BASSISTのnote

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コンピューターの導入

2005年08月22日 04時23分23秒 | 音楽全般
音楽を変数に分解し、その操作によって作成するという考え方は、作曲にコンピューターを利用することに道を開く。ヨーロッパや日本での電子音楽の研究・実験は放送局のスタジオを舞台にしておこなわれることが多かったが、アメリカではイリノイ大学やスタンフォード大学などの研究所が大きな役割をはたした。1950年代から70年代にかけて、そこでは大型コンピューターをつかった作曲がこころみられ、また音響合成も追究されてきた。このような電子音楽・電子音響・コンピューター音楽の総合的な国家規模の研究機関として、77年にパリにIRCAM(音響・音楽の探求と調整の研究所)が設立され、80年代にはリアルタイムに音響合成をおこなうシステムが開発された。
(一方、1960年代に入って、音を合成する要素をすべて電圧だけでコントロールしようというミュージカル・シンセサイザーがアメリカのロバート・モーグによって発明されると、電子音楽の境界は広がったが、同時に曖昧(あいまい)にもなった。おもに大規模なスタジオで可能だった電子音の合成が、小さなシステムでもできるようになったのである。シンセサイザーの小型化・低価格化にともない、70年代にはポピュラー音楽や、クラシック音楽(→ 西洋音楽)の領域にも電子音が使用されるようになった。ウェンディ・カーロスや冨田勲らのクラシック音楽のシンセサイザー化、バンゲリスらのシンセサイザー・ロックなどをへて、ドイツのクラフトベルク、日本のイエロー・マジック・オーケストラは、背景にある電子音楽を意識させないテクノポップを確立し、電子的音響を日常的な環境にとけこませることとなる。
1970年代後半に登場したパーソナルコンピューター上での音楽制作システムもはやくから開発され、音色など音楽パラメーターの統一規格であるMIDIによって、音楽制作のさまざまな分野に普及していった。さらに90年代に入ると、パーソナルコンピューターの低価格化、性能の急速な向上にともない、音響合成までもが音楽家や音楽愛好家個人のレベルで可能になってきている。その結果、ポピュラー音楽やダンス音楽、ロックの世界にエレクトロニカとよばれる傾向が広まる一方、微小音と各音の間の長い沈黙を強調した電子音楽ロウワーケース・サウンド(lowercase sound)が追求されるなど、電子音楽もパーソナル化が急速にすすんでいる。

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電子音楽

2005年08月22日 03時56分34秒 | 音楽全般
音楽の素材としての音を電気的に生成する楽器を電気楽器と区別して電子楽器とよび、その最初の成果は19世紀の終わりに生まれたエリシャ・グレイの音楽電信機、サディアス・カーヒルのテルハーモニアムにまでさかのぼることができる。20世紀に入ると、1910年代のテレミン、20年代にはオンド・マルトノのように現在までつかわれている電子楽器が開発され、後者を使用した作品では、オリビエ・メシアンの「トゥランガリラ交響曲」(1948)のような名作も生まれた。→楽器の「電鳴楽器」

このころまでは電子楽器をおもに新しい音色をもたらすものとして使用し、作曲の方法は通常の作品とさしてかわらなかった。ところが1948年にパリのフランス国営放送のスタジオでピエール・シェフェール、ピエール・アンリらによってはじめられたミュジーク・コンクレート(具体音楽)は、録音盤や磁気テープに録音された音を素材にもちい、それを編集・加工して作品をつくるもので、従来の作曲法とはまったくことなるものだった。また、50年にはケルン(当時は西ドイツ)の北西ドイツ放送のスタジオで、ヘルベルト・アイメルトらが発振器や増幅器をつかってつくりだした音素材を磁気テープで編集する作曲法を試みはじめた(狭義では、電子音楽はここにはじまる)。

これらの成果は、ドイツのダルムシュタット国際現代音楽祭で発表され、ここで電子音楽の概念が確立し、1950~60年代の前衛音楽に大きな影響をあたえることになる。ケルンのカールハインツ・シュトックハウゼン、パリのピエール・ブーレーズ、ミラノのルイジ・ノーノ、東京のNHK電子音楽スタジオの黛敏郎(まゆずみとしろう)、諸井誠らが、野心的な電子音楽作品を発表している。このころの電子音楽作品の背景には、音楽を構成する音の4つの要素、音高・音色・強度・持続をそれぞれまったく自由な変数としてあつかおうとする、トータル・セリエリズムの考え方があり、電子的な音響はそのような操作にむいていたといえるだろう。

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