「厳しい対応」

先日、「拉致進展なくば経済制裁も視野　安倍官房長官」との記事を見ました。
素人や一議員ならともかく、官房長官になった安倍氏が「経済制裁」を口にするのだろうか・・・と不思議に思いながら読んだ記事は以下の通り。

拉致進展なくば経済制裁も視野　安倍官房長官
2005年11月18日 (金) 03:31
　安倍晋三官房長官は十七日の衆院拉致問題特別委員会で、今月上旬の日朝政府間対話で拉致問題の具体的な進展がなかったことを踏まえ、「再び北朝鮮側が誠意ある対応を示さないなら厳しい対応も当然考えないといけない」と述べ、次回も進展がない場合は経済制裁も視野に入れざるを得ないとの考えを示唆した。

「厳しい対応」とは言っているようですが、いくら読み返しても安倍官房長官の口から「経済制裁」の言葉が出たとは読み取れません。
『経済制裁も視野に入れざるを得ない』等と言うのは記事を書いたマスコミ記者が付け足した事なのでしょう。
或いはマスコミ記者の願望なのかも知れません。

可能性としては経済制裁の発動も考えられない事ではないでしょうし、安倍官房長官も仮に「経済制裁も視野に入れると言う事ですか？」と問われれば否定をする事は無いでしょうが、これもあくまでも「視野に入れる」だけであって「発動する」とは大きな隔たりがあります。
拉致事件を進展させ解決する為には現時点では選択肢は広く持った方が良いのですから、“「経済制裁の発動」を選択肢から排除する事”は“「経済制裁の発動」以外の選択肢を全て排除する事”と同様に拙い事です。
これで経済制裁が発動されないからと言って、今後安倍官房長官を非難する事は筋違いと言えるでしょう。

「厳しい対応」と言えば、昨年１２月２４日に細田官房長官（当時）も『誠意ある対応がなければ厳しい対応を取らざるを得ない』と発言しましたが、それが何時の間にか『経済制裁発動の予告』等として伝えられ、その後経済制裁が発動されていない事を非難する材料にも使われています。
しかし昨年の細田前官房長官も今回の安倍官房長官と同様、『厳しい対応』と述べているだけであって、制裁の発動とは言っていないようです。
官房長官や政府高官の発言を勝手に歪曲しておいて、その歪曲を元に非難するようなマスコミや個人サイト等には注意が必要となるでしょう。