人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

ホセ・クーラ プッチーニの西部の娘 Jose Cura / La Fanciulla del West / Puccini

2016-03-24 | オペラの舞台ープッチーニの西部の娘


プッチーニのオペラ「西部の娘」は、ホセ・クーラの個性、キャラクターにぴったりの作品です。
主人公ミニーの相手役ディック・ジョンソンのアリア「やがて来る自由の日」は、クーラが国際的なキャリアをひろげるきっかけの1つとなった、プラシド・ドミンゴ主催オペラリア1994年で優勝した時のファイナルで歌った曲でもあります。その時の動画がYoutubeにアップされていますが、とても強靭な声、若々しい歌唱です。

Jose Cura 1994 "Ch'ella mi creda" La fanciulla del West




今年2016年は、この「西部の娘」に2つの劇場で出演する予定です。まずは、ドイツのハンブルク州立歌劇場で、2016年6月4, 9, 12,15, 24。ミニーはBarbara Haveman。→劇場のページ
*ハンブルクの舞台の写真、動画、またクーラのインタビューを紹介した記事はこちら→「西部の娘 プッチーニは最もエロティックな作曲家の1人」

そして秋には、ウィーン国立歌劇場で、2016年11月27、30日と、12月3、6日です。
*4/8補足 ウィーン国立歌劇場の2016/17シーズンが正式発表されました。12/3がライブストリーム予定のようです。 

*追加 ライブストリームされた映像がネット上でアップされています。いつまで見られるかわかりませんが、リンクを。
 歌唱も絶好調、演技もクーラならではの説得力と存在感で素晴らしい舞台です。

「西部の娘」第1幕 ウィーン2016年
 

「西部の娘」第2、3幕 ウィーン2016年




これまでクーラは、ロンドン、チューリヒ、ウィーンなど各地で、この「西部の娘」のディック・ジョンソン(実は盗賊団の首領ラメレス)役を歌ってきました。2008年にロンドンのロイヤルオペラに出演した際に、インタビューにこたえ、この作品についての考え、解釈を語っています。以下に、そこから抜粋して掲載しました。
また、Youtubeにあがっているいくつかの場面の録音(音声のみ)を紹介します。とても美しいメロディがいっぱいで、楽しいオペラだと思います。




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●オペラのマカロニ・ウエスタン
「西部の娘」は、深い心理的背景を持つオペラではないことは事実だ。裏切りを描くオテロやサムソンとデリラ、アイーダ、またはショービジネスの争いを反映した道化師などとは違い、これは理想的なラブストーリーの一種。マカロニ・ウエスタンだ。

深い分析が必要なプロットはない。ラストも楽観的で、皆が他の人を許し、死も裏切りもない。私たちが毎日ニュースで目撃するものを考えると、オペラも悪くないと思わせる。しかし作曲法という点では、信じられないほど素晴らしい。



●進化したオペラ
同じプッチーニの「外套」と同様に、ほとんど演劇のリズムで動くオペラ。まるで話しているように歌う。型にはまった演技や動きは許されない。テキストの流れに沿った自然な演技が求められる。ジャンルの進化という意味では完璧なオペラだ。

プッチーニの「西部の娘」は立って歌う古いスタイルのオペラではなく、真にモダンな作品。若い人たち、オペラに行ったことがなく初めて体験したい人のためにとって、理想的なオペラだ。彼らにぜひ「西部の娘」をすすめたい。

プッチーニのオペラ、西部の娘で主要なものはノスタルジアだ。互いにコミュニケーションができないので、あらゆるところに孤立感がある。だから演出で現代的な機器を取り入れてしまっては、すべてが台無しになる。

●写実的で、リズムは話し言葉
プッチーニは100%ヴェリズモの作曲家ではなかった。彼は写実的な作曲家で、彼のオペラは写実的であり、真実だ。リズムはほぼ話し言葉。西部の娘はまさにそういうオペラであり特定の型に定義するのは不可能だ。



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ホセ・クーラの「西部の娘」は、残念ながら全曲CDもDVDもありません。2008年に出演したロンドンでのラジオ録音から、いくつかの場面がYoutubeにあります。クーラは、ワイルドな荒くれ者だが、実は知的で誠実な内面をもつ主人公ジョンソンの雰囲気ぴったりで、音声だけですが楽しいです。

ロンドンROH2008年の公演から、第1幕のミニーとディック・ジョンソンのデュエットを。ミニーはエヴァ= マリア・ウエストブロック、パッパーノ指揮。
Jose Cura Act 1 "Love duet" 2008 La Fanciulla del West




プッチーニの西部の娘、2008年ロンドンROHの舞台から、第2幕のジョンソンとミニーの二重唱。プッチーニらしく官能的で美しい。クーラとウェストブルック。
Jose Cura "Hello! ..." Love Duet (Act 2) 2008 La Fanciulla del West


同じく2008年ROH、パッパーノ指揮の公演から、ホセ・クーラの第2幕ジョンソンのアリア「ひとこと言わせてくれ~」を。
Jose Cura "Una parola sola...or son sei mesi " 2008 La fanciulla del west


2008年ROHの公演から有名なアリア「やがて来る自由の日」”Ch'ella mi creda”を。絞首刑となるジョンソンが愛するミニーのため訴える歌。
Jose Cura "Ch'ella mi creda" 2008 La Fanciulla del West




写真の怖い3人組は、ROHで、演出家と指揮者パッパーノ、クーラ





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