
さらにノートには、気に入りの一首をメモしていた。
その女瞬(マバタキ)の数いと多く秋の灯火(トモシビ)見るここちすれ
吉井勇
女性の瞬きを、秋の遠く瞬く、漁り火か人家の明かりに重ねてみる。こまやかな動作をとらえた吉井の眼、すてき! 彼女の横顔も見える。
まばたき(まぶたを閉じたり開いたりすること「目(マ)叩(ハタ)き」の意)
またたく(遠くの光が強まったり弱まったりする「目(マ)叩(タタ)き」の意)
ハタくとまばたき タタけばまたたく おもしろいね。
かの吉井勇歌集では
その女まばたきの数いと多く秋の灯を見るここちこそすれ
昨日まで(紅灯行より)
言うまでもなく前出のうたが好き。なめらかだ。後者は「秋の灯を」と「を」で留めて、「ここちこそ」で気持ちを強め……
あぁ、時間切れ! きょうは時の記念日。月下の門は推せず…
今はタタかずか… つづきをよろしくお願いします。
写真:豪華なまばたき こんなにあっちゃ多すぎる、この歌にはちらほらが似合う 2003.2香港