時戻素

昔の跡,やがてなくなる予定のもの,変化していくもの,自身の旅の跡など・・・

(No.33) 暗川

2008年11月27日 15時00分10秒 | 現在の中の過去
 沖永良部島は珊瑚礁でできている島であり,川が少ない。川も地上に現れるのではなく,地下を流れている場合が多い。
 そんな沖永良部島では,上下水道が普及する前までは,島の重要な飲用水源となっていたのが,暗川であり,集落の立地にも影響を与えていた。
 暗川は,鍾乳洞の中を流れる川のことで,「くらごう」と読む。段丘間の急斜面から湧水している。暗川は,住民の生活の場であったため,島の文化史をよく示すものとして保存する動きがある。
 暗川の中でも県指定の天然記念物で知名町の文化財にも指定されている暗川に住吉の暗川がある。
住吉の暗川を上から見た写真。


(2008年3月21日撮影)

 上から見ただけではここに暗川があることは,よく分からない。
 階段を降りて入り口の方へ。


(2008年3月21日撮影)

 暗い印象がするが,ここは水汲み場であり,地域の人々の交流の場であった。水汲みにも長い階段を登らなければならない。かなりの重労働だっただろう。住民の方も水がほとんどなく,水汲みに使うこともほとんどなく,奥の方まで入ることもないと言っていた。

 場所は変わって瀬利覚の「ジッキョヌホー(瀬利覚の川)」。


(2008年3月20日撮影)

 暗川を鍾乳洞の中の川とかいう定義でとらえると,これは暗川とはいえないだろうが,地下から湧いてきた水という点では同じだ。今年6月に「平成の名水百選」に選ばれた。(写真の段階ではまだ登録されてなかった。)
 

(2008年3月20日撮影)

 県の水質検査があるために住民の方が清掃をしており,子どもが水遊びをしたり,野菜などを洗ったりという光景が見られる。かつては,体を洗っていたこともあったそうである。名水に登録されたのもこうした努力の成果だろう。


 他にも暗川はあるが,最後にあしきぶの湧水を取り上げたい。

(2008年3月21日撮影)

 祠のような場所から水が湧いている。そこから人工の川の流れを下っていくと公園になっている。


(2008年3月21日撮影)

 公園の名前が書かれている下に唄が書かれている。

 だんじゅ うとうむちゅぬ あしきぶの水は 
 めぐるうながい とまるたかど

意味
なるほど よく知られている 「あしきぶ」の水は 
「うながい(地名)」をめぐって 「たかど(地名)」まで流れている

 水稲を育てていた時代には,米作りに活用されていたようだ。
 また,古くから「ヨージゴー」として人々に崇められ,その水は先祖や神に供えられていた。
 ここで湧き出た水は伏流となり,与多川へ流れるため,余多川の源流ともいえる。


 河川の少ない沖永良部。水が得られる場所は,重要な場所となっている。

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