失敗しない服作りの方法 (6)

パタピッ スタイル magazine
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六つ目の課題

(6) ミシン選びは間違っていませんか 

・・・ についてお話しします。

洋服を作る過程で、ミシンは欠かせません。
しかし、近年の洋裁人口の減少という社会現象から、本来の「洋服が縫えるミシン」が店頭から奥に追いやられ、選択枠に入らない。 そんな中で「洋服が縫えないミシン」をつい買ってしまうケースが増えています。

いざ買ったミシンで縫うと、、、縫えない、、、ということが、結構あります。 また、仮に縫えても、きれいに縫えず、人前に出られないものに仕上がってしまった、、、
これでは、せっかく作っても、着て出かけることもできません。 悲しいですね。

「私の腕が悪いんだ」と自分のせいにしてしまう前に、ミシンを疑ってみましょう。

人並みに「腕」はあっても、ミシンが悪ければ才能は開花しません。 同じ理由で、ミシンを変えたら、、、急に腕が上がった、、、ということもよくあることです。 ミシンはあなたの「腕」と言っても過言ではないでしょう。

値段が高ければ高いほど良い、、、?  いえいえ、違います。
値段ではなく、モーターの「力」で判断します。 布をきれいに縫う為には、ある一定以上のモーターの力(理想は一分間の回転数約1500回)が必要なのです。

袋物などの小物を作る場合と違い、服に使用する布は、様々な種類があります。 硬さ、しなやかさ、厚さ、薄さ、伸縮性など、又、ミシン針が通り易い布や通りにくい布(織目がしっかり詰まった布や、ビニール類、レザー等)、、、 それはそれは様々です。

洋服を作ろうと生地屋さんに出かけて、「この生地 素敵!」と購入した生地が、いざミシンで縫うと、、、うまく縫えない、、、という経験を持った方も多いことでしょう。 ミシンの能力を超えた布は、どんなに我が腕が良くても、きれいに縫えません。
服地を選ぶ段階で「縫えるか縫えないか」の判断ができない布も多く、買ってしまった後、縫えずに製作を断念することも多いでしょう。

モーターの力は、布を縫う時にどう影響するのでしょうか。
例えば、「まっすぐ縫いたい」時は布が左右にぶれずにまっすぐ進んでほしいですよね。 ミシン目が歪んでほしくない、、、せめて直線は直線に縫いたい。
モーターの力が弱いミシンは、布を押さえる力も布送りの力も弱い為、まっすぐ進まず歪みます。 「押さえる力」「送る力」はとても大事です。

また、服作りの工程では、布の厚みが一定でないことがあります。 薄い平たい面から急に厚くなることがあります。 例えば、縫い代が重なった段差がある部分です。 この厚みに差し掛かった時、その山をスムーズに越えて進んでほしい、、、 こんな時、力の弱いミシンは、山の手前でストップしモーターが唸って、、、乗り越えることができません。

力の強いミシンは、一定のスピードで、山を難なく越えますので、ミシンの目幅も乱れません。
襟の外周やネックラインにステッチをかける場合も、「歪まずまっすぐ進む」ことと「ミシンの目幅が一定である」ことが大事ですが、力の弱いミシンにとっては、これは難題です。 襟の外周やネックラインのステッチは、布が押さえ金の半分しかかからず、送り歯も半分しか機能しません。 本来持つ力の半分しか働かないのです。 服を着用した時は襟は顔の近くですから、対面する人の目にアップで映ります。 ミシン目がきれいでないのは相手にも分かり、、、悲しい。 自信をもって着ることができません。
(右写真は、ネックラインとアームホールにステッチをかけています。 端にかけたミシン目は一定の目幅できれいです。) 

モーターの力(ミシンの力)は、押さえ金が布を挟む力、送り歯が布を送る力、ミシン針が布を刺す力、この3つの力に主に反映します。
生地が薄くても厚くても、この3つの力があれば、しっかり布を押さえて、一定の速度で布を送り、まっすぐ縫うことができます。
襟のステッチの場合、仮に布が押さえ金に半分しかかからなくても、力があれば目幅が乱れることなくまっすぐ進みますから、きれいな襟に仕上がります。



最近は「洋服を作る」という目的でミシンを購入する人が減りました。

幼稚園の入学準備に袋ものを作る為に、急きょミシンを買う、、、というケースがとても多い。 その為、ミシン店の店頭には、その類のミシンばかりです。
もちろん、袋ものまで、、、であれば、ミシンの選択は特に慎重になる必要はないでしょう。
しかし、それをきっかけに、子供服を縫ってみよう、自分の服も、、、と発展した時、、、「あれ? この生地 うまく縫えない・・・」と初めて壁にぶつかります。

高いミシンを買うのは躊躇しますね。 安いミシンについ目が行きます。
安いミシンにはその値の理由がありますので、たとえ袋ものを縫う場合も、あまり安すぎるミシンには注意が必要です。 中にはおもちゃもどきのミシンもあります。 袋も縫えないことすらあります。

今の時代、便利なミシンが店頭にはたくさん並んでいます。
いろいろな機能が付いたコンピューターミシンの類では、20万を超えるものもあります。
いろいろな機能の実演を見ると欲しくなります。
でも、「コンピューターミシン」は本来家庭用ミシンの分類に入ります。 モーターの力は500回転前後です。(分類についてはこの後説明します) 高くてもその域は超えません。

「ミシンなら何でも縫える」と思ったら大間違い。
実際には
使ってみなければ実感としては分からないでしょうが、縫い比べるとその違いは明確です。

ミシン(縫合を目的とするミシン)は大きく3種類に分類することができます。
(1)家庭用ミシン (2)職業用ミシン (3)工業用ミシン
モーターの力の比較では、(1)は安いミシンから高いミシンまでピンキリありますが、一定の金額からは一分間の回転数は500回程。 安いミシンは500には到底届きません。 
(2)の職業用ミシンの回転数は約1500回 家庭用の3倍です。 価格は10万円台
スピードが速くて怖いミシンではありません。 足の踏み方一つでゆっくり縫うこともできます。
(3)の工業用ミシンは、約4500回 更に3倍です。 ここまで力が強いミシンは主に縫製工場で使われるミシンの類で、スピードは速く家庭では危険の為ほとんど使用されません。 自宅で縫製の仕事をされる方は持っている場合があります。

「洋服が縫えるミシン」は(2)の職業用ミシンと(3)の工業用ミシンです。 職業用の中には、ポータブルタイプのミシンもあります。 同等の力があります。 家庭で使うには場所を取らず便利でしょう。 名が「職業用」の為、一般家庭で使用するには躊躇してしまいそうですが、このモーターの力(約1500回転)が服を作る為には必要です。 この回転数で、薄いものから厚いものまできれいに縫えます。 冬のコートは勿論、レザー(革)も縫えます。 (硬質のカバンや靴などの硬い革はちょっと無理ですが) ジーンズも縫えます。

職業用ミシンは、直線が専門です。 ジグザグ縫いはできません。
「職業用「」と分類されるだけあって、一日に10時間以上絶え間なく稼働することに耐えるミシンです。 めったに壊れません。 (仕事で使うことを前提としていますので、壊れない様にできています。) 構造も比較的単純ですから、多少の不調は、自分で直すことができたり、ミシン店に持って行けばその場で修理できたりします。
でも、家庭用ミシンは、今ではコンピューターミシンが主流ですから、自分では直せませんし、ミシン店に持って行っても直せません。 メーカーに送って修理してもらわなければいけませんので、一週間ほどの期間と、修理代も高くつきます。
家庭用はモデルチェンジも短期間で変わりますので、長年使って、いざ修理となると、部品が無かったりします。
当ソーイングレッスンの教室には、職業用ポータブルミシンが9台ほどありますが、30年を超えるミシンもあり、まだまだピンシャンしています。 更に10年は優に働いてくれるでしょう。 いや、もう20年持つかも、、、。

・・・というくらい壊れないミシンです。 また、ほとんどの場合、代替部品は長年残っていますので、半永久的に修理が可能です。

職業用ミシンはジグザグ縫いができませんので、ボタンホールは専用のアタッチメントを取り付けて行います。
直線がきれいに縫え、ボタンホールができれば、服作りとしては充分でしょう。
他にロックミシンも揃えたいですね。

 

ミシンについては、ロックミシンを含めさらに詳しい説明を別のコーナーで行っています。 ご紹介します。  してご覧ください。


ミシン選びについてまとめますと、、、

家庭で使用するミシンで、制約なくどんな布でもきれいに縫いたい場合に適したミシンは、職業用タイプのミシンです。
きれいに縫う為には、ミシンの力(モーターの回転数で判断)が重要です。

「普段着しか縫わないわ」 「冬生地や厚手の生地は縫いません」・・・という人は家庭用ミシンでも、(とは言えモーターの力は大事。 あまり安いミシンはダメです。) 一定の金額以上のものを慎重に選べば良いでしょうが、襟周りのステッチとなると、やはり力が弱いので、一定の目幅では縫えないでしょう。

文頭にも書きましたが、家庭用ミシンから職業用ミシンに変えた瞬間「腕が上がった!」と感動した人・・・いるはずです。 私もそうでした。
服の製作に関しては、ミシンはまさしく「腕」なのです。

服作りが上手になるに従い、ミシンも良いものが欲しくなります。 当パタピッ ユーザーも、正しい製図が得られることから、普段着から急速にランクを上げて、スーツやコートなどに挑戦します。 次第に仕事へと転換していく様子が見られます。 その時ミシンも、職業用、工業用へと変わっていきます。 

ミシンがいざ欲しくなったとき、家庭用ミシンだけを扱うミシン店と比べ、工業用を扱うミシン店は、縫製に関しての知識、情報を持っていますので安心でしょう。 仕事に向かう時は、どのミシンが適切かなどアドバイスを求めて正しい選択をしてください。 特に工業用ミシンを選択する場合、専門分野が詳細に分かれていますので注意が必要です。


次の項目は「完成後のアイロンがけ」です。

縫い終わって「完成~!」 ・・・ ここが最後ではありません。
その後のプレスが大事。

どんなに縫製が上手な人も、縫い終わったままの服は「なんだか素人作り、、、作ったことがばれてしまうわ」 野暮ったさを残したまま着て外出はいただけません。

最後のプレスで服の価値は急上昇する、、、これは本当です。
せっかく磨いたあなたの「腕」、最後のプレスで「プロ」への自信をつけてください。

次の項目(7)で解説します。
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