受験生のための『世界史B』

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受験生のための『世界史B』―ローマ[⑯終わりの始まり]

2011-01-22 18:18:13 | 受験生のための『世界史B』(未分類)
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 今年初めての「受験生のための『世界史B』」ですね!
 
 今年もよろしくお願いします。
 
 でもね、今回のタイトルは『終わりの始まり』なんだ!
 
 もう、いきなり暗雲がたちこめてるよね!
 
 ほんとに、ローマ帝国ってのは山あり谷ありなんです。 
 
 ひとりの人間の人生を追っているかのようです。
 
 
 [ローマ市民権の付与]

 さて、引き続きローマは繁栄を謳歌しています。「ローマの平和」ですね。
 
 しかし、ローマ本国がゴキゲンで地中海世界を支配する中、もちろん支配される側も何の不満もなしにローマを支えていたわけではありません。 
 
 ローマが帝政に移り変わるころから、ローマ建国当時にはそこまで価値をもたなかった「ローマ市民権」が、紆余曲折を経て非常なメリットをもつものになり「ローマ市民」とそれ以外の「イタリア人」の間の差が、とても大きくなっていました。
 支配されている属州の民衆は、ローマ市民権を求めて反乱を頻発させます。 
 
 それに耐えかねてカラカラ帝というひょうきんな名前の王様が、帝国の全員にローマ市民権を与えました。
 これによって、ローマ人もそれ以外の人間も区別がなくなり、ローマ帝国は文字通りの世界帝国となりました。
 
 カラカラ帝は大浴場の建設でも有名ですよね。

 まあ、これでいったん属州の反乱という問題は解決した……

 かのように思われました。
 
 事態はそうカンタンではなかった。
 
 それまでローマでは、ある程度の資格に達した属州に「ローマ市民権」を与えていたのですが、
 そこを『え~い、もうお前ら全員にあげちゃえ!』ってしちゃったわけです。
 ということは、同じローマ市民権をもった人の中でも、貧富の差、教育の程度の差、社会的地位の差、が出てきますよね。
 
 これが後に尾を引くことになります。

 同時に、ローマにはもっと大きな問題もありました。
 かつてローマが「内乱の1世紀」において危機に瀕した際、その根本の問題は「経済」でしたよね。
 そして今回もまた、その「経済」の問題がローマの前に立ちふさがるのです。
 

 [3世紀の危機]

 パックス=ロマーナ。
 「ローマの平和」です。
 
 ところで、「平和」の対義語をご存知ですか?
 
 「戦争」です。
 
 つまり、当時は「戦争」がなかったのです。

 いいことじゃないか!
 
 そうですね、戦争がないってのはすばらしいことです。
 でも、物事には常に表と裏があります。 

 それまでローマ帝国の経済を支えていたのは、お金持ちたちのラティフンディアでした。
 
 覚えてますか?
 奴隷をでかい農場でこき使う、アレです。
 
 しかし、その奴隷というのは戦争で捕虜になった人たちのこと。
 
 パックス=ロマーナという平和な状態の下では、その戦争奴隷の供給が難しくなってしまったのです。

 結果、ローマの経済は停滞します。
 
 それとともに、さっき説明した『表面上のローマ市民の平等』で満足しない属州のみなさんも、またもや反乱を起こします。 
 加えて、北や東から異民族が相次いで侵入。

 すると、それを鎮圧・撃退しようと軍隊が動きます。

 → みんな軍隊の言うことを聞かなければならなくなります。

 → 軍隊が力をもつようになります。
 
 やがて、それぞれの属州の軍人が勝手に
 『おれが皇帝だ! おれがローマを取り仕切るんだ!』 
 と言い張って「皇帝」を立てる軍人皇帝時代が始まりました。
 
 今までローマではこんなことはなかったのですが、元首政=帝政という政治の形態がこういう結果を招いたのです。
 くわしいことは、自分で考えてみてください←
 
 この軍人皇帝時代に立った「皇帝」は、50年間で実に26人。
 互いに奪い合い、殺し合いました。
 
 そしてまた、この一連の軍事的行動のためにそれぞれの属州では重税が徴収されました。
 ラティフンディアの行き詰まりでただでさえ停滞していたローマの経済は、なおさらダメージを受けます。
 
 経済的にも国家的にもめちゃくちゃになっちゃったんですね。

 そんな中、お金持ちたちは都市を抜け出し、田舎で農場を作り始めました。
 
 そして、同じように都市から逃げ出してきた農民を捕まえて、 
 
 『おい、ちょっとお前おれんとこで働けよ。大丈夫大丈夫、ちゃんとお前の自由に働かせてやるからさぁ
 
 と言って小作人(コロヌス)に仕立て上げ、
 彼らを使用して小作制(コロナトゥス)を始めました。
 
 人格的な自由を保証されていたはずのコロヌスたち。
 彼らは農場を耕して食べさせてもらう代わりに、お金持ち=経営者=地主に税金を納めなければならなかったのですが(いわゆる「年貢」ですね)。
 生活が苦しくて年貢が払えないことなんかを理由に、次第に自由を奪われていきます。
 やがて、年貢を払うためだけに延々と苦しい労働をする存在に。
 
 これが、何百年後もヨーロッパの農民たちを苦しめる『農奴制』の始まりになりました。


 とりあえずこんな感じにぐちゃぐちゃになったローマ、これからどうなるんでしょうか。
 
 印象として、ポエニ戦争が終わったあたりからすでになんだかいきあたりばったりですよね。。。
 
 おれの書き方が悪いのかな(笑)
 
 でも、国家なんてそう計画的に運営できるものではないのかもね。
 
 
 セプテンバーでした!

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1 コメント

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高2からお世話になってます(°▽°) (きゃな助)
2017-11-30 21:32:45
ただ今受験勉強真っ最中です。
世界史を勉強していて読んでるだけじゃ理解できない....!という時にいつも見にきます。
セプテンバーさんが最後に更新なさってるとこまで、今まで本当に助かりました><
残り数十日間受験に向けて頑張ります!
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