ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

★『都の風』 第6週 (31)

2007-11-05 23:27:39 | ★’07(本’86) 37『都の風』
★『都の風』 第6週 (31)

脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

題字:坂野雄一
考証:伊勢戸佐一郎
衣裳考証:安田守男

   出 演

悠     加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女、大阪の「おたふく」で住み込み働き始める

智太郎 柳葉敏郎 :悠の初恋の人。沢木雅子の兄、帝大医学部の学生
精二   江藤 潤 :「おたふく」の従業員・板場さん(お初の若いツバメ)

デスク  浜崎 満  「毎朝新聞」文芸部デスク、雄一郎の上司
坂井   河野 実 :「毎朝新聞」の文芸部記者、雄一郎の同僚

客達   山田交作 :「おたふく」の客
      蓮 一郎 :「おたふく」の客

      アクタープロ
      キャストプラン

雄一郎  村上弘明 : 毎朝新聞の文芸部記者(姓はヨシノ)、「おたふく」の常連
お初   野川由美子 :大衆食堂「おたふく」の女将。市左衛門の遠縁




制作 : 八木雅次

美術 : 石村嘉孝
効果 : 藤木 登
技術 : 宮武良和
照明 : 綿本定雄
撮影 : 八木 悟
音声 : 中村英嗣

演出 : 加藤郁雄   NHK大阪

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昭和16年8月

智太郎が営業停止中の為臨時休業しているおたふくにやって来た。
お昼を食べている雄一郎に留守番を頼み、悠は智太郎を追いかける。


東京へ帰るつもりだった智太郎は、悩みつつも気がついたら大阪に来ていた と言う。

「なぜ黙って行ってしまったんですか」
「かんにん‥‥」

留守番を頼まれた雄一郎は「仕事中なんだぞ」と、時計とにらめっこ。

「今度会ったら君をひっぱたいてやろうって思ってた。
 もうその気はなくなった」
「どうしてですか?」
「君はちっとも変わってなかった」
「そんなことありません。ものすごい変わったと思います。
 料理、洗濯、お掃除、何でもできるようになりました。
 お風呂屋さんかて行けるしお客さんにからかわれても全然気にせんようになったし」
「鉾に上がったり家を飛び出たりした君なら何でもできるよ。
 中身はちっとも変わってない」
「せやろか。えらい大人になったと思うけどな~」
「でもご両親は君が帰ってくるのを待っておられる筈だ」
「京都は下の姉が継いで立派にやってるし、今更うちが帰れるとこと違います」
「そう思ってるのは君だけじゃないかな」
「今のお店はみんな優しいし、女将さんがすごい人で、
 同じ一生やったら好きなもんを好きやと言い嫌いなもんを嫌いやと言う生き方をせんと損やと言う人なんです。
 自分の気持ちを正直に言うのは恥、そういう人たちの中で育ったうちには
 ほんまに新鮮なんです。」

「一緒にいた人は店の人?」
「え? あ。あの人はお客さんです」
「店は休業中なんだ」
「はい。けど、あの人は特別。お店の人と同じなんです。
 新聞記者で、女将さん 信用してはるんです」
「君が楽しいならボクは何も言うことはない」
「お食事作ります、うちの手料理食べてみてください。今は材料なんにもないけど‥‥」
「いや。君に会えただけでいい」
「もう帰らはるんですか?」
「‥‥久しぶりに奈良にでも行ってみるかなぁ。子どもの頃、育った家やお寺も見たい」
「うちも連れて行ってください。今日は留守番やから行けないけど、
 あ えらいこっちゃ、ヨシノさんに留守番頼んでしもうて、何時ですか?」

腕時計を見せる智太郎

「お昼休みの時間、とっくに過ぎてる、帰らんと。一緒に来て下さい。」
「いや、ここで別れた方がいい」
「明日も休みです。明日やったら出られます。奈良に連れてって下さい。
 うち‥‥毎日待ってたんです。お康から居所を教えたと聞いた時からずっと。
  けど‥‥手紙もくれはらへんし、うちのこと忘れたんかと諦めてたんです。
 けどうちは忘れたことなんかありません。お休みの日にはスケッチしてます」

「一緒に行こう。今日は友達の所に泊まって、明日迎えにくるよ」
「ほんまですか。おおきに。待ってますね。女将さんにも話しときますね」

手を振って走る悠。


イライラして待つ雄一郎。
しかし悠が帰ってきて「すみません」と言うと「いいんですよ」とちょっと甘い顔。


「彼は?」
「帰らはりました」
「あの人が初恋の人ですか」
「はい」
「ふ~ん、楽しかった?」
「(うん)」
「そう。じゃあオレ帰るから」と自転車を飛ばす雄一郎。


自分のモンペ姿を思い出して「こんな格好してたんや」と恥ずかしがる悠。


帰社した雄一郎はデスクに「取材の時間忘れるとは!」と大目玉を食らう。

      ( 新聞の見出し 商震軍撃滅へ )

「ロクな記事も書かんと、昼になると二時間も三時間もサボりやがって! 」

「はよう行かしてやらんと相手は時間にうるさい小説家ですからなぁ」
と助け舟を出す坂井。


買い出しから帰って来たお初と精二はヘトヘト。
ご飯も食べてきたし風呂行ってはよ寝る と言うお初に、悠は
「明日、出かけてもかまへんでしょうか」と訊き了解をもらう。


たまご色のワンピースにアイロンをかけ、女将さんに智太郎を紹介する練習をする悠

「女将さん、こちらは沢木智太郎さんといって、うちの好きな人です」



翌日。


昨日の疲れでなかなか起きてこないお初を気にして、

  「奈良へ行きます。夕方には帰ります」と置き手紙をする悠。

奈良では、猿沢の池、大仏殿、などを回る。


メモを見て雄一郎と出かけたのだと思っていたお初は、雄一郎が来て驚いてしまう。

「ボンボン!」
「ボクの顔になんかついてますか」
「ボンボンと奈良に行ったんと違いますのか」
「え?」
「てっきりボンが家に連れて帰ったんと思ったがな。一人で行ったんやろか」
「何も聞いていないんですか?」
「なんにもって?」


若草山にいる智太郎と悠

夏野ゆく牡鹿(をしか)の角のつかの間も妹が心を忘れて思へや

「誰の句ですか?」 訊く悠
「柿本人麻呂だったと思う。
 君たちも今の若さを大切にするんだよ、そう言ってくれた国語の先生も、
 今は戦地だ。」

「‥‥ 夏野ゆく牡鹿(をしか)の角のつかの間も妹が心を忘れて思へや ‥‥ 」

繰返す悠。



(つづく)




夏野ゆく牡鹿(をしか)の角のつかの間も妹が心を忘れて思へや (4-502)

【通釈】草深い夏の野をゆく牡鹿の、生えそめの角ではないが、ほんの短い間もあなたの気持を忘れることなどあろうか。

【補記】「鹿は夏のはじめに角落ておひかはるが、いまだ短ければ、束の間といはん序とせり」(萬葉集略解)。新古今集に人麻呂作として載る。但し下二句は「わすれずおもへいもが心を」。

【主な派生歌】
草ふかき夏野分け行くさをしかの音にこそたてね露ぞこぼるる(良経[新古今])
やがてはや隠ろへぬるか夏野行くを鹿のつのの短夜の月(聖統法師[新後拾遺])



◆『ちりとてちん』 第6週 「蛙の子は帰る」(31)

2007-11-05 23:03:51 | ’07 77 『ちりとてちん』
◆『ちりとてちん』 第6週 「蛙の子は帰る」(31)

作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

撮影協力 福井県
      福井県小浜市
      大阪市立住まいのミュージアム

落語監修   :林家染丸   タイトル制作 :小島淳二   
福井ことば指導:池野クミ子  大阪ことば指導:松寺千恵美
中国語指導  :尾上皓美   振り付け   :飛鳥峯王

   出 演

和田喜代美  貫地谷しほり
和田糸子    和久井映見 :喜代美の母
和田正典    松重 豊  :喜代美の父、一家で鯖江から小浜に戻り、塗箸職人に
和田小次郎  京本政樹 :喜代美の叔父・正典の弟
緒方奈津子  原 沙知絵:塗箸の取材に来た、フリーライター

熊五郎     木村祐一 :酒場「寝床」の店主
磯七      松尾貴史 :散髪店(磯村屋)の店主。酒場「寝床」の常連
菊江      キムラ緑子:仏壇店の女主人。酒場「寝床」の常連

徒然亭草々(作次郎) 青木崇高 :落語「崇徳院」の再現、崇徳院の歌を渡され恋わずらい
お嬢さん       佐藤めぐみ:落語「崇徳院」の再現、高津神社で会った女性

咲        田実陽子 :酒場「寝床」の店主・熊五郎の妻
徒然亭小草若 茂山宗彦 :落語家・徒然亭草若の実の息子

和田正平    橋本 淳 :喜代美の弟
和田友春    友井雄亮 :和田エーコ(清海)の兄、若狭塗箸製作所の跡継ぎ
野口順子    宮嶋麻衣 :喜代美の同級生、高校卒業後は家業の「魚屋食堂」を手伝う

          劇団ひまわり
          劇団東俳
          キャストプラン
          NAC
          グレース
          夢プロ

          小浜市のみなさん

和田小梅    江波杏子:喜代美の祖母、もと芸者
徒然亭草若   渡瀬恒彦:元天才落語家。今はのんだくれている



制作統括:遠藤理史

製作:高橋 練    美術:深尾高行    技術:松本剛
音響効果:山田正幸  編集:狩森ますみ
撮影:加藤智也    音声:直井雅哉    記録:栗又三奈
照明:細見幸作    映像技術:備中正幸

演出:井上  剛

解説(副音声):松田佑貴




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小浜から再び大阪に戻った喜代美(貫地谷しほり)。草々(青木崇高)は、もう一度草若(渡瀬恒彦)に落語に取り組んでもらおうとするが、草若は一切受けつけない。喜代美はそんな草々のために落語会を開こうと思い立ち、落語通の磯七(松尾貴史)に相談に行く。だが磯七は、落語会は一人では無理だといい、かつて4人の弟子がいたころの徒然亭一門の話を始める。