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鎌倉市役所、生活保護窓口を封鎖する「水際作戦」


1,はじめに

 鎌倉市で新たな「水際作戦」が継続的に行われていることがわかりました。生活保護窓口を棚で塞ぎ、案内も出さずに生活保護窓口がどこにあるかがわからないようにするものです。写真は、POSSEスタッフが6月27日に撮影した現在の鎌倉市役所の様子です。

2,鎌倉市役所の「水際作戦」

◯物理的に相談窓口を塞ぐ
 Aさん(50代・男性)は、病気を抱えて働くことができず、所持金が乏しくなってしまったため、生活保護の申請をするために鎌倉市役所を訪れました。しかし、市役所の生活保護窓口が写真のように棚で埋まっていたため、ここでは相談を受け付けていないのだと思い、帰宅を余儀なくされました。



◯嘘をついて追い返す職員
 帰宅後、申請窓口を調べなおしたAさんは、やはり受付が鎌倉市役所にあることを知り、後日改めて役所を訪問しました。
 隣の窓口で生活保護の申請に来た旨を告げると、職員は開口一番「何回目?」と聞いたそうです。以後の経過を見ると、鎌倉市では一度目の相談時には申請できない状況が習慣化していることが推察されます。
 窮状を話したAさんに対し、対応した職員の丹野氏は、次のような虚偽の説明を行い、保護の申請を諦めるように誘導しました。

・生活保護の受給は65歳以上でなければならない。
・まずハローワークに行って就職活動をする必要がある。

 これを聞いて生活保護の申請を諦めたAさんは、病状を押して就職活動を行うものの、仕事が見つかるはずもありません。2ヶ月後、AさんはPOSSEに相談し、改めて相談に行きます。このとき手持ちのお金は4万円を切っていました。

◯別の職員も同様の拒否
 6月27日、Aさんは、まず、録音機を忍ばせて一人で3度めの訪問を試みます。このとき、丹野氏が不在であったために対応した内藤氏は、丹野氏と同じように、虚偽の説明を行いました。
 
内藤氏:弟さんには援助の話をされていますか。お金の援助のこと。
Aさん:まだしていないです。
内藤氏:それを先にしてください。弟さんから援助をうけられないかどうか。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
内藤氏:本当に体が悪くて仕事ができないならば、それを証明してもらわないと。ただ仕事がないだけっていうのは、「仕事を探してくださいね」ということになりますので。
Aさん:探します。

 更に、内藤氏は、手書きの申請書を持参したAさんに対し、「うちの方の申請書ではないので」と、申請書の受け取りを拒否しました。誤誘導するだけではなく、明確に生活保護制度から排除したことになります。
 また、内藤氏は、丹野氏が不在であることを受け、次のようにAさんに伝えました。

内藤氏:この間丹野というものからお話を聞いたかと思いますけれども、事前にお電話で連絡してお約束をしていただいて、それからいらしていただきたいですね。
Aさん:今日はできないということですね。
内藤氏:今日はね。まだお金も少し残っているようですし。まず、弟さんに金銭的援助をまず聞いてもらってください。それともう一度働けない状況なのか、病院に確認してください。通常でしたら、生活保護にならないはずなので。そして、その点がはっきりしたら担当が丹野というものですので、まずはお電話でお約束をとって、それからいらしてください。
Aさん:分かりました。

3, 問題の所在


 ここで、鎌倉市役所の対応のうち、生活保護法に違反する点を簡単に整理しておきます。あまり知られていませんが、行政が申請を拒むことは許されません。生活保護の条件に満たないのであれば、申請を受理した上で却下するのが適切な対応です。申請を拒否してしまえば、「生活保護を必要としている人なのかどうか」の客観的判断すら行われず、行政職員による恣意的な先入観に基づく判断を許すことになるからです。

a)窓口を封鎖している
 →生活保護の申請に対して後ろめたい思いを抱いている当事者は多く、どこに窓口があるかわからない状況は、それだけで申請を諦めさせるのに十分です。「水際作戦」に当たると言えます。

b) 生活保護受給に年齢制限があると説明している
 →虚偽か事実誤認です。

c) まずハローワークに行って就職活動をする必要があると説明している
 →虚偽か事実誤認です。保護受給者に対して就労指導を行うことは認められていますが、申請するための条件ではありません。

d) 弟から援助を受けられないかどうかを先に聞く必要があると説明している
 →虚偽か事実誤認です。扶養可能性についての問い合わせは、申請を受けた後に行政がすることです。

e) 病気の証明をしないと「仕事ができない」ことにはならないと説明している
 →虚偽か事実誤認です。「仕事ができない」というのは、適切な就労先が見つからない状況も含みます。いずれにしても申請を拒否する理由にはなりません。

f) 鎌倉市役所が用意した書式でなければ申請できないと説明している
 →虚偽か事実誤認です。書式の指定はありません。

g) 電話で約束しなければならないと説明している
 →虚偽か事実誤認です。どの職員が担当するかは行政内部の問題であって、住民に対して受け取りを拒否する理由にはなりません。いったん申請書を受け取り、丹野氏に審査するよう伝えるのが適切な対応です。

4, 当該対応に対する鎌倉市職員の見解

◯鎌倉市役所の生活保護申請対応「裏マニュアル」
 同日、AさんがPOSSEのスタッフを連れて再度市役所を訪れると、内藤氏は同様の見解を繰り返していましたが、最終的に課長の判断を仰いで保護の申請を受理しました。
 この話し合いの中で興味深かったのは、内藤氏が法律とは異なる鎌倉市独自のマニュアルの存在をほのめかしたことでした。

内藤氏:通常やっている形での確認をしてからまたいらしていただくという形をとっております。
POSSE:それは鎌倉市の見解ですね?
内藤氏:そうですね。
POSSE:それは法律には則っていないですよね。
内藤氏:法律ではないですね。
POSSE:ではなぜ私たちが来たら申請できたのですか?
内藤氏:それは、通常の方とは違うので……。

 もしこうした法律とは異なる「裏マニュアル」が存在するのであれば、行政の運用をねじ曲げていることになります。そして支援者が同行したときにだけ適切な対応をとるのは、相談に訪れた方に対して不誠実です。今後、情報公開請求を行い、そうした文書の存在を明らかにするよう、鎌倉市に対して求めます。
 POSSEスタッフが課長に対して「裏マニュアル」の存在を問い質したところ、課長は存在を否定しました。しかし、こうした対応が不文律になっていることは少なくとも間違いありません。直ちに運用を改善するよう求めたいと思います。

5, 封鎖されたままの生活保護窓口

 カウンターが棚で塞がれた異様な状況につき、POSSEスタッフは課長に抗議しました。課長の説明では、2012年に職員が増員した際、職務スペースを増やすために「やむを得ず」棚を置いて窓口を封鎖したということです。2年間もこの状況が続いていることになります。なぜ生活保護窓口を選択したのかという点については、説明がありませんでした。
 今回これが原因で相談もできずに帰ってしまった人がいることを伝えても、課長は棚を撤去するつもりが無いと回答しました。カウンターをつぶすしか選択肢が無いそうです。
 要するに、鎌倉市は、この異様な状況を改善するつもりがありません。自浄による改善は望めないということです。そこで、棚を撤去するよう、鎌倉市長や神奈川県に対して求めることにしました。その他の水際作戦についてもそれぞれ問題点を指摘し、改善を訴える準備を進めていますが、まずは「生活保護窓口の封鎖解除」を求めるネット署名を募ります。
 現在のような対応が続けば、鎌倉市の生活困窮者は、生活保護を受けることができません。もしかしたら生活保護の申請に来る人を狙って追い返す意図は無いかもしれませんが、生活保護を申請したいと思う当事者が諦めて帰ってしまってもいいという開き直りが、鎌倉市役所の体質を端的に表しています。なぜ応接室でも他の窓口でもなく、生活保護窓口なら良いと思ったのか。生活困窮者を軽視した対応と言わざるを得ません。
 こうした状況を改善し、保護行政としての適切な対応を保障させるべく、まずは多くの方に関心を持っていただけますと幸いです。今後も継続して報告いたします。

*ネット署名ページ
「生活保護窓口の封鎖解除を」@change.org
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