F & F嫁の “FFree World”

※PCでの閲覧を前提とした構成です。文字サイズは「大」推奨です 

トリプル・ビル

2007年11月11日 | Ballet

F log

K-Ballet の2007冬公演 「トリプル・ビル」のマチネを観に行ってきた。
水道橋の文京シビックホールだ。
4年前のマールイ夏公演で、ヴィシ降板のピンチヒッター、ナタリア・レドフスカヤ渾身の
キトリに大感激 ( 初鳥肌 ) した思い出のホール。


冷たい小雨がしとしと降る中、JR水道橋駅から歩く。
途中、銀ダコの匂いに誘われ、青のりをつけたまま会場入り(笑)


「鬼門」のトリプル・ビル、雨、マチネ、おまけに御大不在。
悪い予感は的中し、会場の入りは2/3ほど。ソワレはもう少し入るだろうか。


会場に入ると真正面にいきなり祥子さんのお出迎え




チャコットの雑誌、DANCE MOVE 最新号表紙のポスター。うう美しい!! 持って帰りてぇ!!


その雑誌はロビー奥に積んであったのでしっかりと2冊頂戴してきた。いいよね、ふたりなんだから。
祥子さんのロング・インタビュー。トップ写真はその扉ページ。
跳躍した身体にまとわりつくピンクの衣装が美しい。


この日の席は、下手バルコニー最前列ペアシート(笑)




バルコニー最前列から見た舞台。


1階席で数えると10列目ほど。
この席はとても気に入った。前の手すりは気にならないし、なにより後ろに人がいないのが良い。
思いっきり腰を伸ばして観ることができる。
ジゼルでいえば、墓が少し見切れるくらいだろうか。でも気にならない。


暗くなり指揮者の福田“モンチッチ”一雄氏登場。同時に御大も着席。
キャシディ、橋本直樹君も客席に。橋本君ははっきりわかるほど脚を引きずっていて痛々しい。




「パキータ」

2日前にロパートキナのヴァリエーション・レッスンを見てしまった。
が、そうした不利な条件の中でも長田佳世さんのパキータは素晴らしかった。
ヴィユウジャーニンも端正な踊りで良かったのだか、彼の場合どうしても口元が気になってしまう。
1時間半後に彼の意外な面を見るのだが・・・


ふたりのソロでは、副智美さんが好みだ。
東野さんは柔らかく、副さんは直線的。振付けもあるだろうが、あくまで好みの問題だ。


6人衆は、Jrソリスト、1stアーチスト、アーチストから各2名づつとバランス重視。
ただコール・ドでは明らかに体力的にしんどいダンサーが数人いた。
バランスを揃って保てないのだ。
巨大カンパニーと違い、掛け持ちでたいへんだろうが頑張ってもらいたい。




「ラプソディ」

噂の「ラプソディ」初体験。
結論から言うと作品としてとてもおもしろかった。
荒井祐子さんはあいかわらず超安定したテクニックで魅せる。
笑顔に華があり、それはリフトの頂点でさらに開花する。


が、ここでの収穫は Jrプリンシパルの清水健太さんということで夫婦の一致を見る。
アシュトン先生の凄まじい振付け。観ている観客の脚が攣りそうになるほど(笑)
それを清水さんは涼しい顔でこなしていく。
この方は基本ノーブルなのだと F 嫁力説。どうやらホセに通ずる何かを感じたらしい。
特に休憩中も F 嫁が絶賛し続けたのは、彼の美しいポール・ド・ブラ。


御大であればもっとケレン味たっぷりに演じるのであろうが、清水さんは熱いなかにも
常に冷徹な部分を抱えていて、それがプラスに作用しているように思う。
もちろんリフトなどサポートも申し分ない。うむむ、ジークフリートを観たくなったぞ。
極々近い将来、Jrの文字が消えることを確信した。


女性陣の中では、やはり浅川紫織ちゃんがイイ!!
同じ動きをしていても、気持ち手脚の伸びがあるように感じる。
コール・ドとしては目立ってはなんだが、隠し切れない存在感がある。
ソリストになったばかりだが、順調に成長しているようでオジさんオバさんは嬉しい。
もう「漢字のサイン」からは脱却したかな? ソリストだもんね。





カルメンに行く前に少しだけ舞台進行に苦言を。

「パキータ」がエンディングを迎えた瞬間、舞台は暗転。
鳴り響く拍手が一瞬戸惑ったのは、すぐにライトが点灯して今度は緞帳が閉まってきたからだ。
あれは素人には理解できない高度な演出なのだろうか?
暗転なら暗転、明るいまま緞帳を閉めるなら閉める方がイイような気がするのだが。


素人でも分かるのは「ラプソディ」の緞帳が開いたとき、なにかが倒れドスンッと音がしたこと。
暗転での舞台転換におけるゴロゴロ音はしょうがないが、衝撃音はまずいでしょう。


「カルメン」オープニングで二重緞帳がめくれ、内側が見えてしまうというハプニングもあり、
初日ということもだけでは済まない練れてなさを感じた。
御大が途中からまったく拍手しなくなってしまったのはいかような理由か気になる。


緞帳の開閉は「ここぞ!!」というタイミングが重要だと思う。
カーテンコールというのはパターン化されているようで、ハプニングだらけである。
そこを感じ取ってドンピシャのタイミングで開け閉めしてくれるプロを待ち望む。
それでこそ気持ちよく拍手を送れるというものだ。






「カルメン」

ローラン・プティ版。
こうして見ると3つのプログラムは、「パキータ」のプティパ、「ラプソディ」のアシュトン、
そして「カルメン」のプティと露(仏人だが)、英、仏の大振付家を一度に味わえる組合せだ。


昔コヴェント・ガーデンで観たロイヤル・バレエのトリプル・ビルでも「カルメン」は踊られた。
カルメンがギエム、ホセがムッル、エスカミーリョがコープという豪華版だった。
が、プティ版ではなくエック版であった。
真っ赤なドレスのギエムが、マジ葉巻を燻らせていたのを強烈に覚えている。


中村祥子さんは登場と同時に存在が際立ち、場の空気を変える力を持っている。
これは単に背が高いということではもちろん無い。
懸案の短髪も宣伝のポスターよりずっと素敵で似合っていた。


我々夫婦は祥子さんの大ファンである。


それをわかってもらった上であえて言いたい。
プティ版は合わない、と。


プティのミューズと表現されるが、彼が特定のダンサーを念頭に置いて振付けたことは
よく知られている。
祥子さんの踊りを観て彼がどう評するのかは知りようもないが、すくなくとも我々には
違和感が残った。なんだろう?


いっそチャコットの表紙のドレスを着て、エック版をやってくれたら・・・と詮無いことも考えた。
おそらく15日のオデット/オディールを観れば、この疑問が氷解するのではという期待を抱いている。







宮尾君、ああ宮尾くん、宮尾クン。


まず最初に彼のファンの方々にお詫びしておく。
「ドン・キホーテ」で祥子さんと競演し全幕デビュー。
恵まれた体躯を生かして、長身である彼女のサポートをドンと引き受ける予定だった。
今回サポートの進化は認めよう。リフトも安定していたし。


ただ、問題なのは単独で踊ったとき。
どうにも存在感が消えてゆくのだ。踊れば踊るほど。


清水さんがあまりに素晴らしかったので、余計そう感じるのだろうか。
もちろん彼の素晴らしいキャリアと比べるのは酷だとは思うが。


国際的に活躍するプリマ・バレリーナを相手に修行できるというのは、千載一遇のチャンスだ。
ただ、体格が合致するから(という理由だけではないだろうが)ペアに指名されるというのは
彼の為にはどうなのだろうか。


インタビューで彼女は言う。
「いつまでも『教えて下さい』という “ 受身 ” の姿勢でいては世界が広がっていきませんから」
宮尾君、キミに残された時間は多くない・・


いや、嫌いで言っているのではないことをご理解いただきたい(見てないだろうけど)
そのすばらしいプロポーションには、ほとんど同じ身長の男として憧れを禁じえない。
まだ若い宮尾君。
故パトリック・ビッセルに匹敵する長身ダンサーとして活躍する可能性を秘めている。
ジークフリートも頑張れ!! 大器の目覚めを待っている。






観る側として心配していた「トリプル・ビル」だが、失礼ながら予想外に楽しんだ。
しかしコテコテ古典の全幕大好きオヤジとしてしは、15日の「白鳥の湖」に期待せずにいられない。


明日・・もう今日だ。F 嫁のイベントもあり、出待ちはしなかった。
白鳥の時はバッチリ行きまっせ。


紫織ちゃんがオデットデビューをする次の土日、当日券を求めて並んでいる F がいるかもしれない。
今はNYの yol さん に感化されたK-Ballet。まだまだ楽しみは尽きない。






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10 コメント

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こんにちは from madokakip house@NY (yol)
2007-11-11 01:19:59
舞台のどたばたは年初の白鳥の舞台を髣髴させますね。舞台は総合芸術ですから出演者とオケのみならず、大道具さんも照明さんもそしてもちろん観客も一体にならないと、ひょんな出来事で出鼻をくじかれて今ひとつ盛り上がりにかけてしまいますね。まぁ、そのうちレポをあげますが、こちらでも盛り上がりに水を指すような出来事もあったりなんかしたわけで、、
でもまぁ、うーん、それでもやはり観たかったです。

昨日から枕もとのBBが鳴りっぱなしで(友人たちからKの感想が続々と届いていたのです)枕の端っこをかみながら涙して、朝起きてmadokakipに「うぅ、、、」と訴え、そしてこちらのPCをお借りして待ちきれずコメント入れています。

「白鳥」きっといいと思いますよ。清水さんのバジルもそれはそれはよかったですから。

しかし元々トリプル・ビルはポピュラーではないとはいえ、客席の寂しさというのは悔しいかぎりです。

こちらは寒いです。
ようやく1週間経ちましたがまだ身体が馴染みません。

あと、もう1週間は仕事漬けですが、こらえきれず1日だけまたオペラのチケット購入してしまいました
返信する
燃えるNY (F)
2007-11-11 23:59:15
yolさん、こんばんわ。

ご返事遅くなってすみません。
日曜のイベントに駆り出されヘロヘロでこざいました

わざわざMadokakipさんのご自宅からコメントありがとうございます。
ここ一週間ほど、FDNYが妙に多忙らしいですね。
なんでもメトでしょっちゅうボヤが出るとか(笑)

冗談はともかく、yolさんが帰国してからupする記事が楽しみです。
お仕事もお忙しいでしょうけれど、寒さに気をつけてがんばってください。
白鳥も頑張って観てきまっせ!! (浅川&清水も決定!!)
返信する
^^ (ranran)
2007-11-12 11:28:50
Rちゃんは昨日行ってきました。F様を探したけどいらっしゃらなかったと申してました。土曜日行かれたのですね・・・宮尾さん・・・に見せてあげたいけど。きっとご本人が一番わかってらっしゃるとおもいます。主人が公演を、私がパーティに参加しました。
子供達だけサインを頂けて祥子さんと松岡梨絵さんからサインをゲットしました。清水さんの踊り私も見たい・・・・ちなみに昨日Kバレエの男性陣でこれだけは1番は何かという質問にお料理とおしゃってました。あと筋トレはなさってないそうです。いつかご一緒出来ますように・・・そしてRちゃんが公演に出れますように・・・
返信する
生意気にも・・ (F)
2007-11-13 07:33:16
ranranさん、おはようございます。

Rちゃんは日曜だったのですね。
出演者も裏方さんも初日より安定した舞台だっただろうと思います。
それにしても、バレリーナに探していただけたとは(笑) オジさん感激

ド素人の一ファンのくせにプロのダンサーに難癖つけるとはいい度胸と思いますが、これも大型ペアの将来に期待しての暴言。
なにとぞお許しください。
清水さんは料理がお得意なのですか。いかにも緻密に丁寧に下ごしらえからやられそうなイメージです。
18日のマチネ白鳥も行くことにしました。とても楽しみです。


>そしてRちゃんが公演に出れますように・・・

我々も一日千秋の思いで待ち焦がれております


返信する
^^2 (ranran)
2007-11-13 15:42:57
お許しだなんて・・・貴重なご意見だと思います。
私達は素人なので・・・F様のブログを拝見しながらいつも感心してます。これからも愛ある辛口チェックお願いします
返信する
宮尾ファンとして (都魅恵)
2007-11-13 19:29:35
はじめて書込みます。
あっ!!以前から読んでました(^^ゞ
そして、F様には、私の旧ブログにコメントしてくださって♪
その節はありがとうございました。m(_ _)m

感想読まさせていただきました。
『彼のファンの方々にお詫びしておく。』とのことですが、
宮尾ファンの1人として一言。
お詫びするような内容では無いと思いますよ(^^)
的確だと思います☆
何より、自分の場合、祥子さんのファンでもありますが、”宮尾ファン”って気持ちが強くて、的確な意見ってのを言えないんですよね。
「しょうがないよな~」って甘い言葉であいまいにして片付けてしまう…みたいな。。^^;
ホントはいけないことなんでしょうけど。
今の宮尾さんだと、F様のような的確な意見が必要だと思うし、
特に”祥子さんファン”側の意見って、宮尾さんにとって貴重だと思います☆
彼なら、これ読んでも凹まないだろうし、「あ~!そっか~!」って納得してくれると信じてます☆(そーいう人であってほしいって願望ですが♪(^^ゞ)
一言と言いつつ、長々と書いてすみません。
ではでは♪戦車話(ちょっとメカ{バイクですが}ヲタなので(^^ゞ)ともども、これからも楽しんで読まさせていただきますね☆
返信する
おそれいります ()
2007-11-13 23:52:35
ranranさん、こんばんわ。

ありがとうございます。
批評と呼べるほどスパイスの効いたものではありませんが、
愛だけはあります

今後もよろしくお願い申し上げます。(もうすぐクルミですね~)
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いらっしゃいませ~ (F)
2007-11-14 00:06:37
都魅恵さん、こんばんわ。

ようこそいらっしゃいました。
最新のコメントに都魅恵さんのお名前を発見して腰を抜かしました。
yolさんのところのコメントで宮尾君のファンだと存じてましたので。
で、ビビリながらコメントを開けてみてタイトルの「宮尾ファンとして」を読んで動悸が

しかしながらミーハーファンの戯言を懐深く受け止めて頂き感謝します。
ファンとして暖かく「しょうがないよな~」と許しても、いちばん葛藤しているのはベルリンのプリンシパルをサポートしている宮尾君本人なんですよね。
その意味では15日の白鳥(もちろん行きます)はとても大事ですね。
オデット/オディールが変わらないので、ペアリングに集中できると思います。
ぜひともキラリと光るところを魅せて欲しいです。
あ、18日の紫織ちゃん&清水さんの白鳥もチケットゲットしました。
これもスーパー楽しみ(yolさんに聞こえないようにコソーリと)


>ちょっとメカ{バイクですが}ヲタなので・・

お~私は中免も持ってないのに『心のドカマニア』です




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あっ!すみません! (都魅恵)
2007-11-15 05:55:42
驚かせてしまったみたいで、すみません。(^^ゞ
「こちとら、盲目的ファンじゃねーから大丈夫だぞー!」と主張してみたかっただけなので。(笑)

あー!私も、ドカ好きですよ★
以前、CBR乗ってて大事故起こしてから、一族(爆)総出で、レーサーレプリカ系購入禁止令つきつけられてるんで、買えませんけど。(T^T)
返信する
女性ライダー (F)
2007-11-15 06:42:57
都魅恵さん、おはよーございます。

ビックリしただけ後の嬉しさが増しました。
今後もよろしくお願いします

モーターショーに行くたび、ドカに跨って悦に入っておりました。ナハハ。
女性のレーサー乗りはカッコイイですね~
昔の同僚にバンディットにこだわってを乗り継いでいる女性がいました。
都魅恵さんもまたいつか乗ることが出来るといいですね。
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