F log
昨日の記事にも書きましたが、土曜日にF嫁と K-ballet の夏公演『Don Quixote』を観に行ってきました。
芸術監督を始め男性ダンサーに怪我人が続き、大幅なキャスト変更を余儀なくされた本公演ですが、
ウチはベルリン国立バレエのプリンシパル、中村祥子さん一本でしたからその影響は皆無でした。
その祥子さんですが、ドン・キホーテ全幕のキトリは昨夜がデビュー
記念すべき日を観ることができて幸せでした。
バジルの宮尾さんも確か全幕は始めて。
祥子さんが170cm、宮尾さんも184cmということでふたり合わせて3.5mペア(笑)と自称してましたが、
ばっちり見栄えのする大型で美しいペアでした。
幕順に沿った詳細かつ情熱あふれるレポは、お馴染みyolさんの記事をご覧いただくとして、
私は脇を固める・・・いや違う視点で、賑やかしにグダグタ書いてみます。
印象的だったのは、K-balletの名誉総裁にしてロイヤル・バレエのノーブル部門を背負って立っていた、
サー・アンソニー・ダウエルのガマーシュ。
卿のキャラクテールといえば一昨年の「シンデレラ」における義理の姉ですが、今回も踊りまくり。
DVDでサイモン・ライスのガマーシュを見て、かなりたいへんな役だと思っていましたが、
そこはダウエル卿、お年を召したとはいえ素晴らしい存在感です。
ノープルなガマーシュというのも変ですが、実際に観れば説得力があります。
コミカルなうごきが強調されがちなガマーシュですが、元来は上流階級のセレブ(笑)
腕の動きひとつをとってみてもエレガント過ぎることはないのです。
センターで群舞が舞っていても、テーブルにお座りになっているダウエル卿から目が離せません。
特に感銘を受けたのは食事のシーン。
中心で踊っているダンサーがいるのですから、あくまで小ネタなんです。
が、嫌いなものをナイフでチョンと避けるしぐさ。表情もホントに嫌そうです。
いちばんビックリしたのはパンを食べるとき。
当然食品サンプルのような樹脂製のパンですが、ちぎるときに一瞬抵抗があるのです。
本当に固いパンを力を入れてちぎった、という表現。お見事です
落語の名人が高座で蕎麦を手繰るが如く、これぞ至芸と言うべきでしょう。
パンを食べ終わった後はナプキンで落ちたパン屑を払うことも忘れません。
う~ん、唸るのみ
踊りも素晴らしくダウエル卿の手足を双眼鏡で追いかけていて、主役の見得を見逃すこともしばしば。
バジルの狂言自殺後、ロレンツォに「あ~わかったわかった、もう結婚のことはいいよ」とマイムするのも
とても印象的でした。最後はバジルにお祝い金さえも与えてしまう人の良いガマーシュ。
おっと気づけばダウエル卿@ガマーシュだけでこんなに行を消費してしまいました。
中村祥子さんは期待通りの美しいダンサー。
いえお顔だけでなく、四肢、立ち姿すべてがです。
数日前、メルセデスを踊られたときのレポを他で拝見したら、色っぽいと書かれていましたから、
キトリはどうなんだろうと一抹の不安もありました。
結果は見事に裏切ってくれ、素晴らしいキトリデビューだったと思います。
グランフェッテではちょっとハリキリ過ぎてしまいましたが、技術がゆるぎないのはもちろんのこと。
ひとつひとつのポーズにタメがあり、音符を目一杯使っている気がします。
表情も思っていたより豊かでした。クールなイメージがあるものですから。
夢の場面での祥子さんも素晴らしかった。
ヴァリエーション後半のパキッと決まるアチチュード。
これはもう絶品で大好きなロパートキナのそれに匹敵するのではないかと、個人的に。
「嗚呼、なんでオレの双眼鏡には録画装置がついていないのだ~」
と心中で叫びまくりですわ。オホホホ
とにかく・・
中村祥子さん、貴女は日本の誇りです
同じくバジルデビューの宮尾さんですが「技術的にまだまだ」だの「祥子さんとは格が違う」などという
評を見かけますが、私はとても好きなタイプの踊り手ですね。
サポートなどに不安は残りますが、いまのK-balletで他に祥子さんとつり合う人材がいないのも確か。
自分と身長がほとんど同じ(体重と体脂肪量は段違いですが)ということもあり、なるほど舞台でオレが
祥子さんと並ぶとあんな感じか・・・などというドアホな妄想にも浸れるというものです。
( F嫁からは後刻「顔の大きさもケタ違いじゃ」と追い討ちされました )
ゲスト・プリンシパルたる祥子さんが参加する公演には今後も声がかかることがあると思います。
技術と体力を充実させて、皆に素敵なペアと呼ばれるよう頑張ってください!!
と、ここからは舞台以外のいろいろなこと。
トップ写真は幕間にちょいと一杯。
高~い仏シャンパンもありましたが、ドン・キということもありスペインのスパークリング2種。
白のグラスの後ろに同じくシャンパングラスを持ってテーブルに近づく美女が写っているんですが
いつもプログでお世話になっているyolさんと昨夜もご一緒。
F嫁とふたりして幕間に楽しくおしゃべりさせていただきました。
猛烈な馬力(核融合動力内蔵か?)で海外出張を含むお仕事と舞台観賞をこなされるyolさんですが、
昨日もソワレの松岡@キトリ&輪島@バジルに続いての連続観賞。
予鈴が鳴ってお別れしましたが、その際思わぬサプライズが・・・
先日のNYご出張のお土産として頂戴しました。
お気遣いいただきありがとうございます。
ご自身「寝不足でよろよろ」と仰いますが、その美しさは健在。
って物をもらったあとで誉めてもダメか。いえF嫁もその点では大いに一致。
8月にもご一緒の公演がありますね。またよろしくお願いします。
さてそんなこんなで公演も無事終了。
熱狂的なスタンディングオベーションにカーテンコールが長く続きます。
我々も立ち上がり両手を上にあげて拍手。いえ、私は上がりませんので胸の位置で・・・
そのころには自分の中であまりに “ 祥子フィーバー ” が渦巻いていたため、新国では初の出待ちを
敢行することにしました。
出待ちのホームグラウンド(笑)上野文化会館と違い、新国の楽屋口は車寄せがすぐで狭いです。
およそ50~60人くらい人数でしょうか?
黒いハイヤーがすぐに到着し、自動扉から数メートルに停車しました。
スタッフがドアをサッと開けると、サー・アンソニー・ダウエルが出てきてすぐクルマに乗り込みました。
周囲に手を振りましたが、一瞬の早業でカメラを出す間もなし。残念。
しばらく待っているとソワレで出番のなかったダンサーが次々出てきます。
荒井祐子さんや神戸里奈さんがファンに捕まってます。いや、みんな細くて華奢だわ。
ウチは祥子さん狙いなので邪魔にならないようにします。
そのうち白い外車が横付けされ、キャーという悲鳴とともに民族大移動。
そう、芸術監督が出てきたのです。
殺到するファンに「チャオ!!」 と叫んでクルマに乗り込みました。
出口に先回りしようとするファンがダッシュで移動。
おかけで楽屋口周辺の密度が下がりました。
そのまま帰ってしまうファンも多くて残念。計術監督個人のファンなんだな。
そんな中、他の出演者で注目していたJrソリストの浅川紫織さんをキャッチすることに成功。
初台の駅に向かって歩いていく途中でした。
昨夜はキトリの友人・・・あ、Kは花売り娘ですか、そのひとりを演じていました。
マールイのコシェレワ ちゃん以来、2番目のヴァリを踊るダンサーには無条件に惚れる傾向があります。
浅川さんはとてもキレイなダンサーですが、メイクを落としても美貌は変わらず。
むしろよりすっきり素敵に見えました。
F嫁がサインをお願いすると「すみません、サインはまだ無いので漢字でもいいですか?」
と初々しいお答え。
撮らせていただいた写真と、中央下は「漢字」のサイン。
ありがとうございました。これからいろいろな経験を積んで頑張ってもらいたいものです。
そけから・・・そろそろサインも考えましょうね(笑)
さていよいよ真打の登場間近となりましたが、やはりタクシーが横付けされイヤな予感がします。
ドアがさっと開きバジルの宮尾さんが現れ・・たかと思うとすぐにクルマに乗り込んでしました。
その間サインゼロ、写真のフラッシュもほんの数回。
アチャ~ これは祥子さんもあかんかなぁと半ば諦めムード。と思っていたら出てきた~
明らかに周囲のファンより頭ひとつ大きいですね。いやそれにしてもキレイだ。
背後に自動ドア、右側にはすぐクルマのドアですから、実質数メートル。
これは無理ですね。サインを貰うのは・・・
それでは写真だけでもと思いましたが、ここで重大な問題が発覚。
小型軽量で便利なカメラGX-100ですが、内臓フラッシュは二の矢の充電に時間がかかり、
連射が難しいことがわかりました。
購入後1,500枚以上撮影しましたが、フラッシュを使ったことはほとんどありませんでした。
上の写真の数秒後、クルマに乗り込む直前の祥子さんを奇跡的にキャッチ。
いゃ~素敵ですな。じつにお美しい。
でなにが奇跡的かというと、前にファンの頭が写っていますが、この写真ノーファンンダーなんです。
つまり人を避けるため、カメラを両手で持ち上げ高い位置から構図を確認しないまま撮ったものです。
なんだ、左腕上がるじゃないか、オレ(笑)
この夜はいくつもの “ 美 ” に触れて最後は祥子さんのパワーをもらい、リハビリ数回分の治癒を
一気に達成してしまった F なのでした。
長駄文でのお目汚し、たいへん失礼しました。
どれだけ素敵だったかが行間に溢れてますよ。
確か数年前のニューイヤーコンサートで、
彼女を拝見したような気がします。
長身の上にバランスの良い人と
印象があります。
これから益々のご活躍を思います。
是非とも見ごろに出かけていこうと
思える魅力的なコメントでした。
それとダゥエル様に関してましては、
レスリーコリアとのくるみの王子様を
見て、これが王子様なんだなって
感じました。
あのアホらしい銀色の鬘が
ピーッタリな人なんて
観たことありませんでしたので。
ニューイヤーで踊ったということは、ウィーン時代ですね。
彼女も怪我や幾度かの移籍など、様々な経験をしてきたので、精神的にもしっかりしているようですね。
もっとも海外のカンパニーでプリンシパルを張っているほどの人ですから。
カンパニーといえば、ベルリン国立はあまりドン・キは演目になりそうにありませんね。
マラーホフがバジルキャラではまったくないからでしょうか。
そういった意味でも今回のキトリ全幕は貴重だったと思います。
また来日の際には長年の母さんもぜひ。
>銀色の鬘
まったく同感です
いつものことながら独断と偏見に満ち満ちたレポですが、他人に迎合することなく好き勝手に書いているのが私のストレス発散でもあります(笑)。
今回は夫婦水入らずのところにお邪魔して申し訳ありません。お喋りしすぎだったかと今更ながら反省しています。しかもホメていただいて写真まで載せていただいて恐縮です、、、、。全然そんな対したものじゃないのにすみません。
ここのところずっとFさんご夫妻が観て下さっていたKの舞台は私には歯がゆいものばかりだったのですが今回はいかがでしたか(リフトのことは全部忘れて)?
私としてはこのカンパニーの「ドンキ」はイチ押しもの。海賊のアリ同様、熊川さんの怪我が回復されたらその時こそは熊川さん主役で観て頂きたい作品の一つでもあります。まだレポを書き上げた余韻が残っていて鼻息が荒いです、ふんんんんっ=3
それにしても、祥子さんも浅川さんも素顔も舞台化粧に負けず劣らず美しいですね。同じ人間なのが悲しい、、、
得てして独断と偏見に塗れた物書きは面白いものです。
私は批評・・とくに音楽評を読むのが好きなのですが「コレ以外は聴く必要なし」とか「他盤の存在意義が見当たらない」などの断定、決めつけ路線が大好きですね。
yolさんのレポはそんなのとは異なりますが、海よりも深い愛に支えられた読み応えのあるものだと思います。
なによりプロローグから舞台を追体験できるような、生き生きとした文章が印象的です。
私のはキレイ~とか素敵ング!!とかの、ミー度ハー度満点のオチャラケですから。
K-balletのドン・キはプログラムとして一番練り上げられているように思います。
もちろんベースはミーシャ版なのでしょうけれど、私が特に好きなのはドン・キホーテとガマーシュの決闘シーンですね。
途中で入るインターバルも含め、あそこは本当に秀逸だと思います。
あとは最後の最後で床屋であるバジルが、義父のヒゲを手入れするところ。
今回は本当のクリームがヒゲに塗られていてビックリ。
GPDDで華麗に舞ったバジルですが、やっぱり町の床屋なんだ、と思い起こさせてくれる粋な演出だと思いました。
土曜の舞台はたいへん楽しめました。
また祥子さんが来るときは宮尾さんご氏名かな?
そのときまでにもっともっと地力をつけて、サポートできるよう頑張ってください