ロイクラトンは、タイの伝統行事で、
陰暦12月の満月の夜、
水の精霊に感謝を捧げ、また罪や汚れを水に流し、魂を清めるお祭り。
ロイ(=流す)クラトン(=灯篭)の意味。
日本語では「灯籠流し」
バナナの葉や紙で作った灯篭をロウソクや線香や花で美しく飾り
満月を映す水面に流す。
タイの行事や祭りはほとんど陰暦に基づいて行われ、
日本のように毎年決まった日にお祭りがあるわけではない。
今年は、11月21日が満月にあたり、その前後を含めて、タイ各地でロイクラトンが行われる。
わが配属先、第9特別教育センターでも、ロイクラトンが近づき、みな浮き足立っている。
タイ人はお祭りが大好き。
わがセンターでは、明日、みんなで出かけてロイクラトンをやるらしい。
今日はそのために、午後からクラトン作り。
お祭りも、クラトン作りも もちろん初めての経験。
教室に運ばれてきたバナナの幹、バナナの葉、色とりどりの花、ろうそく、線香。
これらがクラトンの材料たち。
さあ 作りましょう。
土台となるバナナの幹を輪切りにする。
バナナの幹は、輪切りにすると幾重にも重なってできあがっている。 まるでタマネギのように。
そして、包丁でサクサク切れるほどみずみずしい。
バナナの幹を輪切りにするという経験、ないよなー。 これだけで軽く興奮。
輪切りにした幹に、バナナの葉っぱで作った飾りをつけていく。
飾りはそれぞれの趣向とセンス。
ボランティアでコンケン大学の学生が来ていたので、教えてもらう。
この竜みたいな飾りで、クラトンをつくっていく行程。
【作り方】
①葉っぱを丸めて三角をつくる。 たくさんつくる。
②三角をかさねてもつ。
③バナナの葉っぱをこのように左右折り
④真ん中から折りたたんで、さっきの三角2つをはさむ。
⑤同じように右からもはさみ、左右はさんで、きれいにひだをつくる。
⑥この動作を繰り返し、好きなだけ重ねていく。 ホッチキスでバッチン。
⑦作った飾りを、土台につける。
⑧さらに、バナナの葉っぱを丸く三角に折り、飾り付ける。
⑨趣向を凝らした飾りをすき間なく埋めていく。
飾りの作り方は、ある程度基本的な形はあるものの、あとは作る人のアイデアとセンス。
この大学生の男の子は、バナナの葉に蘭の花びらをつつみこんでいる。
タイ人は、飾り付けというものに対して、とても繊細。
日本人も繊細な感性をもつと思うけれど、また別の繊細さであって、
手先の器用さと、こういう飾り付けの感性はタイ人にかなわないと思う。
心から感嘆した。
「コンタイ スットヨート!」(=タイの人すごいです!)を連発すると、みなさん笑ってた。
⑩飾り付けが進み、
鮮やかな花を飾り、花びらを散らし、中央にろうそくと線香をたてる。
⑪できあがり。 彼が作ったクラトンの可憐さに、「スットヨート!」(=すごい!)を連発。
どうしてこんなに上手に作れるのかと聞くと、学校でもクラトンの作り方を習うのだという。
こんなにきれいなのに、川に流してしまうのはもったいないと言うと、こう教えてくれた。
「もったいなくない。このクラトンに髪の毛や爪、お金を入れて、願いを込めて流すと、
不幸を身代わりにもっていってくれる。」
日本の灯籠流しと、よく似ている。
大学時代を過ごした長崎では、8月のお盆に精霊流し(しょうろうながし)があった。
爆竹の破裂音・掛け声が交錯する喧騒の中で、精霊船がかつがれて行くのを見た。
精霊流しは祭りではなく、故人を追悼する仏教の行事だったけれど。
海を越えても、不幸を流したい、願いを叶えたいという人々の思いは共通。
よし、私もクラトンを作ってみよう。
それから40分後、できあがった私の初クラトン。
このクラトンに、明日、願いを込めて流そう。
私の思いを叶えてくれるだろうか。
他の教室をのぞいてみると、独創性たっぷり かつ 繊細な すごいクラトンが続々とできあがっていた。
作りかけではあるけど、この土台の優美さ。 本当に、タイの人たちの緻密さ、手先の器用さには脱帽。 大学生がつくる小さなクラトンもかわいらしい。
針と糸で、バナナの葉を縫う人が。 たくさんたくさん重ね、縫い合わせて大作ドラゴンを作ってたところ。 これはドラゴンの鱗(うろこ)。
子どもと保護者もみな、一つずつ作ったクラトン。
各教室は、ちょっとした作品展示会場に早変わり。
どれもこれもアイデアに富んで
「スーワイ マーック!」(=とても美しい!)ばかり。
これはブーゲンビリアの入ったクラトン。
この小さなところへの気の配り方、誰もが時間をかけてじっくりと美しいものを作り上げるところ
男女問わず繊細さにあふれ、みんなで楽しみながら、そして慈しむようにこのクラトンを作ってくところに
今日はとて感動してしまった。
それを伝えたくて、辞書を引いて、これだこれだとアンダーラインを引き、言った。
「プラタップチャイ マーック(=感動しました)」
みんなくすくす、笑う。
こういう時のあたたかい雰囲気が好き。
「日本にはないの?」
「じゃあ、クーサーイ、家族に写真を送ってあげなきゃね。」
ところで、明日の第9特別教育センターのロイクラトン。
数日前から
「さちえはチュッタイ(=タイの服・民族衣装)はもってるの?」
と何人からも聞かれていた。
「さちえは、着物を着るの?」
ええ!?タイに浴衣さえもってきていません!
タイの服も着物もない、と答えると、ほぼみなさん、「あら~・・・・」という反応。
センター長や副センター長がやってきて、
「さちえ、タイの服はまだもってないのか?」
「じゃあ、明日買いに連れて行くか、何か用意してあげるか。」
と、二人で一生懸命私のことを心配してくれる。
とてもかわいがってもらってるのを感じる。
ありがたい。
そして、今日。
「さちえ、これ、これよ。チュッタイ(=タイの服・民族衣装)」
と、渡された。
副センター長が
「ピンクでとてもきれいでしょう。ズボンも素敵ね。
さちえきっと似合うわよ。タイの化粧もしましょうね。」
おお・・・・
こ・・・ これを着るのか・・・・。
ピ・・・ピエロみたいな・・・。
だけどみなさん、
「みせてみせて、わあ、スーワイ! スーワイ!」(=きれい!きれい!)と喝采。
今まで生きてきて、こういうのを着たことはなかったし、きっとこれらもなかったことだろう。
救いは、家から着てくるのではなく、センターで着替えていいと言われたこと。
これで自転車に乗るっていうことはなし。 さぞかし、目立つだろうな。
明日のロイクラトン、初めての灯籠流し、そしてチュッタイ。
タイの化粧。
人のを見るのはおもしろいけど、自分がとなると・・・ こ、こわいような・・・・。
陰暦12月の満月の夜、
水の精霊に感謝を捧げ、また罪や汚れを水に流し、魂を清めるお祭り。
ロイ(=流す)クラトン(=灯篭)の意味。
日本語では「灯籠流し」
バナナの葉や紙で作った灯篭をロウソクや線香や花で美しく飾り
満月を映す水面に流す。
タイの行事や祭りはほとんど陰暦に基づいて行われ、
日本のように毎年決まった日にお祭りがあるわけではない。
今年は、11月21日が満月にあたり、その前後を含めて、タイ各地でロイクラトンが行われる。
わが配属先、第9特別教育センターでも、ロイクラトンが近づき、みな浮き足立っている。
タイ人はお祭りが大好き。
わがセンターでは、明日、みんなで出かけてロイクラトンをやるらしい。
今日はそのために、午後からクラトン作り。
お祭りも、クラトン作りも もちろん初めての経験。
教室に運ばれてきたバナナの幹、バナナの葉、色とりどりの花、ろうそく、線香。
これらがクラトンの材料たち。
さあ 作りましょう。
土台となるバナナの幹を輪切りにする。
バナナの幹は、輪切りにすると幾重にも重なってできあがっている。 まるでタマネギのように。
そして、包丁でサクサク切れるほどみずみずしい。
バナナの幹を輪切りにするという経験、ないよなー。 これだけで軽く興奮。
輪切りにした幹に、バナナの葉っぱで作った飾りをつけていく。
飾りはそれぞれの趣向とセンス。
ボランティアでコンケン大学の学生が来ていたので、教えてもらう。
この竜みたいな飾りで、クラトンをつくっていく行程。
【作り方】
①葉っぱを丸めて三角をつくる。 たくさんつくる。
②三角をかさねてもつ。
③バナナの葉っぱをこのように左右折り
④真ん中から折りたたんで、さっきの三角2つをはさむ。
⑤同じように右からもはさみ、左右はさんで、きれいにひだをつくる。
⑥この動作を繰り返し、好きなだけ重ねていく。 ホッチキスでバッチン。
⑦作った飾りを、土台につける。
⑧さらに、バナナの葉っぱを丸く三角に折り、飾り付ける。
⑨趣向を凝らした飾りをすき間なく埋めていく。
飾りの作り方は、ある程度基本的な形はあるものの、あとは作る人のアイデアとセンス。
この大学生の男の子は、バナナの葉に蘭の花びらをつつみこんでいる。
タイ人は、飾り付けというものに対して、とても繊細。
日本人も繊細な感性をもつと思うけれど、また別の繊細さであって、
手先の器用さと、こういう飾り付けの感性はタイ人にかなわないと思う。
心から感嘆した。
「コンタイ スットヨート!」(=タイの人すごいです!)を連発すると、みなさん笑ってた。
⑩飾り付けが進み、
鮮やかな花を飾り、花びらを散らし、中央にろうそくと線香をたてる。
⑪できあがり。 彼が作ったクラトンの可憐さに、「スットヨート!」(=すごい!)を連発。
どうしてこんなに上手に作れるのかと聞くと、学校でもクラトンの作り方を習うのだという。
こんなにきれいなのに、川に流してしまうのはもったいないと言うと、こう教えてくれた。
「もったいなくない。このクラトンに髪の毛や爪、お金を入れて、願いを込めて流すと、
不幸を身代わりにもっていってくれる。」
日本の灯籠流しと、よく似ている。
大学時代を過ごした長崎では、8月のお盆に精霊流し(しょうろうながし)があった。
爆竹の破裂音・掛け声が交錯する喧騒の中で、精霊船がかつがれて行くのを見た。
精霊流しは祭りではなく、故人を追悼する仏教の行事だったけれど。
海を越えても、不幸を流したい、願いを叶えたいという人々の思いは共通。
よし、私もクラトンを作ってみよう。
それから40分後、できあがった私の初クラトン。
このクラトンに、明日、願いを込めて流そう。
私の思いを叶えてくれるだろうか。
他の教室をのぞいてみると、独創性たっぷり かつ 繊細な すごいクラトンが続々とできあがっていた。
作りかけではあるけど、この土台の優美さ。 本当に、タイの人たちの緻密さ、手先の器用さには脱帽。 大学生がつくる小さなクラトンもかわいらしい。
針と糸で、バナナの葉を縫う人が。 たくさんたくさん重ね、縫い合わせて大作ドラゴンを作ってたところ。 これはドラゴンの鱗(うろこ)。
子どもと保護者もみな、一つずつ作ったクラトン。
各教室は、ちょっとした作品展示会場に早変わり。
どれもこれもアイデアに富んで
「スーワイ マーック!」(=とても美しい!)ばかり。
これはブーゲンビリアの入ったクラトン。
この小さなところへの気の配り方、誰もが時間をかけてじっくりと美しいものを作り上げるところ
男女問わず繊細さにあふれ、みんなで楽しみながら、そして慈しむようにこのクラトンを作ってくところに
今日はとて感動してしまった。
それを伝えたくて、辞書を引いて、これだこれだとアンダーラインを引き、言った。
「プラタップチャイ マーック(=感動しました)」
みんなくすくす、笑う。
こういう時のあたたかい雰囲気が好き。
「日本にはないの?」
「じゃあ、クーサーイ、家族に写真を送ってあげなきゃね。」
ところで、明日の第9特別教育センターのロイクラトン。
数日前から
「さちえはチュッタイ(=タイの服・民族衣装)はもってるの?」
と何人からも聞かれていた。
「さちえは、着物を着るの?」
ええ!?タイに浴衣さえもってきていません!
タイの服も着物もない、と答えると、ほぼみなさん、「あら~・・・・」という反応。
センター長や副センター長がやってきて、
「さちえ、タイの服はまだもってないのか?」
「じゃあ、明日買いに連れて行くか、何か用意してあげるか。」
と、二人で一生懸命私のことを心配してくれる。
とてもかわいがってもらってるのを感じる。
ありがたい。
そして、今日。
「さちえ、これ、これよ。チュッタイ(=タイの服・民族衣装)」
と、渡された。
副センター長が
「ピンクでとてもきれいでしょう。ズボンも素敵ね。
さちえきっと似合うわよ。タイの化粧もしましょうね。」
おお・・・・
こ・・・ これを着るのか・・・・。
ピ・・・ピエロみたいな・・・。
だけどみなさん、
「みせてみせて、わあ、スーワイ! スーワイ!」(=きれい!きれい!)と喝采。
今まで生きてきて、こういうのを着たことはなかったし、きっとこれらもなかったことだろう。
救いは、家から着てくるのではなく、センターで着替えていいと言われたこと。
これで自転車に乗るっていうことはなし。 さぞかし、目立つだろうな。
明日のロイクラトン、初めての灯籠流し、そしてチュッタイ。
タイの化粧。
人のを見るのはおもしろいけど、自分がとなると・・・ こ、こわいような・・・・。