How many rivers must I cross? I don't know...

幸せになりたくて川を渡る・・・

2015/06/14 益田川~貧果の中にも手応え

2015-06-15 00:34:14 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)
2015年6月14日。
まだ暗い益田川のほとりに腰を降ろして夜明けを待っていた。
昨日6月13日の土曜日は所用があり釣行は叶わなかった。
朝一番だけ何処かの釣り場へと思っていたが、そうすることによって一日が非常に慌ただしいものになってしまうため、結局釣行は見合わせた。

趣味や楽しみというにはやや強迫観念めいたものに纏わりつかれていると自分でも思うが、シーズン中の週末に1日しか釣りが出来ないというのは僕にとっては相当な苦痛だった。
だから今日は予想外、想定外、段取り不足というのは極力排除したかった。
夕刻には自宅に戻っていなければならない。
正味何時間程度川に立っていられるのだろう。
目当てのポイントは先行者がいたため移動、などという事態になって貴重な時間を無為に過ごすのは避けねばならない。
僕は誰よりも先んじて朝一番に入川しなければならなかった。


僕は益田川のほとりで夜明けを待っていた。
先週の釣行で目を付けたポイントだった。
不甲斐なくウグイのみの釣果に終わってしまったが、大物が着く筈と踏んだポイントだった。
夜明けは午前4時半。
その15分くらい前から周囲の様子はかなり分かるようになった。
僕は脇の細流やチャラ瀬で川虫を仕入れ始めた。

しかし捕れるクロカワはごく小さい。
ゼロ釣法などの場合にはちょうどよいサイズかもしれないが、僕の狙いは尺以上のアマゴ。
出来れば40cmを獲りたい。
今日仕込んできた鈎はオーナーのスーパーヤマメの8号だった。
例年6月に本流アマゴを狙うときは同じ鈎の7号か7.5号。
大物が掛かることを想定して今日は一回り大きなものをセットしたのだ。
その鈎には今しがた捕れたクロカワでは小さ過ぎた。
仕方なく僕は小さいなりにその中でも大きなものを選って他はそのまま川へ戻した。


夜明けの4時半になると目印が判別できる明るさとなった。
僕は水際に近付いて行った。
上流から順に「岩盤帯でところどころ岩の着き出た段々瀬→河床勾配の急な深瀬→開き→淵」が凡そ200mの区間に繰り広がるポイント。
ちょうど長良川の千疋大橋付近のポイントに似ていた。
先ずは上流部から竿を出す。
流芯とその脇の緩流帯の境目付近よりも岸近いところを探っていった。
早朝は岸近いところにも大物が居るというのはよくあることだ。
不用意に立ち込むことは避けねばならない。
少しずつ降りながら一帯を探っていると、時折アタリがある。
でもどうやらウグイのものだろう。
掌サイズのウグイの幼魚を何匹か釣る。

一通り探り終えると僕は一旦岸から離れてもう一度上流に釣り座を変える。
そして、少しずつ川の中へ歩を進める。
流芯脇の緩流帯は膝下辺りの水深が数メートル続いた後、急激に深くなる。
僕は深くなる一歩手前まで歩を進める。
今度は流芯を越えた対岸の緩流帯を探る。
長尺本流竿の利点を最大限に活かす。
しかし、なかなかアマゴのアタリはない。
ウグイが釣れてくるのみ。

このサイクルの二度目、対岸の緩流帯を探っていた時にアマゴを1匹釣った。
掛けた瞬間に遠くで小さな銀色の魚体が舞った。
僕はそのまま抜いて流芯を飛び越して手許に寄せた。
掌サイズのアマゴだった。
このポイントで初めて釣ったアマゴだったが、勿論そんなサイズでは満足していない。
僕は写真撮影もせずにそのまま流れに返した。


更に探りながら少しずつ降っていく。
幸いにも他の釣り師はやって来ない。
僕はこのポイントで大物が着くとしたらこの開きの頭だろうと踏んでいた。
勿論早朝の時間帯は浅いところにも大物は入ってくるが、そうではなくて純粋にポイントとして観察するならば、本命はその開きの頭から数メートル下流までの間だと思っていた。
そして、少しずつ下流へ下流へ探りを入れる僕の歩は、その本命ポイントに到達した。

そこでも僕は岸寄りから流し、少しずつ立ち込んで本命の筋へ投餌を近付けて行った。
かなり遠めの自分の僅かに上流側へと投餌し、仕掛けが少し手前に引きずられながら馴染み始めた地点を起点としてドリフトをスタートさせた。
腕を伸ばし、可能な限り遠くに届くような竿の構え方をしていたときに、ビンビンっ!!と弾くような強い魚信を感じた。
すかさず合わせたが、手応えはたいして重くはない。
首を振りながらのシャープな引きはアマゴのものだろうが、狙っているような大物ではないとすぐに分かった。

取込んだその魚は20cmを少し超えるくらいのアマゴだった。
これまで殆ど経験の無かった釣り場でまともなアマゴを釣ることが出来たのだから感謝はしていたが、やはりこのサイズでは納得いかない。
僕は今しがた流していた筋から一旦離れ、数メートル下流側に立ち位置を変えた。
自分のやや上流側に投餌するのは変わりないが、岸からの距離を短くした。
投餌後に直ちに餌が馴染むようにし、そのまま下流側に長い距離を流してみた。
竿を寝かせ、目印を水中に沈めてそのまま流す。
そして再び目印が水面に現れる。
高原川ではこのような流し方の流し切る直前によくアタリが出たものだ。
しかし、今日の益田川ではアタリは出たもののウグイのそれだった。

もう一度、先ほど20cmのアマゴが食ってきた時の立ち位置に戻った。
既に股間辺りまで立ち込んでいたが、もう少しだけ歩を進めた。
腰近くまで水面が上がってきた。
ベストの裾は完全に水没している。
本命の筋にも幅があるのだろう、
先ほど狙っていた筋がその幅の端の部分に当たるならば、もう少し中央部付近を流せないかと試みた。
目一杯腕を伸ばし、餌が底付近を漂うように流した。
ゴンゴンッという強い魚信が手許にまで伝わってきたが、何故かアワセのタイミングを逃してしまった。
呆けていたわけではない。
しっかりと神経を集中しているのにもかかわらず、絶好のアタリなのにタイミングを逸することがたまにある。
何故だろう。
自身の呼吸の間隔などと関係しているのだろうか。
とにかく絶好の機会を逃してしまった。
もう一度食い付いてくれないかと祈りながらそのまま流す。
もうこれ以上流せない、餌が浮き上がるぞという時、同じアタリが再び襲った。

ビシッと強めにアワセを入れた。
かなりの重量感が竿の胴に乗った。
一瞬魚の動きが止まったあと、首振りもそこそこに水面から大きな魚体が高跳びのように天をめがけて跳躍した。
はっきり判別できたわけではないが、間違いなくニジマスだろう。
万が一バラしたとしてもよかろう。
竿の曲がりやパワーを確認するための遣り取りに好都合だった。


相手は強い押しの流れを必死に下流に降ろうとする。
僕は上流側に竿を寝かせて絞る。
曲がり方は先代エアマスターと本当によく似ている。
違うのはまだまだ余裕がありそうだということだ。
正確に比較は出来ないが、先代ならばこの押しの強さでこのサイズのニジマスが掛かったら、今のようにまだまだ絞れるという感覚は抱けなかったと思う。
ならば試しにもう少し絞るか。
すると相手は水面に顔を出してもがき始めた。
強い。
魚ではなく、新しいエアマスター、強い。
かなりパワフルになっている。
これまでは竿がシャンとしたために強くなったと感じるだけで、実際にはそれほどパワーは上がっていないのではないかと思っていたが、今の遣り取りではパワフルになっていると感じた。

しかしそのままでは本当にバラシかねない。
僕は竿を絞る手を少し緩め、岸近くへ後ずさりしながら下流側に動いた。
流芯脇の緩流帯の渦がちょっとしたワンドを形成していたため、そこに誘導して遣り取りをしてみようかとも考えた。
ワンドの水深は2mくらいはあるため、深場に潜ろうとする魚の動きに合わせてエアマスターの穂先がどこまで降りてくるか確かめたかった。
しかしそれは少し危険過ぎると思い直した。
うまく誘導できなければそのまま一気に下流に走られる。
取り逃がしてしまう。
竿の曲がり方の確認時にバレるならば仕方ないが、自分の竿裁きのせいでバラすのは避けたかった。

仕方なくそのまま流芯脇の緩流帯で遣り取りを続けた。
さすがにニジマスだけあって持久力は素晴らしかった。
なかなか観念しない。
やっとのことで寄ってきたが、もう完全に弱り切ったように見えていても一度は玉網をかわして沖へ向かって走った。
あまり弱らせるとそのまま死んでしまうかもしれないと思い、少し強引に二度目の寄せで一気に玉網に収めた。

検体となってくれたありがたいニジマスは36cm。
案の定完全にグロッキーで、玉網の中で腹を上に向けて横たわってしまった。
これはいけないと思い、少しでも水温が低くて溶存酸素の多い、少し流れのあるところに連れて行った。
手荒ではあったが、下顎を掴んで人工呼吸もしてやるが回復しない。
まずいなあと思いながらもう一度人工呼吸を試みると、何とかまともな姿勢で水中に漂ってくれるようになった。
少し休ませてからリリースした方が良いなと思い、ストリンガーを掛けて緩流帯で休息してもらうことにした。




何とか回復してくれたけど、まだ目が虚ろです。
よっぽど疲れたんだろうな。ごめんなあ。


今の遣り取りでかなり場を荒らしてしまったろうなと思ったが、ニジマスの回復待ちの時間もあった。
なんとなく惰性でそのまま竿を振り続けたが、20cm前後のアマゴとニジマスが1匹ずつ釣れただけだった。
そろそろ元気になってくれただろうという頃に、僕は36cmのニジマスを流れに返した。
狙っていたアマゴではなかったけれど、尺を超える渓魚が着くポイントだということは分かった。
魚種によって好む着き場の違いはあるかもしれないが、ひとつの収穫だったことは間違いない。
また次回、このポイントで尺上のアマゴを狙って竿を出してみよう。



当日のタックル
竿  :ダイワ 琥珀本流エアマスターメタルチューン 105M
水中糸:フロロ 0.6号
ハリス:フロロ 0.5号
鈎  :オーナー スーパーヤマメ 8号
餌  :ミミズ、クロカワ、ブドウ虫




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6 コメント

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エアマスター 105 M (KOHAKU)
2015-06-17 17:23:06

エアマスターメタルチューン 105 M。


鮭一さんの感覚と、私も似たようなものを、使用する度に感じます。

ヤマメ、35cm前後、ニジマス、40後半と対峙しましたが、竿かなり強いです。ラインは、05~06です。


竿の曲がり、ポテンシャルパワー、それでいてラインを守ってくれている能力の高さを感じます。

まだ力を残しているのでは、と思えます。


鮭一さんの更なる大物は、すぐそこですね。


それから鮭一さんの仕掛けで、前から気になっているのが水中糸とハリス部が別なこと。正確な強いジョイントが毎回出来ているのでしょうね。


私は怖いので通し仕掛けです。

根掛かりはしますが大抵外れます。どうしても取れない場合は、少々竿を煽りハリス部にキズを付け、切り、仕掛けを回収しています。
お会いするかも? (夢釣旅人)
2015-06-17 21:31:37
今年はまだ、高原川 益田川にお邪魔してませんが 私もタイミングを見計らって釣行します 。
どちらも私的に大物ポイントに入るのでお会いするかもです?
基本的に先行者が居るとポイントを移動しますが・・・
釣り終わった後も川を見ている事が良く有ります。変な人 っと思ったら私かも?です (笑)
見掛けたら 是非 声を掛けて下さい m(_ _)m
Re:エアマスター 105 M (KOHAKUさん) (鮭一)
2015-06-19 21:19:29
KOHAKUさんこんにちは。
お返事が遅くなりごめんなさい。

やっぱりKOHAKUさんもそう感じるのですね。
パワーは上がってますよね。
単にパワーが上がっただけなら弊害もあると思いますが、先代から受け継いだ調子故にしっかりと糸を守ってくれていますよね。
KOHAKUさんのコメントを読みながら、やっぱり皆さん同じように感じるのだなと思っておりました。

ところで、僕の仕掛けなのですが、実は凄くおかしな仕掛けなのですよ。
恥ずかしくて人様に話すのをはばかられるので、自分からは滅多にその話題に触れないのですが・・・
実は結束具を使っています。
しかもその結束具というのが「スナップ付きサルカン」なのですよ(笑)
そのスナップの部分にゴム製クッション丸カンを2個引っかけて、そこにハリスを結んでいます。

そりゃあこれに行き着くには試行錯誤や紆余曲折など色々ありましたよ。
「ホンマにこんなんで渓流魚が釣れるんかな?」と自分でもなんておかしな仕掛けだろうと思いながら試してみたところ、べつに釣果には影響ないように感じたのでそのまま使っています。

そのうち仕掛のことで記事を書こうかな・・・
Re:お会いするかも? (夢釣旅人さん) (鮭一)
2015-06-19 21:27:35
夢釣旅人さん、こんにちは。
お返事遅くなりごめんなさい。


全国各地の河川へ釣行されていらっしゃるようですが、益田と高原にも釣行されたことがあるのですね。

僕は6月以降は益田と高原以外へは滅多に釣行しません。
毎週末定点観測のように同じ川、同じ釣り場に入ります。
てことは、いつか遭遇するかも知れませんね。

僕のクルマは白の国産4ドアセダン、2Lツインターボのフルタイム四駆、5ナンバーです。
クルマが好きな方はらこのヒントで見当は付くかなと思いますが・・・
今はまだシマノのキャップを被っていますが、これから陽射しが強くなると麦わら帽子をかぶっています。
見かけたら声を掛けてくださいね。

そういえば、夢釣旅人さんの愛竿もエアマスターだったと記憶しておりますが違いますか?
エアマスターを振っている釣り師は、特にそれが現行の品ならば滅多に居ないので、それを目印にして「ん?もしかして」と思ったら声をおかけします。
謝罪 (KOHAKU)
2015-06-20 13:32:44

仕掛けの事、喋らなくていい事を、コメントさせてしまいまして、大変申し訳ありませんでした。


今後、気を付けます。


Re:KOHAKUさん (鮭一)
2015-06-20 22:13:49
KOHAKUさんこんばんは。
謝罪だなんてとんでもないです。
おかしな仕掛けなので人様にお話しするのがちょいと恥ずかしいだけですから。
僕の書き方がよくなかったですね。
余計なお気を遣わせてしまってこちらこそごめんなさい。



渓流釣りを始めたとき、それまでのイメージでは「渓流釣りと言えば通し仕掛けだろう」というものを抱いていました。
ですが、幼い頃は結べた鈎と糸が、大人になってから再挑戦すると上手く結べませんでした。
そこで仕方なくハリス付の鈎を買うわけですよ。

先ずここでひとつ問題が発生します。
ハリスと水中糸とはどうやって繋ぐのか…
糸どうしの結束には自信がなかったのでまたもや妥協策としてサルカンを使うのですよ(笑)

でも次第に自分好みの鈎とハリスで仕掛けを作りたくなってきます。
そんなとき、当時はパナソニックから発売されていた「針結び器」なるものの存在を知りました。
「なんて素晴らしいものがあるんだ!?」

パナソニックの 針結び器を用いて、暫く通し仕掛けで実釣していましたが、やはり糸ヨレが多発しましてね。
あまりにもヨレが酷くてクセが着いてしまうと仕掛けを換えなきゃなりませんが、通しの仕掛けなので、コストパフォーマンスがよろしくない。
最近は糸どうしの強い結束をマスターしたので仕掛けの途中で繋ぎますが、当時はそんなこと出来ません。
それでふたたびサルカンを用いた仕掛けに戻りました。

次第に大物狙いの釣りに変わっていくと、「糸は一本の長さが長ければ長いほど強い」ということが気になり始めました。
僕の仕掛けは一番細いハリス部分が一番短くなっている。
何とかこれをカバーする方法はないものか…

考えた結果、ゴム製のクッション丸カンを思い付きました。
しかし、それ単体では糸ヨレを防げません。
「どうせオモリも沢山着けてるんだし、スナップがひとつ増えたくらいで魚の食いに影響なんか出んやろう」と、半ばヤケクソ、半ば期待を込めて、フィールドテストという名目で見切り発車しました。

これがですね、食い方に影響ないようなんですよ。
クッション丸カンも2個使っていて、万が一1個がちぎれたときのためのリスク回避もしていますが、魚にちぎられたことはいまだかつてありません。

その後もまた通し仕掛けにしてみたり、ナイロンとフロロのどちらが良いか試したり、試行錯誤は続いていますが、仕掛け自体は分割式のスナップ付サルカン仕様、糸は釣り場によってナイロンとフロロを使い分けるようにしています。

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