人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(緊急告知編) 2017年 ホセ・クーラ ワーグナーのタンホイザーに初挑戦 / Jose Cura / Tannhäuser

2016-07-13 | ワーグナーのタンホイザー

 *写真は2016年7月、スロヴェニアのリュブリャナ・フェスティバルのオテロより

ホセ・クーラの念願のワーグナー・ロールデビューが、ようやく公式カレンダーに掲載されました。
2017年2月、タンホイザーのタイトルロール、場所はモナコのモンテカルロ歌劇場です。
→ クーラHP公式カレンダー (2016年の分の下に続いています)

もともとワーグナーについては、若い頃、バイロイトからもオファーがあったようですが、ドイツ語が問題だと断ってきたようです。日常会話程度なら問題はないが、役柄を深く掘り下げ、解釈、演技、歌唱を一体に舞台上のドラマをつくりあげるクーラのスタイルからすると、「言葉のパヒューム(香り、ニュアンスを含めた理解という意味か)」までは理解できないからということでした。

しかしワーグナー・デビューは、クーラ自身にとっても念願だったようで、タンホイザーのパリ版フランス語上演という方法で、ついにロールデビューの場を得ることができました。

*パリ版フランス語上演 2017/2/19、22、25、28
 この他にも、ボンのピーター・グライムズの演出・主演なども掲載されています。これらはまだ17年の予定の一部とのことです。



モンテカルロ歌劇場のホームページ → タンホイザーのページ 

キャスト・スタッフ


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これまでも折にふれて、クーラは、ワーグナーをやりたいということを発言していました。いくつかのインタビューから、ワーグナーについて、ロールデビューについての発言を紹介します。

〈私には夢がある――ブリテン、ワーグナー、モーツアルト‥〉
●2009年インタビューより
私は、ブリテンのピーター・グライムズを歌いたいと思っている。それが英語での私の最初の役柄になるだろう。
おそらく私は、ひとつか、またはいくつか、ワーグナーの役柄も歌うことができると思う。しかし、ただ、言葉について考えるとき、私自身の要求のレベルにおいて、それを実行できないならば、私はそれを行うことは決してないだろう。

しかし、私は夢を持っている。それはモーツアルトのドン・ジョヴァンニ。私にはあまりに重すぎると言わないでほしい。私はオテロにおいて、時にはそれ以上に深く歌っている。

私はモーツァルトを愛している。しかし残念ながら、モーツアルトは私に合うテナーの役割を残さなかった。
――しかし、ドン・ジョヴァンニ・・・私が、この役柄のために年を取りすぎる前に、どうか私に任せてくれないか!



〈ワーグナーの美しさ、音楽的レトリック〉
●2015年インタビューより

ヴェリズモオペラは、ワーグナーの素晴らしいレトリック、ヴェルディの英雄的人物像に対するアレルギー反応のように誕生した。ヴェリズモは彼らの悲惨さを露出し、肉と血、過ちを犯す人々を描きだした。

今2017年にタンホイザーを準備している。ワーグナーの美しさが印象的だ。しかし音楽的レトリックに基づいている。ワーグナーのアプローチは、音楽的に何が起こっているかを理解する努力が必要だ。



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いよいよ長年の夢の1つ、ワーグナーに挑戦するホセ・クーラ。今年の秋から、2016-17シーズンにかけては、そのほかにも、16年9月のトゥーランドットの演出と主演、17年ドイツのボン劇場でのブリテンのピーター・グライムズ、演出・主演、さらにプラハ交響楽団での指揮と作曲作品の上演などなど、目玉のプロダクションが続々です。

50代半ばにさしかかり、これまでさまざまな困難や障害を乗り越えて、自分の信じる音楽と芸術の道を、独立独歩で歩んできた、そのすべて――指揮、作曲、歌、オペラの解釈と演技、演出、セットデザイン・・において、実りの時期を迎えつつあるように思います。

日本では、こうしたクーラの活動はほとんど報道されることなく、ウィキペディアばりの歌唱技術うんぬんの、紋切型の批判や、年をとって太ったなどの外見だけの断片的な情報が散見されるばかりですが、1人の誠実なアーティストとして、商業主義、宣伝、大劇場中心主義とは一線を画して、着実に歩むクーラのリアルタイムの姿を、ひきつづき追っていきたいと思っています。
まさにこれからが黄金期を迎えつつあるのではないでしょうか。本当に楽しみです。



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