ港を目指す船
それは必ず二艘在る
きっと必ず二艘在る

海からの旅は長けれど
揚がれる陸を惑うなら
積荷を解いてしまうのさ
風を味方に付けるのさ

同じ港を目指す船
それは必ず二艘ある―――

潮の香絶えぬ陸の町
暮らせる場所は
そこに在る

‐（C）‐satsuki96may

コイ モノかたり

人を好きになる
心が共振し始める
心が体温を持ち始める

誰がどんな人を好きになろうと
普遍はある
あってくれという
気持ちは強い

どんなメディアで
幾通りの恋物語が
流布されているだろう

おそらく同じ数だけ
想いが世界を占めている

相手を「手に入れる」なんて
出来ることではない
そのようなことに近づく為に
何を成すのかが
人間の業じゃないのか

愛し合うことは
肥大してしまった脳の中では
おそらく一直線に性的なものに
結びつく

性的なことは何なのか
という問いの答えも多様な筈
暗がり？
明るい場所に転がり
影を探す？
いずれにせよ
体が喜ぶことを与え合う
与え合い切る
あたしたちが人間ならば
生命体から
特化しているならば
「普遍や常識」を
越えるがいいのだ

女と男
女と女
男と男
どんな組み合わせであれ
一つ一つのモノかたりは
誰のものとも重ならない

唯一と信じる自分が
唯一と信じる相手と
始まってしまう
モノかたり

そして
一対は音楽を奏で始める
リハーサルのない
コンサートホールで

譜面もないまま
奏でるもの

初見で
潔く

-(C)-satsuki96may

皐月薫風

皐月薫風

風が踊りだす
街中も
郊外も

とても良い天気で
カーテンを洗った

緑の匂いが
風の中に孕まれている
目をしばらく閉じて

“此処に在るだけ”に
なってみるけれど
遠くから聞こえる
スクーターのエンジン音が
目を開けさせる

皐月薫風の風景が
なびいた心地の印

-(C)satsuki96may-

夢のような何か

夢のような何か

水底？
見えているのは蒼い潮流。
通りすがるのは魚のような物たち。
　さらさらと
　しゅるしゅると
　りりりりと
　すすすすーいと
何かが巡る。

夜？
見えている気がするのはアナタの気配。
通りすがるのは縁を知らぬ者たち。
　サクサクと
　ぐおーーんと
　音になってしまった言葉と
　空す視線の束と
誰かと出逢う―――か

-(C)satsuki96may-

美ら海。アメリカ。スターバクス。

来週。

カラダの旅

CT造影。
何も無いですね、という言葉を聞きたくて、
病院行ってきまする。

今日の自分と。明日も自分と。

今日の自分と。明日も自分と。

体調は、下降気味
気分は、ペシミスティック

けれど
心から届けられる声で
なんとか生きているのは
いつか
あたしも
誰かにそうしてあげたいから

得られたものは失うけれど
得られた経験は失くならない
忘れたい経験なのであれば
是非忘れて
楽しくて暖かな場所へ行こうよ

今日も自分と歩くだけ
明日もきっと同じであると
思えることは
とても平和なことなんだよ

-(c)satsuki96may-