あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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人生楽ありゃ食うもあるさ

2014-06-10 19:31:01 | 日替わりchris亭・仮設店舗
半年以上前に『江戸の食空間』という本をご紹介しましたが(第四十九回)、今度は視点を江戸から水戸に移してみましょう。歴史書籍レビュー、第八十四回です。


小菅桂子『水戸黄門の食卓』(中央公論)

クイズで「日本人で初めてラーメンを食べた人物は?」という問題がしばしばありますが、これの答えがご存じ黄門様こと徳川光圀。世直しの旅をしていたというのは流石に後世の創作ですが、型破りな人柄であったことは間違いなく、様々な逸話を残しています。
そんな逸話から見えてくる光圀の人物像は、好奇心旺盛で食へのこだわりが強い、というもの。

この本は文献をもとに光圀と食、というテーマで自由な想像を交えて語るもの。文献としては、光圀が隠居後、隣人として親しく付き合った僧侶・日乗の日記と、水戸藩のレシピ集である『食菜録』が主です。

光圀と食について、詳細な記録が大量に残っていることがまず驚きで、いかに光圀がグルメであったかが伝わってきます。食材や料理ごとに項目を分けた構成になっていますが、たとえば納豆の項では、光圀が納豆好きで有名であったことが書かれています。納豆が水戸名物であることを考えればごくごく自然なことですが、妙に新鮮に映ります。

光圀に関する記録以外にも、当時の食に関する文献が様々引かれていますが、個人的には当時の狂句や狂歌の類が興味深かったです。「初鰹銭とカラシで二度なみだ」「ほととぎす自由自在に聞く里は 酒屋へ三里豆腐屋へ二里」など、味わい深い作品がいくつかありました。

一つ難点を挙げれば、作者の「昔の食は良かった」というスタンスが前面に出てくること。「今の食べものには季節感がなくなった」など、見飽きたような苦言がところどころに登場し、やや興が削がれるのが残念でした。


魔法のiらんどのシステム変更のため、「chris助教授のi信長研究」上で連載させていただいていた「日替わりchris亭」の編集及び、新規執筆ができなくなりました。
さしあたり本ブログにて引き続き連載を行うことにします。

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