別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

羽ばたき

2010-01-16 | 別所沼だより

  毎朝 気温は氷点下。 キーンと音がしそうなほど冷えた空に、 雲はじっとして動かない。  凍える沼にさざ波がたつ。 きょうはメタセコイアの枝打ちをしている。
 一巡りすると 浮島のあたりに川鵜やアオサギ。  鴨や鴎、ガン、鳩など一斉に羽ばたく。 ダイビングをくりかえす元気な翡翠にも逢える。 背から尾にかけてコバルトブルーがひときわ目立った。 

         
   

  ああ  またか  そうお思いでしょうが
      出逢ったが最後      写さずには居られませんよ

  

       カワセミの雄

    釣り人が  これは雌だと教えてくれる
     雄はもっときれいだよ… って 

   でも 調べると 雌のほうは下嘴が赤いらしい
    これは黒いから雄  
    紅をさした彼女の写真はこちらの方に 見せて頂きましょう   

 水質浄化試験のための囲いの中に 薄氷が張っている。 そこでなんども小魚を捕まえた。プレゼントするかわいい娘はまだいないのだね、 いつもひとりだ。
 足が赤い 胸から腹に橙色  あのメタリックなブルー
 するどい嘴 からだの割に大きな頭…  低空を 直線的にみごとに速く飛ぶ
                               



   
  木々の多くが葉を落として 遠くまで見通せるようになった

  ガイドさんは もう帰るところ…   ハウスの雨戸を閉めていた

                   -☆-

    深夜  もう眠れない
    寝床のなかに 私は聞く
    大きな鳥が 飛び立つのを
    ―― どこへ? ……

    吼えるるやうな 羽搏きは
    私の心のへりを 縫ひながら
    真暗に凍つた 大気に
    ジグザグな罅ヒビをいらす

    優しい夕ぐれとする対話を
    鳥は 夙トウに拒んでしまつた――
    夜は眼が見えないといふのに

    星すらが すでに光らない深い淵を
    鳥は旅立つ―― (耳をそばたてた私の魂は
    答のない問ひだ)―― どこへ?

            「何処へ?」   立原道造
  

 

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4 コメント

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さすが詩人の言葉 (sora)
2010-01-17 21:09:37
立原道造の
言葉の反物が
呉服屋さんの畳の上をぱぁ~っと転がり
煌びやかに魅せてくれたような…
さすが、詩人だな、
後世までもそれが新鮮な響きと
心地よさで私の耳に届きます。

言うまでもありませんが、付け加えると
ラグちゃんの言葉も
やはり詩人ですね。
耳に心地よく張りを見せて
言葉が連なっています。

だから、つい訪れてしまうし、
気になってしまうのです。
また、出会ったの?
羨ましいな。私は一度も会ったことありませんが、
ここで、会えるから、我慢します。
何度でも出して下さいね。
楽しんでしまいます。

リンクの方もご紹介がありなるほど!と
思いました。
ありがとうございました。
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詩人 ()
2010-01-18 14:13:41
 引用する詩は、必ずしも日記の内容に一致しないです。 詩人がどんな気持でうたったのか、何を言いたかったか 深く理解できないままに。文学として ここちよい表現やイメージに魅かれて載せています。
 
 詩を読み詩を愛する者はすでにして詩人…三好達治
「言葉の反物が… 畳の上をぱぁ~っと転がり…」 soraさんも詩人です。

 ラブレターをありがとう。ご期待に添えるようこれからもっと勉強します。 
返信する
美しいものは何度でも (ふくら雀)
2010-01-18 16:25:18
冬枯れの沼の風景は詩を運んで、冬鳥たちの競演ですね。
翡翠をこんなにふんだんに見られるのは、前世によほど功徳を積んでおいでなのでしょう。
翡翠の雌雄の違いをはじめて知りました。亦、一つ物識りになれました。ありがとうございました。

蕗の薹がいっせいに顔を覗かせはじめています。膝予報も当分の間の長閑な陽射を約束してくれています。
梅の蕾のふくらみに胸ときめかせて待っています。
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水辺の宝石 ()
2010-01-18 22:43:11
 雪解けとともに顔を覗かせる蕗の薹、お宅の春はすぐそこですね。 膝予報ののどかな陽射しを遠方より望んでいます。 こちらは氷点下のせいで耳にしもやけが出来ました。 
 
 つたない腕とこのカメラではここまで、写真はぼんやりしています。リンクのきれいな写真でなぐさめて。朱い嘴も印象的、こんど別所で探してみます。前世の功徳…どうでしょうか。念じていればきっと現れます。
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