ベンジャミンとサボテンとポトス

いま私は一人暮らしだけれども、部屋の中には「ベンジャミン」と「サボテン」と「ポトス」というおともだちがいる。

「ポトス」は石川にいた時からずっとそばにいたので、離れがたく、車に乗せてきた。

「サボテンは悪い気を食べてくれるから置くといいよ」と風水を見るお友達にいわれたのがきっかけで、サボテンという植物に意識を向けた。近所の花屋さんに並んでいたので、ユーモラスな姿の「サボテン」を選んだ。

お店のお姉さんが水やりの説明をしたあとに、「あのー」と顔をのぞき込むようにして、「サボテンにはときどき話しかけてあげてくださいね」と言った。

同じお店にあった「ベンジャミン」にも惹かれた。部屋にピッタリな気がしたので、サボテンといっしょにあとで届けてもらうことにした。

お店のオーナーらしい人が彼らを届けてくれたが、彼は水やりの説明をしたあと、「もし元気がなくなったら、しばらくお店で引き取りますから。急に独りぼっちになって寂しがることがあるんですよ。でも、他の植物といっしょになると、また元気を吹き返したりするから」と言った。

というわけで、「ベンジャミン」が寂しがらないように、毎朝おはようを言い、「サボテン」にはアイラブユーと言ってはキスするようになった。

「ポトス」だけキッチンに置いていたためか、どことなく元気がないことに気がつき、寒いのかなと思って「ベンジャミン」と「サボテン」のいる部屋の中に入れた。いまはソルトランプのそばでご機嫌なようだ。

かくして、一人暮らしの女は、独り言をつぶやくようになるのだ。