筑紫漢方つれづれ日記

福岡県の中西部 筑紫野市と小郡市の境にある漢方薬と自然派化粧品の専門店 漢方四季彩堂のブログです。

野歩き2

2012年05月18日 | 野草
初夏の陽気に誘われて
用事のついでにちょろっと近場の草むらに寄り道。
珍しい野草を見つけるわけではありませんが
いろんなところで命の営みが見られ、季節感が味わえます。

見慣れたスイバは赤みを帯びた実がたくさんついていました。

葉や茎は噛むと酸っぱいので「酸い葉」からきているとか。
別名スカンポともいいますね。
子どもの頃、茎をかじったことがありますが
すごく酸っぱかったことを覚えています。

生薬名を酸模(さんも)といい、収斂、利尿、緩下作用があります。
根をすりおろしたものは、たむしや疥癬に効くとのこと。

若い茎を塩ゆでして和え物にしたり、一夜漬けにすることもできます。
私はこの果穂の部分を天ぷらにして食べたことがあります。
酸味があっておいしかったですよ。
でも全体にシュウ酸がたくさん含まれているので多食は禁物です。

こちらはスイバとよく似たギシギシ。

いつも「うーん、どっちがどっちだっけ???」と、迷います。
こちらもシュウ酸を含んでいるので生食も多食も禁物。
根を羊蹄根(ようていこん)といい、便秘、ニキビ、高血圧などに
煎じて飲むとよいと記されています。

ノイバラの花が初夏の日差しをいっぱいに浴びて咲き誇っています。

このすぐそばで、一頭のオオスズメバチに遭遇!! でかい!!!
やばい、やばい、しーずかに……(後ずさりしながら)あっ、しゃ、しゃしんとらなきゃ……
カメラ、カメラっと・・・あ~ぁ、いっちゃった。
おぉ~危なかった~。
というわけで、かなりうろたえていたので写真は撮れませんでした。

ノイバラは秋に小さな赤い実がたくさんつきます。
営実(えいじつ)といって、利尿や下剤としての働きがありますが
作用が強いので、使う量に注意がいります。
できもの、腫れもの、にきびなどには、煎じた液で洗うといいのだそうです。

溜池の水面にはヒシが浮いていました。

この場所には今まで何度か来ているのに初めて見ました。
図鑑で調べてみると、ヒシは一年草らしいので
去年の冬に渡ってきたカモなどの水鳥の羽毛に
ヒシの実の刺が入り込んで、遠い北国から運ばれてきたのかもしれません。

こういう想像をするのも、探偵にでもなったような気分で楽しいものです。

野歩き

2012年05月16日 | 野草
先月の初旬、雑木林の中を歩いていて
偶然見つけたフデリンドウ。

思いがけずこんな花に出会うと嬉しくなります。
「リンドウ」と名がつくものは秋に咲くというイメージを持っていましたが
考えてみればハルリンドウというのもありました。

その後の様子を見たくて行ってみると、蕾が数株ありましたが
周辺に他の草が繁茂してほとんど見えなくなっていました。
季節が一歩進んだ証ですね。

近くにはクサイチゴが赤い実をたくさんつけています。

竹で編んだ手提げかごを持って採りに行ったのは、もう半世紀以上も前のこと。
葉と根には清熱解毒の働きがあり、喉の痛み、歯痛、頭痛、鼻血
子どもの高熱による引きつけなどによいと生薬辞典に記されています。
いつか試してみようっと。

丘を下るとキュウリグサが咲き始めていました。

ブルーの、小さくて可憐な花がとても好きです。
葉を揉むとキュウリのようなにおいがするからその名がついたとのことですが…。
(キュウリ???う~ん…いやー、草のにおいだよ、こりゃ)
と、何度試しても私はそう思います。

平地では畑を耕すトラクターにアマサギが群がっていました。

このときは全部で十数羽がトラクターの周りを取り囲んでいました。
掘り返された土の中にごちそうがたくさんあることを
彼らはちゃーんと知っているのですね。
この風景を見ると夏が近いんだなぁと感じます。

そしてやっぱり締めくくりは花より団子。

というわけで、この日の晩ご飯はクズとカラスザンショウとタラノキの若芽を摘んで天ぷらに。
なかでもカラスザンショウの天ぷらは、口に入れた途端いい香りがいっぱいに広がって
鼻に抜ける爽やかさが何とも言えませんね。

食後のデザートはもちろんクサイチゴです。

幸せー! 初夏の恵みに感謝!!!

自然エネルギー

2012年05月02日 | 日記
一昨日の朝、出かける支度をしながら何となくテレビに目をやると
時任三郎がヨーロッパの国々の電気エネルギーを取材する番組が流れていました。
身支度をしながらだったので、番組のタイトルが分からず
あとで確認したら「子どもたちへ 時任三郎 世界電気の旅」でした。

ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
どんな感想をお持ちになりましたか?

一番目はドイツを太陽光発電へと導いた、ある小さな村に住む一人の女性の話。
彼女はチェルノブイリ原発事故による汚染被害をきっかけに
電力会社に対して原発から自然エネルギーへの転換を訴え続けました。
電力会社から「嫌われ者」と言われながら。

それでも彼女の声は住民の半数以上の支持を得、さらにはドイツ国中に広がり
今では電力供給のかなりの割合(数字は忘れました)を
太陽光発電や小規模水力発電でまかなっているそうです。

この自然エネルギーによって供給される電気の料金は
他の電気に比べて1割ほど高いのだそうですが
それでも敢えてクリーンなエネルギーを選ぶ人が数多くいるという現状に
ドイツの人々の成熟した意識をみることができ
私たちも見習うべきところがたくさんあると思いました。

ドイツは2022年までにドイツ国内のすべての原発を
停止する方針を打ち出しているのだそうです。

最初は一人の小さな声だったものが、やがて大きな渦となり
国の方針をも変えてしまったわけですね。

二番目はデンマークのある島での話。
その島では原発の建設計画が進んでいましたが
とても強い風が吹くという、島の特徴を利用して風力発電へと転換。
今では風力発電システムを、日本を含め諸外国に輸出するまでになっているとのこと。
これもスタートはある少数の市民の声からでした。

最後はフィンランドの話。
建設中の核廃棄物を最終処分する現場リポートでした。
地下450メートルほどの岩盤に核廃棄物を遠隔操作で埋める施設です。
原発の敷地内に電力会社の本社があるのは
安全性確保に対する責任感の表れなのかもしれません。

しかし、核廃棄物を地下に埋めても放射能を出さなくなるまでに
25万年という気の遠くなる年月がかかるとのこと。

どういう計算か知りませんが、25万年後の地球がどのようになっているか
そんなこと誰にも分かりませんよね。
大規模な地殻変動が起こるかもしれないし
巨大隕石が衝突するかもしれないし…。

私も原発による電力供給を受けてきた一人ではありますが
そんなヒトの手に負えないゴミを生み出しておいて
それを地下数100メートルの場所に埋めて25万年…!?
「あとは野となれ山となれ」って言ってるようなもの。

無責任だと思いませんか?

人類の子孫にツケを残すだけでなく
この緑の地球全体の将来にツケを回すなんて
断じて許されることではありませんよ。

ヒトも、昆虫やバクテリアや他の生きものと同列。
だのにこの地球上に生息する生きものの一種だということを忘れてしまって
まるで人類が地球を征服したかのような傲慢さではありませんか!

あーぁ、書いているうちにだんだん腹立たしくなってきました。

異論もあるでしょうが
自然観察会の一員としてフィールド観察をしていると
ヒト以外の生き物たちの能力の高さに驚かされることがしばしばあります。

餌を探してどんなに遠くまで移動しても
迷わず最短距離で巣に帰る蜂やカメムシの仲間。
花粉を運ばせるために色鮮やかな花や香りで昆虫を引き寄せ、
受精して種子を作れば、繁殖の範囲を広げるために
昆虫や野生動物、ヒト、そして風も利用する植物たち。

植物たちが種子を作るために、葉が夜の長さを計り
花を咲かせる時機を決めているらしいこと。

効率よく光合成をするために、植物の種類によって
葉のつき方に一定の法則(葉序)があるということ。

タカなどの猛禽類は3km先の獲物もはっきり見える…などなど
枚挙にいとまがありません。

私たちヒトは彼らの能力の恩恵を間接的に受けて
「生かされている」と気づくのです。

折しも九州大学大学院の研究チームが福岡県糸島市の景勝地「白糸の滝」で
小規模水力発電を行うとの新聞記事を目にしたばかりです。

そして少し前には九州大学の研究者が洋上風力発電の実験を
博多湾で実施するとのテレビニュースも見ました。


日本の料理には和・洋・中のほかたくさんの種類があるように
電力も国内各地の特性に合わせて
小規模水力、地熱、風力などを組み合わせて
独自の発電文化を創り出していけたらと思うのです。
足で踏むと電気がおこる仕組みなども画期的ですよね。

それらを国家プロジェクトとして推進し、
デンマークのように輸出するまでになれば
日本の新たな成長につながるし、国として尊敬もされるでしょう。

未曾有の大震災という悲惨な経験をした日本だからこそ
将来のエネルギー源について私たち一人一人が真剣に考え
大勢に流されることのない、ドイツやデンマークの例のような
成熟した社会の実現を目指さなければと思いました。