2011年10月17日(月)
シンガポールの国立図書館で知り合ったジャーナリストから、興味深いビデオリンクが送られてきました。
オーストラリアのSunrise TV 「Ocean of Rubbish」
太平洋で発見された「ごみ大陸」についての報道です。今回報道された「ごみ大陸」はオーストラリアのクイーンズランド州(1,852,642 km2)と同じ大きさで、これは日本の国土面積の約5倍にあたります。世界中のごみ(主にアジア諸国と北アメリカ)が、海流にのってちょうど渦巻く地点、太平洋の中央に集積されているのです。Wikipediaによると、その地帯を、太平洋ゴミベルト(たいへいようゴミベルト、英語:Great Pacific Garbage Patch)と呼ぶそうで、1980年代にアメリカ海洋大気圏局によって指摘されたのが始まりです。
ごみ問題は、国境を越えて海域にまで広がっています。自然生態系が消化・分解できないプラスチックごみが特に問題で、プラスチックの種類(密度の違い)にもよりますが、表面に浮かぶものから海中に沈んでゆくものがあります。ビデオ内でインタビューを受けているCapt Charles Moore氏によると、すべてのごみを片付けるには「1艘のボートだと79000年を要し、風速10ノットではごみ総量の90%は表面下に沈んでおり、すべてを網を使ってすくい上げることは困難な作業」だそうです。
シンガポールでは、ごみ焼却後の灰やその他のごみを埋め立て用の資源(?)として利用し、シンガポールの南に位置する Semakau島を建設中です。このごみで埋め立て中の島を、エコ・ツーリズムのコースとして売り出しているところが、何ともミスマッチで興味をそそられます。政府公認のツアー会社のみが、このエコツアーを取り扱っていると聞きました。次回の渡星の際には、ぜひ訪れてみたい目的地の一つです。この埋め立て処理場、2005年8月にTerra Dailyに載った記事「Innovative Singapore Turns Garbage Island Into Eco-Tourism Attraction」によれば、2045年まではごみ埋め立てに必要な十分な容量があるそうです。急速に開発が進んでいるシンガポールですが、34年後にはまた新しい「ごみ再利用の島」を作り続けるのでしょうか。徳島県上勝町で視察した、「No Waste宣言」の町のごみ問題と向き合う取り組み・思想を思い出していました。消費活動の産物「ごみ」との向き合い方が、今後ますます重要になってきます。Semakau島はくわしい情報は、シンガポールの国家環境局National Environmental Agencyが発行しているパンフレットをご覧ください。