NPO法人POSSE(ポッセ) blog

労働法のテキストを配布します!



■ 労働法教育の意義と教材作成の経緯
 私たちNPO法人POSSE(ポッセ)は、20代・30代の若者が中心となって労働相談活動や政策提言に取り組んでいます。私たちが労働相談に関わる現場から見えてくるのは、「違法状態にもかかわらず労働者が泣き寝入りしてしまう」状況です。
 現在の日本では、「我慢していれば一生勤め続けることができる」という前提は崩れています。私たちのところに寄せられる相談の中には、企業が初めから辞めさせることを念頭にパワハラや賃金不払いなどの「嫌がらせ」をするケースが多く存在するのです。つまり、上手に法律を使わないと、経済的不利益や心身の悪化を被る可能性が非常に高いということです。キャリア形成について考えてみても、いざというときに上手に法律を使って次の職場へ移る目処をつける力を若者たちが持つことは非常に有意義であると言えます。
 ところが、残念ながら、これまでの学校教育の現場では、労働法教育は志ある一部の教員が寸暇を惜しんで行うにとどまっていますし、全く労働法教育ができていない学校もあるようです。教員の方にヒアリングしたところ、「教員の立場からだけではなかなか職場の現状がわからない」、「忙しくて労働法について調べる時間がない」などの問題があることがわかりました。
 そこで、私たちは「上手に法律を使える」ための労働法の教科書を作成して、より多くの教育現場で使っていただく。そうして、労働法教育の普及に協力したいと考えました。目標は、「消費者教育並みに労働法教育を行う」ことです。



■ この教科書の特徴
○若者の職場の現状にマッチした教材
 私たちNPO法人POSSE(ポッセ)は年間約200件、若者からの労働相談を受けています。その経験を基に、学生や新卒労働者などの若者が直面しそうな法律のトラブルを、テーマごとに整理したのが本書です。見開き1ページで、「トラブルの起きる状況(マンガ)・気をつけておくべきこと(合言葉)・解決までの流れ」の3点にまとめました(写真は、「退職勧奨」をテーマにしたページ)。なお、この本に出てくる事案は全て、私たちが実際に相談を受けた相談事例から再構成したものです。

○「~であるべき」より、「~できる」を!
NPO法人POSSE(ポッセ)の2008年アンケート調査(http://www.npoposse.jp/images/08questionnaire)では、違法状態を是正させなかった労働者の多くが、「どうせ何もできないと思った」ために泣き寝入りしていることを明らかにしました。法律の知識があっても、それだけでは違法な会社に立ち向かうことはできないのです。
 私たちは若者が「泣き寝入り」しないですむために、「労働者は~すべき」、「会社は~すべき」という抽象的な知識よりも、むしろ「どういう違法状態が実際に起きていて、会社はこういう風に言ってくるかもしれないけど、その場合はこういうふうに対処することができる」という生きた知識を教えることを重視しています。

○生徒用テキストと解説用補足資料の2部構成
 教材は、生徒用のテキストと教員の方向けに考案した解説用の補足資料をセットで作りました。
解説用では、職場の現状や用語の説明などテキストの解説を書いている他、授業の進め方のアイディアも載せています。授業の仕方については、これから中長期的に様々な教育現場の方と「こういう教え方をすると反応がよかった」など、意見交換していきたいと考えています。そのためにアイディアを提起するのが目的です。また、解説用では特に「この教材を通じて、生徒たちに何をできるようになってもらいたいのか」というPOSSEのねらいを強調しています。


■ これまでの実績と今後の予定
○高校・大学・専門学校等での労働法の出張授業
 2009年度は、東京・神奈川・埼玉・宮城・大阪の、大学・専門学校・高校で出張授業を行いました。学生のボランティアスタッフが現場に赴き、授業をしています。バイトをしている生徒の多い学校ではグループに分かれてバイト先の状況について話し合ったり、就職が決定している生徒の多い学校では新卒労働者からよく来る相談についてレクチャーしたり、進学の多い生徒の学校では大学でのアルバイトなど将来起こりうる問題についてレクチャーしたりと、各学校のニーズに合わせた授業を提供しています。
 今後も、POSSEで実際に労働相談を経験しているスタッフが出張し、授業を行う取り組みを継続していきます。

○希望者への労働法教材の配布 
 教材は、生徒用テキスト・解説用補足資料ともに事務局まで連絡をいただければ、データを無償で配布します。(連絡先は下記参照。)教育関係者の方に限らず、一般の方の希望も受け付けます。郵送での発送も対応します。
 これまで、仙台市の高校・専門学校から申込みがあり、データを配布して授業で活用していただきました。教材を配布する場合には教材の感想やどのように利用したかなどに関するアンケートを同封しますので、ぜひご協力ください。
 
○労働法教育に関するシンポジウムの開催
 労働法教育の意義を社会にアピールするシンポジウムを開催します。
 教育現場で労働法教育に携わってきた高校の先生や労働法教育に詳しい学者の方をお招きし、これからの労働法教育のあり方などについてディスカッションします。直近では下記の日程でシンポジウムを企画しています。また、2月27日には、仙台市にて北海道大学の道幸哲也教授と地元の高校の先生をお招きし、同趣旨のシンポジウムを開催します。今後、京都でも同様のシンポジウムを開催する予定です。

*2.13 シンポジウム*
 【タイトル】「働く前に労働法を学ぼう!」シンポジウム
 【日時】2月13日(土)14:30~16:40
 【場所】北沢区民集会所
 【講師】角谷信一さん(千葉県公立高校教諭。『知ってトクする! バイト術』著者)
     本田由紀さん(東京大学教育学部教授。『教育の職業的意義』著者)
     吉田美穂さん(神奈川県公立高校教諭)
 詳細はブログ記事をご覧ください。(http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/ffd3110cf59412163d7097aee5289444


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出張授業ボランティア募集中!

NPO法人POSSE(ポッセ)では、出張授業に参加して高校生や大学生に労働法教育を行うボランティアスタッフを募集しています。少しでも興味のある方は、info@npoposse.jpまでご連絡下さい。
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NPO法人POSSE(ポッセ)は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間400件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているNPO法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年500人・3000人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。

なお、NPO法人POSSE(ポッセ)では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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NPO法人POSSE(ポッセ)
代表:今野 晴貴(こんの はるき)
事務局長:川村 遼平(かわむら りょうへい)
所在地:東京都世田谷区北沢4-17-15ローゼンハイム下北沢201号
TEL:03-6699-9359
FAX:03-6699-9374
E-mail:info@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
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