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スピーカーやオーディオに興味がある方に、いろいろな情報を発信していきたいと思っています。

スピーカーとアンプとの接続について

2010年09月24日 23時55分14秒 | オーディオ
今日はよくいただくご質問についてです。
その内容とは、ユニットのインピーダンスとアンプとの関係に関する下記のようなものです。

「PARCのユニットを使いたいのですが、6オームのユニットは真空管アンプのどの端子に繋げばいいですか?」

「PARCの6オームのユニットを2個パラ(並列)接続で使いたいのですが、アンプはOKでしょうか?」


おそらく、このご質問は一番多くいただくものではないかと思います。でいつも私は下記のように回答させていただいております。
「申し訳ありませんが、この質問に関してはスピーカーメーカーではなく、お使いのアンプメーカー様にご確認いただくのがベストです。」

皆さん、最初はこの回答で少し驚かれることが多いのですが、特に最初の質問などはスピーカーメーカー側が回答する内容ではないのです。つまり4Ω端子と8Ω端子のどちらが6Ωユニットと相性がいいかは、アンプによっても相性があるようですし、やはりスピーカーメーカーが勝手にどっちというのはちょっと越権行為といった感じなのです。スピーカー側はあくまでパッシブ(受動的)な立場であり、鳴らされる側ですので。

後の方の質問は信頼性に関わることでかなり重要なことなので、ここでちょっと補足説明をしておきたいと思います。アンプとスピーカーの関係で皆さんが一番恐れているのは、間違った接続をして機器が壊れることがないかということかと思いますが、ここでアンプとスピーカーの関係で故障が発生するケースはおおよそ下記のようなものになります。

スピーカーが壊れる場合
1)アンプからDC(直流)分が流れて、スピーカーのボイスコイルが+(前面)か-(後面)のどちらかに張り付いて動かなくなり、完全に電気コンロ状態となって焼損する。
 →これは接続の問題というより、アンプそのものの動作不良であり、一般的にアンプではDC分を出さないようにプロテクターが装備されていることが多いようです。昔の話ですが、安いミニコンポなどのアンプとのセットもので、パワーテストをしたらアンプの不良でDCが発生し、結果としてスピーカーが壊れて、最初はスピーカー設計者が犯人にされたなどという笑えないこともありました。

2)スピーカーの許容入力以上の入力を入れて、スピーカーが壊れるもの。
これも接続の問題ではなく、使い方の問題です。

アンプが壊れる場合
3)上記のように大パワーを入れすぎたりしてスピーカーが壊れた時に、スピーカーのボイスコイルの線材が絶縁不良を起こしてショート状態になった場合、アンプの負荷がショート(短絡)状態つまり(インピーダンスは0Ω)となり、結果としてアンプに過電流が流れて壊れる場合。
→これはアンプから見れば、ショート状態になったスピーカーが犯人ということになりますが、スピーカーから見れば壊れるような大入力を出したアンプが悪いということになり、まぁ微妙なところです。(^^;
ただこれも一般的なアンプでは、過電流に対してのプロテクターが装備されていることが多いようですので、最近ではアンプが壊れるケースは少ないのかも知れません。なお知人の話では、真空管アンプでは入力電源のところにフューズを入れているだけのものもあるようで、この場合は最終的にはフューズが切れてストップしますが、それまでに結構深刻なダメージを受けることもあるようですので、まぁ保護回路が働くような状況にしないようにするのが基本でしょう。

ちなみに、スピーカーが壊れる時にボイスコイルがショートになるかオープンになるかは結構微妙で、必ずオープンになるように設計することは難しいので、ユニットが壊れた場合に最悪はショートになることもあると覚悟しておいてください。また許容入力が高いユニットほどなかなか死なず電気コンロ状態になって最後は煙を出したり最悪発火なんていうことも無いとは言えませんので、まぁそれを防ぐ意味でも、スピーカーに実力以上の入力を入れないようにすることが最善の方法かと思います。

4)ユニットのインピーダンスが低すぎて、アンプの設計時に想定された以上の電流が流れて、アンプが壊れる場合。
冒頭のご質問はこのケースになります。ただこの場合、壊れるのはあくまでアンプであって、スピーカー側はインピーダンスが何Ωだろうが全く関係ありません。そのため、重要なことはお使いのアンプが最低インピーダンスを何Ωまで保障しているかということであり、これを確認するためにはやはりアンプメーカー側に聞くしかないのです。
基本的な話ですが、スピーカーを複数個接続する場合、シリーズ(直列)に接続する場合はインピーダンスは足し算でどんどん大きくなりますので、アンプは全く問題ありません。ただパワーが出せなくなるということだけです。
問題になるのはパラ(並列)接続する場合で、この時は総合インピーダンスは例えば2個パラの場合半分になってしまうので、要注意です。ユニットを4個使うような場合は、シリパラ接続が可能で、この場合は総合インピーダンスは同じになるので、一番楽な方法です。下記にそれぞれの接続についてまとめましたので、参考にしてください。特に各ユニットの極性には注意してくださいね。+-を間違うと逆相になって、とんでもないことになってしまいますので。




さて今日は非常に基本的な内容でしたが、参考になりましたでしょうか。次回は、そろそろ近づいた真空管オーディオフェアの出展内容について少しお話したいと思います。では今日はこの辺で。

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14 コメント

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シリーズ接続は悪? (穴 明太)
2010-09-25 12:52:46
こんにちは、いつも楽しく拝見しております。
どうか社長のご意見をお聞かせください。
同一ユニットをシリーズ接続することなんですが、
ある人いわく、片側のユニットから見るともう片方のVCはネットワークのコイルの様な存在、またそのコイルはインピータンスも周波数により大きく変化するものだから、他のコーンの動作に影響を与え干渉する、
同一のユニットでも個体差はあるので、ちぐはぐな動きをする可能性がある、との事なのです。
言われてみると理屈的にはそうなのかなあ?とも思うのですが、実際接続し音を聴いてみるとさほど大きな変化も感じられない。
はたしてシリーズ接続は動作的に音的に良くないものなのでしょうか?パラ接続のほうが良いでしょうか?
返信する
Unknown (PARC)
2010-09-26 01:10:21
穴様

>はたしてシリーズ接続は動作的に音的に良くないものなのでしょうか?パラ接続のほうが良いでしょうか?

シリーズかパラかの決定的な違いは、シリーズの時はどれかのユニットが壊れると全体の音が出なくなるということで、この点でプロ用ではパラが基本ではと思います。

それ以外では、どちらを選ぶかはやはり総合インピーダンスの方が支配的かと考えています。例えば、4Ωのユニットをパラ使いすることは有り得ないので自動的にシリーズになりますし、逆に8Ωユニットならシリーズはあまりないと思いますね。
返信する
Unknown (穴 明太)
2010-09-26 14:54:58
早速有難うございます。
社長のご解説はアンプ側から見た利点欠点かと思うのですけれども、
シリーズ接続で片側のユニットVCから、もう片方のVCを見ると、それはローパスフィルタのように動作していないかと思えるのですが、
この視点からは如何でしょうか?
返信する
接続 (らーめん親父)
2010-09-26 15:21:17
久しぶりのコメントです。
analog誌購入して、見ました。
絶賛ですね。PARC党の一人としても納得の記事でした。
自作ファンとしたら、最後の内容の3台のユニットを1BOXに入れて、「気分によって使い分ける」とある部分に惹かれました。でもバスレフ仕様なら解るけど、密閉BOXだと、通電しないユニットはパシップの様にならないかな?ちょっと疑問かも?

話は変わります。
同一インピーダンスユニットのパラ、シリーズ接続は解るのですが、異種インピーダンス同士の接続は、無理なのでしょうか?、どの様な功罪があるでしょうか?
そういえば、前から聞こうと思っていたのですが、PARCのインピーダンスはほとんど6Ωですよね、他社は単体ユニットには、8Ωが多いと思うのですが?
ネットワークも自作するのですが、使い回しが出来ないので、苦慮しますね(笑)。

ではまたコメントしますね。
返信する
Unknown (PARC)
2010-09-27 00:01:59
穴様

>シリーズ接続で片側のユニットVCから、もう片方のVCを見ると、それはローパスフィルタのように動作していないかと思えるのですが、この視点からは如何でしょうか?

たしかにそういうことはあるかと思います。私も基本はパラ接続だとは思っていますが、ただ先にも書いたように、4Ωユニットをパラというのは有り得ないので、やはり総合インピーダンスのことを優先して考えるしかないと思います。変則ではありますが、以前F131Wの2個使いを検討した時に、パラ+1Ωなどということもやりましたが、抵抗をシリーズで入れるという音質的には決して良くないことをやっても、シリーズのものよりは良かったですね。ただ私見ではありますが、これも一番効いているのは12オームという高インピーダンスではないかと感じています。
返信する
Unknown (PARC)
2010-09-27 00:33:06
らーめん親父様

>でもバスレフ仕様なら解るけど、密閉BOXだと、通電しないユニットはパシップの様にならないかな?ちょっと疑問かも?

いやあの記事は、全てのユニットを付けても調整が外からできるようにしているだけで、あくまで「ユニットを付け替えて楽しむ」ということを言っており、基本的に試聴するユニットは1個だけを取り付けるということですね。

>異種インピーダンス同士の接続は、無理なのでしょうか?、どの様な功罪があるでしょうか?

無理ということはないと思いますが、複数のユニットを使う場合は一般的に同じユニットを使うというのが基本だと思いますし、私自身は経験がないので具体的なコメントはあまり言えませんが、2つのインピーダンスが極端に違う場合、パラでは低い方のユニットにパワーが多く入ってしまうので、バランスが変わることはあるでしょうね。

>PARCのインピーダンスはほとんど6Ωですよね、他社は単体ユニットには、8Ωが多いと思うのですが?

この6Ωのことは、以前「インピーダンスについて2」で少し書きましたが、ユニット設計的には結構バランスが取りやすかったりします。自作派では8Ωが中心と思われるかも知れませんが、実は市販の完成品スピーカーでは6Ωのものは8Ωと同じくらいあったりします。価格コムで検索してみると、6Ωのものが512モデル、8Ωのものが531モデルとほぼ同数なんですね。
まぁ私がもともとクラフト系の出身ではなく、メーカーで長年完成品システム用のユニットをやっていたこともあるのかも知れません。
返信する
ありがとうございます。 (らーめん親父)
2010-09-27 14:53:37
お答え、ありがとうございます。
過去ログ検索したら、2008年12月にインピーダンスについて2回にわたり説明していたのですね、12月は忙しく見逃していたみたいです。お手数おかけしました。すみませんです。
その説明の中で、「Reが分からないものは、実際にテスターでDCRを測ってそれを比較する方法」と言っておられますが、ユニットのインピーダンスは普通のテスターで測れるものなんでしょうか?。
たしかユニットはインピーダンスメーターでないと、測れないと聞いたことがあるのですが?
意外とインピーダンスメーターの購入は高値でできないので、テスターで測れると助かりますよね。宜しければお教え下さい。

実は昔のサンスイ製のメーカーBOXを手に入れ、ユニット群を取り外した時、解ったのですが、なんとウーハーが6Ωと8Ωと違った物が使われていたので、DCRは一緒なのか測ってみたいのです。

取外し前の2本のスピーカーの音は、差ほどの違いはなかったと思います。

お聞きする事ばかりですみません。
では、失礼します。
返信する
Unknown (穴 明太)
2010-09-27 20:07:32
パラ+1Ω、それでもシリーズ接続より良い音がしていた。

そこまで実験したことはなかったので、貴重な情報を有難う御座います。
そうでしたら6Ωユニットを3個パラレルにして抵抗をシリーズに入れる、なんてことも面白そうかも?
お遊びなら適切な値の電球を入れてもパワーが入った時だけ盛大に効いてきますから、より面白そうですね。
いずれにせよシリーズに入れる抵抗は余裕が有って良質のものが欲しいですよね。
社長が1Ω入れられた時はどんな抵抗器を使われましたか?

個人的には動的にインピータンス変化を伴うユニットコイルを直列につなぐのは、双方の動作に影響をもたらして、良い方向には行かないような気がします。実聴ではそんなに劣化したとは感じられないのだけれども、何か少しパラとは違う感じがするのです。
返信する
Unknown (PARC)
2010-09-27 23:57:43
らーめん親父様

>ユニットのインピーダンスは普通のテスターで測れるものなんでしょうか?

インピーダンスとは交流での抵抗成分なので、普通のテスターでは計測できません。ただテスターでDCR(直流抵抗)は計測できますので、おおよそのReは推測できます。

ちなみにユニットのインピーダンスは、インピーダンスカーブを見てお分かりのように周波数によって大きく変化します。で一般的にユニットのインピーダンスとは、そのインピーダンスが一番低いところReのことを基準として4,6,8,16Ω等の規格にちかいものを言います。このReはだいたいDCRに近い値を示すことが多く、DCRを計ればReがだいたい分かりますので、インピーダンスも推測できるという感じです。

常識的に言えば、6Ωと8Ωのユニットでは当然6Ωの方がDCRも低いです。ただ、このインピーダンス規格については一般的に±10%~20%くらいの公差が許されているので、メーカーによっては低めぎりぎりでやったり、ちょうど中心でやったりとバラツキもあるので、逆転することも時にはあります。
返信する
Unknown (PARC)
2010-09-28 00:04:11
穴様

>お遊びなら適切な値の電球を入れてもパワーが入った時だけ盛大に効いてきますから、より面白そうですね。

PA用ならアリだと思いますが、ピュアオーディオ用ではNGだと思います。抵抗の中でも電球というのはかなり音が悪いので。

>いずれにせよシリーズに入れる抵抗は余裕が有って良質のものが欲しいですよね。
社長が1Ω入れられた時はどんな抵抗器を使われましたか?

はいご指摘のように、シリーズで入れる抵抗は非常に重要です。私は最低でも10Wクラスをシリパラで4個使ったりしています。本当は無誘導タイプの20Wクラスの抵抗が欲しいところですが、これは商品企画を販売店様に提案したところ却下されちゃいました。私自身はいいと思ったんですが・・・・。残念!

>個人的には動的にインピータンス変化を伴うユニットコイルを直列につなぐのは、双方の動作に影響をもたらして、良い方向には行かないような気がします。

確かにその点はありますね。まぁアンプがOKならパラが正解だと思います。
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