「デス・フロント」という映画を見ました。だいぶ昔にTUTAYAのモニターで流れていて、すげー怖そうだから見ようとおもっていたのにずっと忘れていたアレだ。
第一次世界大戦時の西部戦線で、イギリス軍の中隊が敵軍・ドイツの塹壕を占拠するが、そこはとんでも無いところだった…という戦場を舞台にしたホラー映画です。
ちなみに塹壕とは地面を掘った通路のようなもので、敵の機関銃の攻撃などを防ぐちょっとした基地のようなものです。戦争映画によく出てくると思います。
塹壕には3人ほどのドイツ軍兵士しかおらず、残りは何故か死体の山。捕虜にしたドイツ軍兵士がホラー映画のお約束のように「ここには邪悪な存在がいる」、「お前らは生きては出られない、仲間同士で殺しあうのさ」と物語を煽り立てます。
おまけについてた監督インタビューのとおり、この映画は戦場を舞台にした「ヘル・ハウス」のような映画です。あと「ポルターガイスト」とかね。要するに舞台そのものがモンスターであり、そこに忍び込んだ登場人物たちが様々な奇妙な体験をするという展開です。様々といってもあんまりバリエーションは無いですけど。
予告編では「生まれてきた事を後悔するほどの恐怖」とかいっていたので、「それはどれほどの恐怖なのかぜひ見せてもらおうじゃないか」とやる気マンマンで見たわけです。「ヘルレイザー」のように死んでからも拷問され続けるような、そんな感じかと思っていたのにアレ?普通にあっさりと死んでいくだけじゃないか!!
基本的にはドイツ軍兵士が言ったようにお互いに殺しはじめたりします。登場人物がだんだん狂っていくあたりは「シャイニング」的ですね。ただシャイニングのような精神的な恐怖はあまり感じません。あとこの映画の一番の見せ場なのでしょうが、生き物のようにうごめく有刺鉄線にグルグル巻きにされたりします。唯一これは痛そうで、予告編に流れていた謳い文句どおりかもしれませんがねぇ、どうなんでしょう。
映画の謳い文句ってのは時として誇大広告過ぎて、実際に作品を見た時に期待はずれ感をもたせてしまう危険があります。まさにこの映画もそんな感じです。この映画は舞台が戦場なだけで、だいたい古典的なホラー映画であって、そこまでセンセーショナルではありません。
「エンゼルハート」でも「人間には知ってはならない事がある」とかいうキャッチコピーで、人類全体を脅かすほどの恐ろしい映画なのかとビビッてましたが、実際には非常に個人的なオチでした。(エンゼルハートは好きですが)
色んなジャンルの映画で、既存の映画を超えるセンセーショナルな映画が出てきていますが、ホラー映画の発展は遅れているような気がする。むしろ昔の映画のほうがショッキングだったりする。世間の風当たりは強く、ホラー映画はすぐに色物扱いされてしまうけど本当に面白いホラー映画は芸術だと思います。(名作のフィルムはニューヨーク近代美術館に保管されていたりする)
ただこの映画、塹壕に住む魔物を「サムシング・イービル」、つまり「なんだか知らないけど邪悪な存在」みたいな感じにしてしまって何でもありにしちゃったのがまずいんじゃないかな~。せっかくなら有刺鉄線にマトを絞るとかしたほうが面白かったと思う。ホラー映画でもなんでもそうですが、「何でもアリ」にしちゃうのはあんまり好きじゃないんですよね。ある程度「縛り」をつけてくれないと。
あと怖さもさほどないです。
この手の映画では「TATARI」が結構好きです。
あ、あと同ジャンルとしては前に飲み会で盛り上がった和製スプラッタ・ホラーの先駆け「ハウス」をもう一度見たくて、近所のTUTAYAで探したけど見つからなかった。調べてみたら監督は大林宣彦なんですね。
ああ、見てえ。誰か上映会してくれないかな。最高に気持ち悪い映画だったのだけど、いかんせん見たのが昔すぎて記憶にほとんど残ってないんだ。
本日のBGM
Judas Priest
「ジャギュレイター」