北京一?

2005-10-08 | ライヴなんて・・・
北京一(きた・きょういち)は音楽にわたしがのめりこむ以前のアイドルだった。わたしが小学4年生のとき、5年生からボブ・ディランにのめりこむわけだが、自宅近くの市民会館へやって来た北京一・京二の漫才コンビはもの凄い人気で、関係者入り口は出待ちをする人山が出来ていた。わたしは友達たちと「行ってみよう」と向かったところへ北京一・京二のふたりが出てきた。北京一は「勉強せぇよ!」とわたしの頭を押さえつけた。友達はとても羨ましそうで、わたしはちょっと得意げだったが、その後は、あまり勉強はしなかった。
北京一はすぐに漫才コンビを解散してしまった。しかし、「浪速ソウル」と呼ばれるシーンのなかにあったバンドでヴォーカリストとして活躍していた。ヴォーカリストといってもトーキング・スタイルが中心だったように記憶している。それでも彼の存在感は圧倒的で、漫才をしていたころと少しも変わっていないようにわたしには思えた。
彼はバンド解散後に、パントマイムの勉強のために渡米した。漫才コンビ解散後にも渡米していたのかもしれない。地方紙で、彼が渡米する直前の写真が掲載されていたのを見た記憶があるが、漫才後か、バンド後かは、忘れてしまった。

わたしが20代のころ、レギュラーで仕事をしていた出版社の人から「パントマイマーのインタヴューをしてくれないか?」と頼まれたので引き受けたことがある。それが北京一だった。撮影したのは公園通りで、黒いタイツ姿の北京一はとても眩しかった。アーニー・リーボヴィッツが撮ったニューヨーク・バレエの写真を観るとき、わたしはいつもこのときの北京一の姿を思い出す。

下北沢で金子マリと北京一のライヴを観た。北京一のパントマイムを観たのは92年に渋谷の東急本店で観て以来のこと。下北沢界隈で彼がライヴをやっているのは知っていたけど、あまり見に行く気にはなれなかった。なぜ、なれなかったのかは、「懐かしい」だけでは行きたくなかったし、下北沢には街中にそんな雰囲気が充満していて、わたしのなかには出来るだけ居心地の悪いところに身を置こうというヘンな拘りがあったから。そんなヘンな拘りもニール・ヤングの新作『プレイリー・ウィンド』で吹き飛んでしまったわたしには北京一のライヴにも平気でいける。というか、北京一はあまり「懐かしさ」を感じさせる人ではないことは知ってはいたのだが。この日も「スーパーマン」と題したパントマイムをした後に詩の朗読をしたり、エレキ・ギターを弾いたりした。わたしの知っている北京一ではなかったのが心地よかった。それにしても彼は漫才やロック・バンドのヴォーカルなどの言葉を発する仕事からパントマイムという無言の表現方法を選んだのだろう。パフォーマーとしての自身の存在感を、彼ははじめから自覚していたのだろうか。

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北京一(きた・きょういち)ソロパントマイム (神奈川芸術文化財団)
2008-06-23 16:50:06
7月に横浜で、北京一さんのソロパントマイム公演を行うことになりましたので、お知らせします。詳細は以下です。

表現者としてのデビューが漫才師!であり、仏パントマイムの巨匠エティエンヌ・ドゥクルーに師事した後、欧州舞台芸術界で活躍するなど、様々なアート・シーンで輝きを放つ異色のパントマイム・アーティスト北京一(きた・きょういち)によるパントマイム・ショー。知る人ぞ知るパントマイム界の第一人者による本格的なソロ・パフォーマンスが実現!チケットはお早めに!

『北京一ソロパントマイム』
出演: 北京一(きた・きょういち)
日時: 2008年7月12日(土)18:00開演、13日(日)14:00開演
会場: 神奈川県立青少年センター2F 多目的プラザ(JR桜木町駅徒歩10分)
チケット:全席自由 一般2,000円 学生1,800円 
☆チケット取り扱い
県民ホールチケットセンター 045-662-8866 
チケットぴあ 0570-02-9988、9999(Pコード:385-310)
詳細+インターネット予約申し込み 
http://www.kanagawa-arts.or.jp/theater_performance/event20080712.html

主催 財団法人神奈川芸術文化財団