F & F嫁の “FFree World”

※PCでの閲覧を前提とした構成です。文字サイズは「大」推奨です 

K-Ballet 「Giselle」 神奈川県民ホール

2009年05月20日 | Ballet

F log



K-Ballet Spring Tour 2009 「Giselle」 を観るため神奈川県民ホールに F 嫁と行ってきた。
2006 年のボリショイバレエ来日公演。
上野で観たグラチョーワ様のニキヤが忘れられず、最終神奈川公演まで 追いかけて行ったの を思い出す。


その時と同じく 中華街で食事をしてから 県民ホールへと向かう。








11-22mm F2.8-3.5



エントランスやロビーはお役所チックだが、ホールは見やすくて素晴らしいと思う。





さて遠路神奈川までやってきたのは、もちろん 浅川紫織ちゃん のミルタを観る為だ。
「ジゼル」の制作が発表された時に少しは期待したが、やはり主役ではなくミルタだった。
東京公演はどうにも都合がつかず、やっと関東最終日の神奈川に間に合った次第。


既報の通りジゼルを踊る予定のヴィヴィアナ・デュランテが初日舞台途中で負傷により降板。
ファーストソリストの東野泰子さんが代役を務めることになった。
東京公演のそれはすぐに発表されたが、神奈川以降地方公演の代役発表まで少し間があったので、
下から大抜擢か・・・の期待も高まったが結局最後まで東野さんが務めることになった。








仕事がバタバタして時間が経ってしまったので、記憶がどんどん薄れていく
だからいちばん印象的なことから書こう。








今回 F & F 嫁の席は 1 階中央付近。
F の前列には小学校低学年の男の子。
おばあちゃまに連れられ七五三風の半ズボンスーツで決めている。
明らかに見たくて来たわけではない態度に不安が募る。


F 嫁の前席は女性ふたり組。
席に腰を下ろしたのを見た瞬間、嫌な予感がした。
ひとりの背中がシートからこぶし縦に 2 個分離れているのだ。
「前のめりちゃん」 である。
いやいや舞台が始まればキチンと座り直す方もおられる。


オケの音がピタリと止まった・・・まだだ。
指揮者が登場・・・・・・まだだ。
拍手が止んで指揮者が棒を振り下ろした・・・・・・・・・まだだ。
序曲が終わり緞帳が上がった・・・・・・・・・・・・・・そのままだ~ぁぁぁぁ


あ~あ「真正前のめりちゃん」だぁ。
前列横一直線で見ても、その女性の頭部が突出して高い。
同行の女性はキチンと座っている。彼女はなぜ注意しないのだろう。


F 嫁隣の御婦人もかなり迷惑そう。
こうなると悲惨で舞台に集中しづらいこと甚だしい。


どうしようか迷っていると、七五三の男の子が案の定もぞもぞしだした。
隣のおばあちゃまが小声で何かささやく。


そしたらあろうことか件の「前のめりちゃん」、キッと横を向き男の子に向かって「シィーーー!!」とやらかした。
後列の全員が同時に心の中でバシーン!!と突っ込んだ。








「お前が言うな!!」 











この前のめり問題はホント深刻で、本人に自覚がないことが事態をより難題にしている。
F は身長がデカイし当然座高も高い。
席の選択が可能ならなるべく後ろに人のいない席を選ぶようにしているし、そうでない場合はお尻をずらして座高を下げる努力をしている。
その上でとなりの F 嫁にチェックしてもらうのだ。後席の方が見えにくくないかを。


近年、各劇場で「お席から身を乗り出されませんように・・・」云々のアナウンスが流れる場合がある。
分かりやすいイラストで啓蒙に努めている劇場もある。
とりあえずどちらの対策も見えなかったので、休憩時間に主催者側に意見を述べる。
本当になにか有効な策はないものだろうか・・・









さて肝心の舞台だが・・・





まずは目的でもあった 浅川紫織ちゃん のミルタ。
ミルタは死霊を束ねる親方であり、冷徹な威厳が求められる。
紫織ちゃんは背も高いし佇まいが美しいので、ポーズにつぐポーズで魅せるミルタはハマリ役。


ヴァリエーションも素晴らしかったし文句はない・・・と言いたいところだが。


目力と頬骨を強調した怖わ目のメイクがミルタの恐ろしさを伝えるのだが、紫織ちゃんのミルタは生き物なのだ。
ミルタは生物(せいぶつ)であってはならないのではないか。
なにしろ死霊なのだから。


ミルタはヴァリで舞う以外激しい動きはしない。
氷のように冷たくウィリたちを操り、自己の目的を達していく。
そこに“熱”はないはず。


もう少し実在感を消して透明になれれば、紫織ちゃんのミルタはもっと良くなるのではないか。
他のミルタキャスト、松岡さん、樋口さん、そしてコール・ドからの大抜擢である松根花子さんの踊りもそれぞれ気になる。
今回 7 公演と最多回数ミルタを踊る紫織ちゃん。
K-Ballet でミルタといえば浅川・・と言われるくらい極めてほしい。
そしていつかジゼルもね




そしてこれは共通の問題を抱える人間として真面目に書くのだが、紫織ちゃんは汗っかきだよね
F もすごく汗かきである。この年で新陳代謝が良いのは誇るべきことかもしれないが。
踊る=運動・・それもハードな、なので汗はしょうがないが、それゆえミルタの“熱”をより感じたというのもあるかもしれない。
袖に引っ込んだときこまめに拭き取りましょうね。
俳優さんが一時的に汗の出なくなるツボみたいのを紹介していたテレビを見たことあるが・・・
もう紫織ちゃんの黒い涙は見たくないの ( ゴメンネ )











ヴィヴィの代役で急遽ジゼルを踊ることになった 東野泰子さん
非常に華奢で愛らしいタヌキ顔 (褒め言葉です) 。
純朴な村娘という雰囲気はバッチリである。


ただ第 2 幕は体力不足を露呈する形となってしまった。
急遽代役 ( 初日第 1 幕の途中から ) を命じられ 5 公演目。
緊張して疲れがたまっているだろうが、2 幕は誤魔化しがきかないクラシックバレエの殿堂である。
コジョカル&ルグリ、コジョカル&コボーの映像が目に奥に焼きついているのも不利だと思うが・・・
雰囲気はジゼルにピッタリ ( それは貴重な財産 ) であるから、ひとつひとつのパをしっかり固めていけばもっと印象的になると思う。
ミス村娘コンテスト世界大会 (爆) 出場を目指して頑張ってほしい。










K-Ballet の舞台は何回か観ているが、ウチの場合紫織ちゃんの日を選んでいたので、
今の今まで御大 熊川哲也さん には当たらなかった。
というか、彼の時はチケット高いしね(笑)
今回紫織ちゃんはミルタで主役ではないから、初熊川さん鑑賞となった。


結論から書くと事前に予想していた通り、あまり感銘は受けなかった。
調子が良くないのだろうか。
F 嫁は体調万全には見えないと言っていたが・・・


立っているだけでオーラがあると聞いていたが、う~ん。
あ、テレビに出てる人がいる・・といった感想。


ロイス=アルブレヒトの造形も好みに合わなかった。
どうにも子供っぽく感じてしまった。
個人的には「貴族のお遊び風」が好みなのだ。
ジゼルの死を目の前にして初めて後悔するといった・・
バチルドとの関係性もあいまいに感じた。


第 2 幕のヴァリエーションなどさすがに魅せるところもある。
跳躍は明らかに高い。
だが着地のショックを吸収しきれていない。膝がまだ不安なのだろうか。
DVD で見た時から感じていたポール・ド・ブラの硬さ。
アルブレヒトの衣装は腕に白い線があしらわれているので余計に直線ぶりを感じてしまう。


ルグリの舞台から飛び出しそうなブリゼには負けるが、熊川さんのそれもなかなか見事だった。
だが拍手が起きたのはブリゼではなく次のピルエットの時だった。
そのときは明らかにルルベが落ちていたにもかかわらず・・・


やはり体調が良くないのか。それとも疲れか。


熱狂的な拍手を送るファンの方々には怒られそうだが・・・
それにその筋 (爆) からもっと別の演目で観るべし、とも言われているし。
個人的にはコンテンポラリー系の熊川さんを観てみたいと思っている。








帰ってからボリショイバレエのソリスト 岩田守弘さん のドキュメンタリー再放送を見た。
見てつくづく思った。
熊川さんにも別の道があったのかな・・と。








自前のカンパニーを立ち上げて今年で 10 年。
その間自身の怪我を除いても、とてつもない苦労の連続だったと思う。
日本のバレエ界になかったものを取り入れ、前に進もうとするその姿勢には共感する。
熊川さんが主役としての舞台を退いた後、カンパニーの行く末を盤石なものにするためにも優れたダンサー育てるのは急務である。




その明るい希望のひとつは 浅田良和くん である。
カンパニーいち押しだけあってペサントのパ・ド・シスでの踊りは素晴らしかった。
先輩の副さんに一歩も引けをとらない存在感。
キレのある跳躍。そしていちばんの美点である美しい甲、そしてつま先。
小さなジャンプでもそのつま先はキチンと伸びていた。つい省略しがちなところも。
カンパニー HP のトップ写真を見よ。
身長もある程度ありそうだし、これは正統派の男性舞踏手として期待できそう。
F 嫁もウットリである。




もうひとりは 5/14 公演でミルタに大抜擢された 松根花子さん 今回はバチルドだが。
背も高いしお顔立ちもシャープだ。まだ十代と聞いてビックリ。
バチルド姿の彼女、女優の高橋ひとみさんに似てるよねぇ。余談だけど。
F はバヤのガムザッティが好きなように脇役大好きなのだが、ジゼルでは踊りもしないバチルド好きなのであった(笑)


松根さんのバチルドは多少やり過ぎ感がチラつくが、総じて好みのタイプだった。
自らが促したジゼルの踊りに背を向けてチラとしか見ないところなどいいね。
ただもう少し平民との身分差に無頓着になってほしい。
接するところでは意識し過ぎである。
そういうことにすら気を使わないでよい身分なのだから。


ジゼルとアルブレヒトが怪しい関係と分かってから、目線で彼を問い詰める場面が見られず残念。
ただこれは演出も絡んでくるからダンサーのせいではないが。
松根さんがミルタを踊った回はぜひ観てみたかった。
今後もこれをステップにして役がついてくれるといいのだけれど。










またまた長くなってしまったのであと 2 点だけ。




ウィリたちがヴェールを被って登場し、それらが一斉に両舞台袖に引っ張られて消える演出がある。
今回下手側のひとりのウィリが、おそらく引っ張るワイヤが切れたのだろう。
頭にヴェールが残ってしまった。
上手く踊りの中で手を使い払いのけたものの、舞台に落ちたまま残っている。
その周辺を群舞のウィリたちが行ったり来たりするものだから気が気じゃない。
結局かなり時間が経ってから、別のウィリが気を利かせて下手側に持って行き事なきを得た。


K-Ballet 歴が少ないウチでもくるみなど、この「事故」を目撃するのは 3 回目である。
もういい加減止めたらどうか。
舞台効果も高いだろうがリスクも大きいだろう。
バレエダンサーは何らかの髪飾りがあるしヘアピンも多用するから。








最後はまた拍手の話。
第 2 幕でウィリが集団で踊る場面。
左右に別れたウィリたちが一斉に交差する場面は群舞の見せ場であるが、この夜も関係者席らしきところから
盛大に拍手が始まった。
それに値する踊りならよい。
ただこの夜はフロントと奥のダンサーの動きにかなりムラがあった。
自然発生的に拍手が出る場面とも思えない。


熊川さんへの一部からの熱狂的な拍手と歓声も含め、K-Ballet の公演ではなんだか調子が狂ってしまう。









初めて熊川御大の舞台を観たのだが演目のせいか、体調のせいか、不完全燃焼だった。
紫織ちゃんはやはり贔屓目に見てしまうが好きなダンサーだ。
若い力が台頭してきているので、ベテラン陣との懸け橋となる中堅として頑張ってほしい。
紫織ちゃんをして中堅と書ける日がくるとは夢のようである(笑)
本当の中心ダンサー目指してファイト!!













遡ること数時間。
F & F 嫁は横浜中華街をウロウロしていた。
よく食べるレポはこちら






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4 コメント

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ジゼルに関しては。。。 (yol)
2009-05-22 07:28:13
ほぼ想像していた通りの感想です(笑)。
刺しませんのでご安心を。

たったこれだけでFさんを刺すとしたら、私は何度ザハロワ・ファンと東バ・ファンに刺し殺されていることでしょう。

特にこの演目は好みが分かれる演目であること、既にインプット済みのデフォルトがあるとなかなか覆すのは難しい、演目自体が本当に難しい、、、と色々ありますが、私はKのお母さんを自認していますので、お母さんが子に甘いのは当然なのです、ふふふ。

ただ、熊川さんのオーラがない、思ったほどではない、というのは、時期的に怪我後であること、年齢的にも辛くなってきている、見せ場がない、等の理由から、これが全て、もう見なくていい、とは思って欲しくないですねー。

見たとはいえると思いますが観たというのは現時点ではいえないと思います。。ま、そもそもはどんな演目でも魅せて欲しいとは思いますけどね。

返信する
バレエ界の未来を背負って (A)
2009-05-22 18:13:55
お久しぶりです。

こちらは昨日ザハ+ウヴァ@新国=白鳥でした。10等身の宇宙人は更に進化したかのようでした。

レポを読んで、Kカンパニーのファン層というのは、団長が意図した「日本におけるバレエの浸透」とはちょっと違う方向に育ってしまったのかも知れない、と思いました。
バレエダンサーがきちんと公演ギャラで生活できるように、というのは団長のみならず、その昔はササチューも思い描いていた日本バレエ界の成熟した姿だと思います。ササチューはまず、観客の目を肥やし、チケットを買って劇場へ脚を運ぶバレエファンを育てようとしました。
Kバレエは、芸能アイドルのような売り出し方(これはTBSと組んだからかも知れませんが)をしてスピーディに固定ファンを集めました。結果的に、公演は成り立っているのかも知れませんが、果たしてそれで良かったのか?

バレエ団設立から10年。これからがKバレエの正念場だと思います。才能のあるダンサーを抱えているのですから、ここでもう一踏ん張りして、ステップアップを測って欲しいと思います。
返信する
ありがとうございます (F)
2009-05-22 22:43:28
yolさん、こんばんわ。


ありがとうございます
じゃ防刃ベストを脱いでおきます(笑)

やはり他ジゼルの残像が邪魔をしますね。
ロイヤルを踏襲した舞台はけっして嫌いではないのですが・・・

やはりダンサーの出来不出来について、自分なりに反応できるようになりたいですね。
なんでもかんでもスターが出てきたから大拍手するのではなく。
皆が皆、yolさんのように広い見識を持った K ファンならいいのですが・・・

シンフォニー・イン・C は観たいのですが、第九が大苦(曲がダメなんです)なので考えてます。
返信する
これからですね (F)
2009-05-22 23:01:18
Aさん、こんばんわ。


賛否両論あれ、佐々木氏が日本のバレエ界に果たした役割は大きいと思います。
一バレエファンとしてその恩恵に与かっている自覚はあります。
一方ゼロからカンパニーを立ち上げて早急に結果を求められた熊川さんは、
そうも言ってられなかったのでしょうね。
当初の計画が自身の二度に渡る怪我でどのように修正を余儀なくされたのか気になります。
ホントはコンテがやりたかったとも聞いたことがあります。
熊川さんでお客が呼べるうちに・・とも思いますが難しいでしょうか。
とにかく最初は熊川さん目当てで来た方も、バレエの楽しさに目覚めてくれるといいのですが。


(ムフフ、こっそり白鳥の楽日に滑り込みます)
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