道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

墓石とコンクリート

2010-01-27 10:50:45 | 精神文化
春、コンビニの警報ランプの上にツバメが巣を作っていた。
何羽もヒナが生まれて、ぴーぴー鳴いていたのを記憶している。

ある日、一羽のヒナが死んでいた。
そこで、裏のハナミズキの根元に埋めた。

先日、いつものようにコンビニに行くと、
ハナミズキのあった場所に電柱が立っている。
そして、地面はすっかりコンクリートで覆われている。

死体を埋めた時には、
生きているヒナに病気が移らないように、
としか考えていなかったが、
いざコンクリートで覆われてみると、
完全に潰されてしまったんだな、という思いが湧く。

もっとも、彼らから見れば、
我々人間が、死体を埋めた上に墓石を立てるのも、
コンクリートで覆うのと大差ないであろう。
どちらも、死者を地中に固く封印するように見える。


実際、墓石というのは、元々そういう役割を意図したのかもしれない。

かつて、死者というのは、
生前どんなに仲がよく、恨みが全くなくても、
生者、特に身内に祟るものであった。
古代中国の道教では、
「注連」(死者が生者を道連れに引き込む)ということが説かれ、
死者が遺族に害をなさないように様々な儀式が行われていた。

近代的な言葉で表現するならば、即ち、伝染病である。
死体のすぐ近くにいるというのは、衛生上非常に危険な行為である。
特に昔は、火葬をしなかったから、死体から疫病に感染する者も多く、
菌やウィルスを知らない人々は、それを「祟り」「注連」として畏れたのであろう。

故に、
地中深くに埋めるのみならず、上に重い石を置いて封印し、
地上の生者に影響を及ぼさせないようにしたのではなかろうか。

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