【入門編】 その3 熱化学方程式の立式
熱化学方程式を書かせる問題には、基本的に部分点は存在しない。
一ヶ所でもケアレスミスをしたら、丸ごと吹き飛ぶと思いなさい。
立式するときは熱化学方程式独特のルールを必ず守らなければならなない。
自分勝手な判断で、ルールを破ってしまうと、点数にならないのだな。
★ 中心物質(注目する物質)の係数を【1】として立式せよ。
★ うっかり「→」を使ってしまう受験生は、
熱化学方程式の本質的な意味がわかっていない。
必ず左辺と右辺を「=」で連結せよ。
★ エネルギー項は必ず右辺に記入し
符号は 発熱なら「+」、吸熱なら「-」とせよ。
★ エネルギー図を書く場合…
発熱なら「下に下がる」、吸熱なら「上に上がる」のである。
初心者は どんな問題でも、エネルギー図を書く癖をつけよ。
★ 可能な限り物質の状態(気・液・固など)を熱化学方程式に書き込め!
状態を書かせることで、君の【化学的一般常識】が試されているのだ。
★ 単位に敏感になれ!
熱化学方程式中のエネルギー項の単位は[kJ]である。
⇒ もともと、中心物質1[mol]について立式しているのだから
[kJ/mol]にする必要はないのだな。これだと蛇足になってしまうよ。
★ エネルギー項の正負の判断
A)必ず発熱 ⇒ 燃焼熱・中和熱・(凝縮熱)・(凝固熱)
B)必ず吸熱 ⇒ 結合エネルギー・蒸発熱・融解熱
※ これらの反応熱は【吸熱反応であることが常識】だから
ほとんどの場合、問題文中で【マイナスの符号を省略】している。
従って【知らない奴は大撃沈】する罠となる。
C)判定不能 ⇒ 生成熱・溶解熱
※ 発熱、吸熱…どちらの可能性もある反応熱だ。
正負は問題文中に明示(または暗示)されているはずです。
例題) 次の記述を熱化学方程式で表現せよ。(答は次の記事で書き込みます。)
A) 黒鉛の燃焼熱は394[kJ/mol]である。
B) 水の蒸発熱は44.0[kJ/mol]である。
C) エタノールの生成熱は277[kJ/mol]である。
D) 塩化ナトリウムの溶解熱は3.88[kJ/mol]の吸熱反応である。
E) 25[℃]における中和熱は56.5[kJ/mol]である。
F) H-Hの結合エネルギーは432[kJ/mol]である。
G) エタノール 9.2[g]を完全燃焼させたら、273.4[kJ]の熱が発生した。
(H=1.0 C=12 O=16)