時戻素

昔の跡,やがてなくなる予定のもの,変化していくもの,自身の旅の跡など・・・

(No.31) 祝日

2008年11月25日 05時28分39秒 | 現在の中の過去
 昨日は祝日だったが,大学では授業が行われた。今年度後期に入ってから月曜日の祝日が3回あったが,すべて休みではなく,授業が行われた。教養科目では,月曜日に授業をした代わりに,授業数が確保できている水曜日や木曜日の授業を休講にしていたが,自分の学部の専門科目では,そのような措置は行われなかった。つまり,教養科目のみが休講にされても,専門科目があれば,その日は休日にはならない。
 このような背景もあり,祝日の意味と言うものが薄れているように感じる。祝日がどのような目的で制定されていたのか制定時にさかのぼって考えてみたい。


 まず,祝日がどんな日であるかだが,「祝日法第1条」には,次のように記されている。

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第一条  自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
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 今までこんな気持ちで祝日を迎えてきたことがあっただろうか?

 この条文を読んで初めて知った気がする。

 では,それぞれの祝日がどんな意味をもっているのか見てみたい。

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(下線,斜体は作成者による。)
第二条  「国民の祝日」を次のように定める。
元日 一月一日 年のはじめを祝う。
成人の日 一月の第二月曜日 おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
建国記念の日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う。
春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。
昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
憲法記念日 五月三日 日本国憲法 の施行を記念し、国の成長を期する。
みどりの日 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
海の日 七月の第三月曜日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
敬老の日 九月の第三月曜日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。
体育の日 十月の第二月曜日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。
文化の日 十一月三日 自由と平和を愛し、文化をすすめる。
勤労感謝の日 十一月二十三日 勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
天皇誕生日 十二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。
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 名前から何となく,どんな日なのかは予想がついたが,厳密な意味を知ったのはこの「祝日法」の条文を読んだ時だった。
 「春分の日」「秋分の日」は,昼と夜の長さが一緒ぐらいの認識しかなかった。亡くなった人を(特に)偲ぶのは「秋分の日」だからというよりも,「彼岸だから」だった。
 この数年で,名称が変わった祝日もある。斜体表記になっている祝日だ。「みどりの日」は2006年まで4月29日であり,それは昭和天皇の誕生日であり,昭和天皇がみどりを愛されていたことに由来すると聞いていた。一方,現在(2007年から)のみどりの日である5月4日は,以前は「国民の休日」であった。しかし,これは「国民の休日」という祝日が5月4日と定められていたのではなく,祝日法第三条3項に「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。)は、休日とする。 」(注:この条文は旧条文であり2006年まで適用。2007年からは「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。 」)という規定に基づくものであり,5月4日が祝日に挟まれていたことによるものだった。
  
 一方,下線を付した祝日は,ハッピーマンデー制度により,毎年違う日が祝日となっている。では,この制度が導入されるまでの日付がぱっと出てくるだろうか?




成人の日(1999年まで) 1月15日
 古くは正月に元服が行われたことや、1月15日は松の内でめでたいということから。

海の日(2002年まで) 7月20日
 明治天皇が東北地方の巡幸を終えられた,明治9年7月16日、 明治丸で青森港を出港し,横浜港に安着した日であることから。そのことからもともと海の記念日であったが,1996年より祝日となった。

敬老の日(2002年まで) 9月15日
 (説1)聖徳太子が四天王寺を建てた際に,敬田院・非田院・施薬院・寮病院を設置し,9月15日に設立された非田院が現在の老人ホームの役割を担っていたことに由来。(説2)ある父親想いの息子が,老いた父にお酒を飲ませたいと願っていたらお酒が沸いて出てきたという話を耳にした元正天皇が717年に養老の滝へ行幸し,年号を「養老」に改元したことに由来 など諸説あり

体育の日(1999年まで) 10月10日
 東京オリンピックの開会式の日。晴れの特異日だからというのには疑いの説もある。


 月曜日に移しても,そこまで祝日の意が損ねられないと考えられている祝日でもそれなりの由来があったようだ。



 今年の5月のGW,6日も祝日であったが,それまでは,祝日でなかったことから本当に祝日なのかと確認をしたことを思い出した。

ちなみに今年の5月は・・・
3日(土) 憲法記念の日
4日(日) みどりの日
5日(月) こどもの日
6日(火) 振り替え休日

 以前ならば,日曜日に祝日が来て,月曜日も祝日なので,一日休みを損した気分になっていた。それが6日も休みというのは嬉しくもあったが,抵抗があった。

 その理由も法改正であったようだ。
 祝日法第三条第2項は,
【2006年まで】
2 「国民の祝日」が日曜日にあたるときは、その翌日を休日とする。
【2007年から】
2「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
となっている。
 2008年5月の場合,4日が日曜日なので,同じく祝日の月曜日を飛ばして,火曜日が振り替え休日になったようだ。


 法律の改正により,より長くまとめて休日を取ることが可能になった。1日ではできることは少ないが,2日以上になるとできることもたくさんある。そうした人にはありがたいだろう。
 しかし,現実には祝日に休めない職業の人もいる。

 冒頭で出した大学も,月曜日の授業が大幅に減ることによって,祝日でも授業を行うことになった。(授業回数15回確保の厳格化が行われたことにもよる。)

 そもそも医療など祝日が関係がない職種もある。

 祝日の意味が薄れているのはもちろんとして,職種によってはかえって休みを取りづらくなってしまったのではないかと思う。

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