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トム・クルーズじゃなくてC・トーマス・ハウエルの『宇宙戦争』

2006年03月09日 | 誰も知らないZ級映画評
トム・クルーズじゃなくてC・トーマス・ハウエルの『宇宙戦争』
H.G.ウェルズ 宇宙戦争 -ウォー・オブ・ザ・ワールド

皆さんはすでにトム・クルーズ主演でスピルバーグ監督の『宇宙戦争』をご覧になった頃でしょう・・・。
ストーリーはともかく、それなりに楽しめた作品だったと思います(オチは残念な結果だが・・・)。
その昔、私が子供の頃も『宇宙戦争』(1953)という映画があり、やはりラストシーン近くでUFOから目玉がのびてきて、襲ってくるシーンやグロテスクな宇宙人が一瞬だけ姿を現すシーンは、私達に宇宙人に対する恐怖を植え付けたものだ。
1996年『インデペンデンス・デイ』はある意味、H.Gウェルズの原作をアレンジした宇宙人の倒した方が印象的だ。
風邪のウィルスでなく、PCウィルスでUFOを沈没させたのだから・・・。
(宇宙人ってMacintosh使ってるの?)
大統領が戦闘機に乗るシーンは悪のりとしかいいようがないが、しかし、なんといっても、朝起きるとUFOが空一面に覆うシーンはSFファンでなくても圧巻だった。
また、『スター・ウォーズ』も直訳すると"宇宙戦争"とも云えない事もない。

とにかく、ありとあらえる映画会社の夢と予算が大きく膨らむ時、新たな『宇宙戦争』が時を越えて作られる、そして、人々を宇宙という謎と恐怖で魅了する。
宇宙戦争はもっともオーソドックスなSFホラーなのだ。
そして必ず結末は、ウィルス(人間には害が少ないが宇宙人には死をもたらすウィルス)によって、世界の平和は保たれる。(少々、他力本願的な結末がHGウェルズの原作なのだ)

しかし、今回、紹介する『H.G.ウェルズ 宇宙戦争 -ウォー・オブ・ザ・ワールド-』は予算は大幅に少ない・・・というか、インディーズ映画だ。
そんな、大規模な企画自体間違いだと思うが、やり遂げたのは、ある意味凄すぎる・・・?!
この映画の主演を務めるのはC・トーマス・ハウエル。
「E.T.」で自転車に乗る少年グループのひとりに選ばれ、翌年には「アウトサイダー」で主演に抜擢、それから「ヒッチャー」等のヒットを飛ばし、当時のアイドル男優ではトップレベルだった。
高校も2年で卒業するなど、順調な人生だったが、離婚を機に彼は落ちぶれたようだ。
しかし、こんな映画の出演をOKするとは・・・。
スピルバーグに対する当てつけだろうか?
『お前が"E.T."で俺を起用して有名したから、落ちぶれたんだ!お前の"宇宙戦争"の売り上げの邪魔をしてやる!!』と思ったのかもしれない。
でも、スピルバーグ版にはなんの影響もない程、チープな出来だ。

天文学者トム・ハーバートは結婚記念日を祝う予定だった。
だから、食卓で、メチャクチャ若い妻(娘かと思った)はおっぱいを出しながら、シャワーを浴びている。(すでに、このシーンで意味不明)
そこに女かと思ったら男の子だったラングラーと云うあだ名の息子が帰って来る。
でも、ママがシャワーを浴び終わると退場。
トム博士に電話がかかってきて「隕石が落ちたよ~ん」というお知らせだった。
ママはせっかくの結婚記念日を隕石見物に変更されるのは堪えられない、という事で、女のようなロンゲの息子を連れてDCのワシントン博物館(おそらく実家の近くなんでしょう)まで家出した。

隕石を見に行った博士より先に何人かの野次馬が隕石を見ている。
そこにトム博士がやってきた。
女が近づき「彼が隕石のクーデーターに落ちたの、助けて!!」と一人でわめいている。
はっきり言って、うるさい。
彼氏は隕石から出てきたカニの甲羅のような宇宙船に長~い脚が4本ぐらいついている、巨大な宇宙カニ(ガンダムにこんなの出てきた)に食べられた(?)らしい。

逃げ惑う数人を湛然に殺すが、博士だけは気づかない・・・・?
とにかく、博士は宇宙カニの脚の間を抜けて逃げて行く。

そんな宇宙カニはあちこちで暴れていると云う情報がクチコミで広がる。
それから博士はDCに向かう旅に向かう。
廃棄処理場と思っていたら、どうも、壊された街だった。
そこで、登場シーンの途中で、実は蹴つまずいて転けたにも関わらず、演技を続けるケリー軍曹が現れ、お友達づきあいが始まります。
一緒にトム博士の兄さんを捜しに行きます。
兄さんは特殊部隊の隊員なので頼りになると踏んだのです。
その途中、普通の村に立寄り、普通に生活している人に「逃げないと死ぬぞ」といって、「そうなの?」とあしらわれます。
結局、兄を見つけましたが、兄は宇宙カニにやられ、下半身をもぎ取られていました。
そんで、死んでしまった兄さんを尻目に悲しんでいると宇宙カニの新攻撃が発覚!
なんと、毒ガス攻撃・・・・古っ、しかも、威力、弱っ!!って感じです。
そんな、危機を乗り越えますが、ケリー軍曹とははぐれてしまい、川に流され、目が覚めると、今度は神父に会います。
この辺りは、冒頭の廃棄処理場ような街付近に見えますが、まったく別の街という事なので、皆さんも理解してあげて下さい。
そうしないと、混乱して、話は進みません。
イケメン神父と博士は何故か、ホモっぽく寄り添っています。
恐がりなのかな?と思う事しましたが、やはりホモにしか見えません。
そんな二人は、崩れかかった家に閉じ込められ、そこで惨い死に方をした家族を目のあたりにします。
惨い死に方というのは、宇宙人にゴミ袋をかぶせられ、串刺しにされ、中身をチュウチュウと吸われます。
痛いのか、首を横に振りますが、振りすぎて超高速首回転になり、死にます。
(なんのこっちゃ・・・)

怒った博士は神父との愛を育んだ家に入ってきた宇宙カニの脚に狂犬病の犬のウィルスと風邪のウィルスを混ぜた物を注射。
「注射は嫌い!!」というのは宇宙共通らしく、宇宙人は逃げていきます。
さすが、天文学者・・・・あれ、ウィルスは専門外だろ!!
でも、ホモの神父は死にます。
神を信じずに、昔、女遊びをしまくった罰でしょう。

博士のお陰で地球は救われます。
ウィルスが何故か、世界中の宇宙カニに感染したようです。

そこにさっきのケリー軍曹が出てきて、お茶を濁すエピソードを付け足します。
ケリー軍曹は気違い将軍率いる部隊に加入していたのです。
加入金は0のようですが、将軍は口うるさいくせに同じ事を繰り返します。
あげくの果てに興奮しすぎたのか、意味もなくケリー軍曹に発砲!!
ケリーはやっと再会したのにすぐ、死んじゃいました。
怒った博士は将軍を石で後ろからガツン!!
殺します。
立派な殺人ですが、そこはアメリカ映画。
隊員たちはよくぞ、気違い将軍を殺してくれたと思ったのか、何も云わず、ゾンビのように立ち去ります。

そんなこんなでやっとついたのはプレハブの家・・・きっと、ここがDCの家なのか、ワシントン博物館なのでしょう。
(とにかく、この映画は想像力が、かなりいります)
でも、家族はいませんでした。
そこに、生き残った人が現れ、その中に家族もいました。
めでたしめでたし。

とにかくこの映画、宇宙人対する描写らしい描写がなく、何の為に暴れているのか?人間を殺して何をしたいのか?詳しい明細はまたしても想像するしかありません。
後、位置関係や宇宙人の設定はメチャクチャですが、そこはプロ、観客は無視です。

全体的にトム・クルーズ主演の作品を模造したのでしょうが、予算がないので、ほとんど、ロードムービーの味わいになってました。
道を歩きながら、ダラダラ話をするだけ・・・。
まさにここに新しいジャンルの誕生です・・・『SF・少しパニック・なが~くロードムービー』です!!


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2 コメント

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TBありがとう (せつら)
2006-03-14 19:13:40
初めまして、TBありがとうございました。



私は原作小説も読んでいて圧倒的科学力を持つ火星人とアメリカ騎兵隊が主戦力で最終兵器が大砲という中

人々が絶望する様が良く描かれている原作が大好きだったので

スピルバーグ版を見たときがっかりしました。

そして今作も配給メーカーからしてだめだと分かっていながら

借りたのですがわりと原作に忠実な流れでした。

でも中身は薄ぺらでちんけな演出やCGなどにがっくり来ました・・・
ばか (真保典子)
2015-12-09 17:20:35
ダラダラ書くな